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回想2
#5
緑がまぶしくなって暖かくなる頃に学校は本格的に始まったね。
どうしてもやる気になれなくて僕はと言えば始めたアルバイトと読書に時間を費やすだけの日々を過ごしていた。
君はやっぱり真面目に講義をちゃんと聞いてテストも優秀な成績をとっていたみたいだね。
この時期はあまり思い出せないんだ……
#6
あっという間に(本当は僕に記憶がないからだけど)冬が来て、君はやっぱり実家に帰ってしまって僕は相も変わらずにアルバイトと読書に時間を費やす日々を過ごしていた。
「就職とか考えてる?」と君に聞かれたときにはちょっと戸惑った
そんなに遠くないはずの未来が――少なくとも2年先の話ではあったが――何も見えていなかった
ゼミの課題を自分で見つけろと言われ、適当に決め、適当な論文を適当に書いていたのもこの時期で今の生活も、学校も、未来も、すべてがリンクしていなかった
#7
学年が上がり、校舎が変わっても僕自身は何も変わっていなかった
ただぼんやりと手探りで将来を考え資格講座を申し込んだくらい
新しい校舎で見る桜はやっぱり嫌いで……
何もない日々が過ぎていった。