作戦会議
「草原で迎え撃つしか、ない」
話はその方向性でまとまった。いや、まとまらざるを得なかった。
逃げることはできない。かといって街を戦火に晒すわけにもいかない。
だが、俺にはどうしても分からない疑問があった。
どうして、"ライラの石像"を渡そうという思考に至らないのか。あるいはそこまで重要な品なのか?
シルヴァー二を迎撃する方向に向かうのは俺の望むところなので黙っていたが。
セシルがこっそりと説明してくれたのだが、やはりあの偉そうな人たちはこの街の領主様や町長らしい。どうでもいいが名前がややこしいな。
「東の洞窟には"連絡の魔道具"を持った衛兵を向かわせた。シルヴァー二が出てくればすぐに感知できるだろう。できる限り洞窟から離れるようには指示しておいた」
「連絡の魔道具で連絡を取れる最大距離は何でしたっけ?」
「300メートルくらいか。森の入り口にもう一人衛兵を配置して中継させれば問題はないだろう」
ちなみに連絡の魔道具は滅茶苦茶高いらしい。
「迎撃するメンバーはどうする?」
Aランクのグスタフという爺さんが訪ねる。
「フレイムドラゴンは僕の『魔眼』で主導します」
「ーーーー俺はシルヴァー二を殺る」
セシルの発言には皆頷いたものの、俺の発言には首を傾げられた。
グスタフが俺に訪ねてくる。
「ほう? 君がか? Fランクの新人冒険者である君が悪魔と戦えるのか?」
「試してみるか?」
空気が、凍りつく。
俺とグスタフは睨み合う。決闘に発展しようか、というその寸前、
「ま、待って!」
声を発したものがいる。明るい茶髪に猫耳の少女、レナ・ランズウィックだ。
「カズヤはBランクの私より全然強かったし、シルヴァー二とだって戦えてた!」
「僕も、彼の実力は保証しましょう」
セシルも告げる。セシルと一緒に戦ったことはないはずなんだがな。まあ味方してくれるのならいいか。
「まあいいじゃねえか。グスタフさんよ。今は戦力がどんだけあっても足りねえんだ」
ライドンの窘めるような一言で、事態は終結した。
ギルドマスターが荘厳な声で告げる。
「ではこれより迎撃メンバーを決定する。これは冒険者ギルドからの緊急指令依頼である。断るならば指定の金額を請求する」
作戦を詰めていく。圧倒的に足りない戦力で、何としてでも街を守り抜くために。
◇
緊急指令依頼「上級悪魔と炎竜の撃退」
要求Sランク(ただし戦力不足のため下位ランクも招集)
場所 ライラ森林前の草原
報酬 基本報酬として1人80000ゼニー
悪魔または炎竜討伐者にはさら に50000ゼニーの追加報酬
依頼主 ライラの街ギルドマスター
クアドラード伯爵
依頼内容 森の東にある洞窟より襲来する上級悪魔『洗脳』シルヴァー二・カニスキラと奴が使役しているフレイムドラゴンの迎撃及び撃退。可能ならば討伐。
依頼受領メンバー
グスタフ・マクレガー (Aランク)
セシル・バーニー (Aランク)
ライドン・クラーク (Bランク)
レナ・ランズウィック (Bランク)
ジュニアス・マーフィ (Bランク)
エノーラ・マジソン (Bランク)
スコット・ウルフスタン(Cランク)
倉橋一也 (Fランク)
※その他招集メンバーは指定金額を払い依頼を辞退
リーダー グスタフ・マクレガー
備考 クアドラード伯爵の衛兵団が依頼に参加
今回短くてすいません。
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