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プロローグ
昔々あるところに、若き竜がおりました。
その竜は、人間と魔族に追われ、命からがら逃げておりました。
しかし、とうとう竜は動けなくなってしまいました。
身体はぼろぼろで、飛ぶことも出来なくなっていました。
このままでは捕まってしまう。
焦っていると、人間の少女がひょっこりと現れました。
少女は竜が怪我をしているのを見ると、手当を始めました。
不思議に思い、竜は少女に聞きました。
『何故助ける。人間は竜が恐いのではないのか?』
少女は答えました。
『全ての人間が、竜を恐いと思っているわけではないわ。少なくとも、私は好きよ』
竜は驚きました。
人間は冷たく臆病な生きものだと思っていたからです。
竜は少女に興味を持ちました。
なので、少女と共に過ごすことを決めました。
こうして、若き竜と少女は出逢ったのです。
『竜と少女の物語』第一話