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傭兵の異世界召喚記  作者: 雨宮和希
悪魔襲来編
9/23

装備調達

 朝はのんびりと起きて、朝食を美味しくいただくと、俺はライラの街西側にある市場に向かった。

 目的は装備を調達するためだ。

 ギルド職員のジムさんに防具は買っておけって言われたこともあるが、その前にまず、リザードマンから奪った片手剣が昨日の戦いでボロボロなのだ。

 夜に研ごうとしたが、いくつも刃こぼれしてるのを見て、これはもう駄目だと思ったのだ。乱暴に扱い過ぎたな。


 その流れを経て、俺は今、市場の武器売り場を眺めている。

 金をたくさん稼げたとはいえ、実際そこまで懐に余裕があるわけでない。程良い金額の武具を買わないと。


 まず斧やハンマー、大剣、棍は論外。理由は扱ったことがないからだ。

 俺が一番使い慣れてるのは当然だが、銃だ。

 しかし銃なんて最新兵器はここには売っていない。

 だからこの場で選ぶ武器は剣、槍、弓の中のどれかとなる。一応全部扱えるからだ。

 第三次世界大戦後の泥沼の戦場では、銃がない、銃弾切れなどの事態が多くあった。その場合に活躍したのが原始的とも言える剣や槍、銃剣や弓だ。

 槍や弓はその泥沼を戦い抜いている内に修得した。それに剣はもともと扱えた。 

 小さい頃から剣術道場に通っていたからな。剣というか刀だったけど。

 そしてその剣術は泥沼で敵兵を殺すときに研ぎ澄まされた。より効率的に敵を殺せるように。だから、それなりの腕前ではあるだろう。


 よし、やっぱり剣だな。まあ刀の方が得意なんだけどここにはないし。



「おう兄ちゃんよ、何をお探しで?」


 武器屋の店主が話しかけてくる。ワイルドなイメージのおっさんだ。


「剣が欲しい。それなりに斬れて頑丈なやつだな」

「頑丈さ重視か…………これなんかどうだ?」


 店主は売り場の真ん中の方にあるブロードソードを持ち上げる。

 

「悪くない。が、デカすぎるんだよな。もうちょっと細長い方がいい」


 細長いのに頑丈って無茶な注文な気もするがしょうがない。


「じゃあこの鋼の剣なんかどうだ? でも高いぞこれは」


 彼の薦めた鋼で造られた剣は、確かに俺の要求に沿った品だった。

 手に持って、感触を確かめる。

 うん、悪くない。

 片刃の直剣、両手剣だ。細いが頑丈そうだ。ただ気になるのは、


「斬れ味はどうだ?」

「悪くはねえが、良くもねえな。折れないことを目的に造られたからな」


 ふむ。でもまあ悪くはないのか。そこまで予算があるわけでもないし、ここは妥協しておこう。


「いくらだ?」

「4000ゼニーだ。剣鞘つきの値段だな」

「買った」


 少し高いが、防具の予算を低くして調節しよう。

 買った剣を魔法袋に納めて、代わりにリザードマンの片手剣を取り出す。


「なあこれ売れるか?」

「うーんボロボロだなあ…………でも何とかならなくもねえ。100ゼニーだな。それで買い取ってやる」

「そうか」


 これはラッキーだ。売れなかったら捨てようと思っていたからな。まあ100ゼニーだけど。


 武器売り場を離れると、俺は防具を探した。

 防具屋、との看板があったのでその店の中に入る。名前の通り、防具がずらっと並んでいた。人型の人形に防具を装着させている。あれ何で出来ているんだろうか?

 などと考えながら、俺は鎧、盾、兜などの群れを見やる。

 俺は剣術の関係から、重いプレートアーマーのような鎧は着たくはない。軽装で剣を振るうことが前提の剣術だからだ。

 求めているのは軽くて丈夫な品だ。

 だから、あの鎖帷子でもいいんだが……あれ多分隠密行動中だと鎖が鳴ってうるさく感じるんじゃないだろうか。

 まあ実際にそんな隠密行動をする機会なんて大してないとは思うのだが、潜入工作が得意だった傭兵としてはやはり気になる。

 あのレザーアーマーで良いか。レザーアーマーというと格好良い名称な気もするが、要は革の鎧だ。大したことはない。


 茶色の革で出来たその鎧はどうやら、地球のものより頑丈なようだ。ただなめして重ねただけの鎧なのに随分と丈夫だ。並の攻撃は通さないだろう。まあ魔物の攻撃は並じゃすまないけど。

 というかこれ多分、魔物の革だよな。

 それが胸や腹を覆う鎧部分、篭手、脚鎧に分かれている。

 試しにサイズの合うものを探して、鎧部分を着けてみたが、ちょうどいい感じだった。

 何より軽い。しかも丈夫だ。言うことは何もない。


「婆さんこれいくらだ?」

「全部セットで買うのかい?」

「ああ」

「3500ゼニーだね」


 革の鎧だけあって安いな。剣と比べると高いと思うかもしれないが、篭手や脚鎧もセットなのだ。お得な気もするだろう。


 盾や兜も覗いたが、とりあえず保留にしておいた。俺は剣を両手で扱うので盾が持てない。

 兜は着けても良かったんだが、試しに鉄兜を装着したら予想以上に重い。顔を動かすのに労力がいるなんて初めてだ。 革兜を被ったら重くなかったので、買おうか迷ったが予想外に視界が狭いのでやめておいた。


 防具屋から出て、のんびり歩いていると見つけた店で投げナイフを5本買っておいた。ナイフはサイレントキリングには不可欠な重要な武器だからな。

 それにバトルブーツという名の戦闘靴を買った。ゴムじゃないな。これも何かの魔物の革で出来ている。ゴムに似た材質だ。

 名称が地球のコンバットブーツに似てるな。


「回復薬…………だと!?」


 漫画みたいな薬もあったので3個ほど買っておいた。多分詐欺ってわけじゃないだろう。他の冒険者らしき人たちも当たり前のように買ってたし。


 他に、日用品や服を買う。この世界のことを知るために本も買った。

 後、ギルドの採掘依頼とかも受けられるようにピッケルやらも購入した。


 成果はこの通りだ。


鋼の剣

剣の鞘

レザーアーマー

投げナイフ 5本

布の服・ズボン(異世界風) 3着

(鎧の)インナー 2着

バトルブーツ

歯磨き葉(異世界の植物の葉っぱ)

靴下

回復薬 3個

世界地図

世界歴史がよく分かる本

冒険者ギルドガイドブック

魔物図鑑

魔術教本

テント

釣り用具

ピッケル


 たくさんあった金がもはや1200ゼニーほどしかない。買いすぎた、というのもあるが本類が高かった。紙は貴重品だからしょうがないんだろうけど。


 って忘れてたけどギルドに魔法袋代の銀貨一枚払わなくてはいけない。

 まあそれは期限が先だからまだ余裕はあるが。


 まあ金を使い過ぎたことを除けば有意義な買い物だった。 

 今日の目的である装備調達を終えてもまだ昼だな。でも腹が減った。

 酒場で依頼でも見ながら飯を食べよう。

 それで簡単な依頼があるようなら受けることにするか。


 そして夜に本を読んでこの世界について学ぼう。


 そう考えた俺は、とりあえずまず酒場に向かった。


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