ループ線
掲載日:2016/04/23
太陽の光が微かに二本のレールに反射し、寒々とした北風に落とされた枯れ葉が、山々の絨毯よろしく辺り一面に敷き詰められている。
里より一足早く訪れる冬。
荒れ果てた駅舎は、その老体をなす術もなく北風に晒している。
ホームに列車が着いた。
降りた客は足早に駅から我が家への道を急ぎ、暖かさを待ち焦がれていた人々は凍えきった体に別れを告げ列車に乗り込む。
発車した列車は直ぐトンネルの中に姿を消し、ヘッドライトの灯りだけが徐々に小さくなっていく。
束の間の賑わいが去り、また元の静寂だけが老人の友となる。
老人は、このレールの先に何があるかを知らない。
老人は、いつも想う 「わしが列車に乗れたら、隣のお人に会ってみたいものだ」と。
「話によると、わしがそのお人の所に行くには、この山をぐるりと回らにゃならんそうな。難儀な事じゃが・・・おっ、やって来た。」
トンネルの奥から灯りが漏れる。もうじき下り列車が、また僅かな間の賑わいを運んでくる。
ループ線を走ってきた列車を、老人は羨まし気に見つめる。
一生見ることのない友を想って。




