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傭兵の異世界召喚記  作者: 雨宮和希
悪魔襲来編
23/23

エピローグ

 どうやら俺は意識を失っていたらしい。

 目を覚ました時、俺はレナの腕の中にいた。


「起きた? 大丈夫?」

「ああ、ありがとう」


 猫耳の魔術師は問いかけてくる。

 俺はそこまでの怪我は負っていない。

 でも、その膝枕の上からは、しばらく動く気にはなれなかった。


 ◇


 そして、1日が過ぎた。今日で異世界4日目である。昨日までの3日間は、何だか妙に長かった気がする。


 昨日のうちに死者の弔いを終え、負傷者を治療すると、酒場で祝杯を上げた。

 フレイムドラゴンや魔物たちの死体は魔法袋によってそのまま持ち帰り、シルヴァー二の死体も騎士団に提出するために持ち帰った。


 魔物たちの素材は素材買い取りカウンターに。

 魔法石は魔法石買い取りカウンターにて売り飛ばし、みんなで山分けとなった。

 俺の取り分は120000ゼニーだ。アホみたいに高い金額だ。

 そしてこのクエストの基本報酬である80000ゼニーと討伐報酬である100000ゼニー。悪魔にもフレイムドラゴンにもとどめを刺したのは俺なので合計で180000ゼニー。

 素材報酬と合わせると、300000ゼニーもの大金だ。

 得した気分だ。ウハウハだぜ。


 フレイムドラゴンの素材は売るのを止めておいた。俺が討伐したので半分ほど貰ったのだが、ライドンがアドバイスをくれたのだ。


「炎竜の素材は取っておけ。防具に加工すれば役に立つぜえ硬いからな。魔法石もだ。魔法石は火を放つ源だ。炎を出す剣とか作れるかもしれねえぞ」


 炎を放つ剣。なんて魅力的な提案だ。 俺はそれを素直に受け入れた。


 宴が終わると俺は宿に戻り、剣や銃、鎧を整備して風呂に入って寝た。


 こんな安らかに眠れたのは久しぶりな気がする。

 大仕事を終えたからか。


 翌日は疲れを癒やすために宿でのんびりと過ごしていると、ようやく商業都市コヴェルクから騎士団が到着した。

 彼らにシルヴァー二の死体を引き渡した。

 上級悪魔を討伐したことに非常に驚いていて、騎士団に入らないかと誘われたが、丁重に断っておいた。

 

 俺は自由に生きたいのだ。行動を縛られる騎士団は遠慮したい。


 領主のクアトラード伯爵からは褒章として"風の腕輪"を貰った。とても貴重な品で、風系統の魔術なら魔力を籠めるだけで扱うことが出来るようになるらしい。

 すごい品だ。魔法陣無しで魔術を使うときにも、精神を集中させる時間がいるというのに、これは呼び動作なしで使うことができる。

 試してみると、魔力を練る量を間違えて、危うく領主の屋敷を吹き飛ばしてしまうところだった。

 


 そしてライラの街を襲った『上級悪魔襲来事件』は完全な終息を迎えた。


 ◇


 偉大なる傭兵は一つの街を救った。


 


 


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