[1]キリスト教教義の人生論 (1)宇宙創造
キリスト教教義で語られる人生論は、「宇宙創造」「人間の堕落」「原罪」「救済」の4つのキーワードからなっています。
それぞれのキーワードについて、書いてみます。
(1)宇宙創造
『旧約聖書』創世記第1章には、天地創造の由来が書かれています。
「はじめに神は天と地とを創造された。地は形なく、むなしく、やみが淵のおもてにあり、神の霊が水のおもてをおおっていた。
神は「光あれ」と言われた。すると光があった。
‐略‐
第1日である。」
天地創造は、このようにして始まり、2日目に水が雲と海に分けられ、3日目に陸地が現われ、植物が出現しました。
4日目に大空のガスや塵がなくなり、地上に日と月と星の光が届くようになり、5日目に魚類そして鳥類が現われ、6日目に哺乳類、最後に人類が生まれ、宇宙創造は完成し、7日目に神は休まれたと、創世記には書かれています。
さらに神は人間を創造し、「生めよ、ふえよ、地に満ちよ、地を従わせよ。また海の魚と、空の鳥と、地に動くすべての生き物とを治めよ」と言われたと、聖書には書いてあります。
キリスト教教義では、神が宇宙を創造した目的について、「神は、神ご自身の栄光を現わすために、宇宙を創造され、ご自身の愛の対象とするために、ご自身のかたちに似せて人間を創造された」と説いています。
神の創造した宇宙は、地上界と霊界から成り、人間は地上界における人生を通して人格を完成し、死んだ後に霊界(天国)に行くように創造されました。
人格を完成した人間は、地上界、霊界に、天国を築く予定でした。
ところが、エデンの園における人間始祖の堕落という出来事によって、天国への道は閉ざされたのです。
原罪を負った人類が繁殖し、地上界を治めることにより、地上天国の実現は出来なくなったのです。