表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
48/166

超結婚宣言! 

まーたバカな話です

温かい目でお付き合いください

一応、女装がメインです

 リンフォード襲撃の早朝。準一達が慌てたのは理由がある。

 夏休み中の出校日だからだ。


 夏休みに学校に出てする事は決まっている。

 宿題の解答配布。体育館での長い長い教員の話。

 全てが終了したのは午後1時。


 2年3組で朝倉準一が結衣達に言い寄られる中、教室の隅でカルメン・ディニンズは携帯を握っていた。


「了解……(目標)ターゲットは女子に言い寄られている。え? 女子は邪魔? 了解」


 カルメンは一呼吸置く。「準一だけを連れて向かうわ。ええ」


「メイド服で。ラジャー」カルメンは携帯をポケットに仕舞い、カバンを持つとバズーカみたいなカメラを背負う。


「準一!」とカルメンは大声で呼び、教室は静まり返る。「緊急事態よ」


 何? と言う前にカルメンは準一の手を引く。女子が止めに入るがカルメンのばら撒いた準一秘蔵写真に釣られ、そこに群がる。


「お、おい。緊急事態って?」


 このカルメンが魔術や反日軍に関わっているとは考え難い。

 では一体……。


「目的地に着いたら分かる。任せて、メイク担当者は呼んでるから」


 嫌な予感がした。

 絶対に良い事ではない。




 その予想は的中した。案内されたのはナイスガイが経営する被服ショップ。

 主にコスプレ専門の。


「なぁ。帰っていい?」

「何言ってんの着いたばっかだよ。店長ー」


 店内に入り、カルメンが呼ぶとウェイトレス姿のナイスガイが飛び出し、目を輝かせる。


「あーんら来たわね! そんなにあたしにたかったのかしら!」

 

 ナイスガイはその巨体で準一に抱き着く。

 その風貌でありつつ女の子の様な甘い香りを醸し出している。


「あの、帰りたいんだけど」

「やだ。照れ隠しね。可愛いわ!」


 傍らカルメンはバズーカカメラをパシャパシャ言わせている。


「撮るなー」

「やだ。愛する2人の記念写真よ。ほら笑って」


 この状況で笑えるなら心が壊れてるか頭が狂ったかだ。


「笑え!」

「笑うか! このバカ!」

「照れてんのか!」

「照れるか! このバカバカバカ!」


 途端に口調を変えた店長に馬鹿を連呼。すると「そこが良い!」と抱き着く力を強める。




 店内に案内され、奥の事務室。準一、店長は長椅子前のパイプ椅子に座っている。


「つまりね。学校の広報部から学校紹介のポスターを頼まれてね。そのモデルに朝倉準一。あなた必要なの」

「店長さん? 一度頭を医者に診てもらった方がいいんじゃない?」

「やーね。あたしは正常よ。まぁ」


 熱っぽい視線を準一に送る。「あなたがあたしの好みなのよね……キスしない?」


「帰ります!」

「逃がすか!」

「ざけんな! モデルなら女子に頼め! カルメンは十分可愛いだろうが!」

「女に興味ねぇんだよ!」

「知った事か!」


 逃げようとする準一の腕を掴み、店長と準一は言い合う。

 傍らカルメンはカメラのセッティングを始める。

 鼻歌交じりに。

 バラライカって聞こえてきそうなあのアニメのオープニング。


「だから、どう? モデル、ヤらない?」


 ヤ、が気持ち悪いんだよ。と準一は腕を振り払おうとするが如何せん店長は握力が強い。


「やらない」

「やりなさい」

「やらないって」

「ヤれって言ってんだよ!」

「端っから拒否権無いのかよ!」

「うるせえ! メイド服は準備出来てんだよ!」

「んなの準備してんじゃねえよ! このバカバカバカバカ!」

「バカって言った方がバカなんです―」

「そう思うなら自分の言動考えろ!」


 とここまで進むと「セッティング完了しましたー」とカルメン。


 すると事務所内のブザーが鳴る。客が来た合図だ。

 店内カメラにはガンプラの箱を抱えた男子生徒。

 三木原凛だ。


「あら、あなたの知り合い?」

「ああ。何の用だろう」

「あなたに用じゃないの? 呼ぼうか?」

「頼む」


 すると店長は事務室を出る。すぐに三木原は事務室へ案内される。


「あ、先輩」

「よう凛」


 準一が言うと店長が入り、事務室の扉がバタンと閉まる。


「今日はどうしたんだ? この店に用が?」

「いえ。先輩がここに居るって」

「それは誰から?」

「校長代理です」


 準一は店長を見る。「代理は一枚噛んでるわ」とガッツポーズ、ウィンク。


 ため息を吐き準一は三木原に向く。「俺に用があるんだろ? どうした」


「いえ。この」と三木原はガンプラの箱。パッケージを見せる。「RGのゼフィランサスを買ったので、先輩と作りたいなって」


 嬉しい誘い。よし、これを使って逃げよう。と思った直後、店長が三木原に詰め寄る。


「あなた男子よね」

「は、はい」

「逸材だわ……ミニスカートの制服……絶対似合うわ」


 聞き捨てならない物騒で不穏な言葉。準一は冷や汗を掻く。

  

「そうねぇ。あなたは朝倉君と一緒にモデル確定。ハイ決定ー」

「おい」


 準一は苦笑いのまま聞く。「凛は巻き込むなって」


「先輩……モデルって?」

「聞かない方が良い。お前の為だ」


 と言うのだが「あんら。安心していいわ。ただ女装して写真撮るだけ」


「じょ、女装!?」

「おい、折角言ったのに何言ってんだよ」

「ごめん。つい」


 店長は可愛らしく舌を出す。するとカルメンが「店長」と呼び携帯を仕舞う。


「第2の客人です」


 第2の客人? と準一が思うと店長は事務室を出て店に入る。カメラを見ると知った顔。


「……あれ? 本郷君」と三木原は訝しげな顔を浮かべ、準一はため息。


 直後、扉が勢いよく開き「聞いたぞ朝倉! 誰だコイツ!」と乱入した本郷が三木原をビシと指さし、店長が入り扉を閉める。


「えっと、先輩の後輩で三木原凛です。同じ学年だよ?」

 

 と三木原が言うと本郷は目を細める。「先輩……だと?」

 あ、何かスイッチ入れたかも。と困り、三木原は準一に向くが、準一は顔を逸らす。


「ざけんな! 朝倉の後輩はこの俺! 本郷義明ただ1人だ!」


 三木原はムッとし、一歩踏み出す。「勝手な事を。先輩は僕の先輩です」


「先輩の後輩はただ1人。三木原凛です!」


「修羅場ね」と店長はムフ。と笑う。「ゾクゾクしちゃう」


 あんたマジ黙って。と準一は呆れ顔。


「よし、決まりね」店長はパンと手を合わせ、三木原、本郷を順にみると笑みを浮かべる。「ここで勝負。なんて如何かしら?」


「いいぜ。望むところだ」

「僕も異存はありません」


 2人は勝手に了解。準一は絶望する。


「そうね。勝負の題名はこうよ」と店長は一度考えると閃く。


「超結婚宣言!!」


 いつかこのナイスガイを若度大橋からバンジーさせてやる。

 準一は心に誓った。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
このランキングタグは表示できません。
ランキングタグに使用できない文字列が含まれるため、非表示にしています。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ