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襲撃①

夜間訓練隊への悪鬼による襲撃の旨は翌日早朝に広まった。襲撃時、三宅島周辺には米国海軍が展開していたが、幸いにも襲撃を受けていなかった為、最悪の事態は回避できた。


だが、これにより悪鬼の脅威は本格化した。しかし、現時刻に於いても、反日軍は何の動きも見せていない。恐らくは堕天使、エルシュタを奪う為に必要なだけの戦力を整えているのだろう。


「いやぁ、助かったわねー。反日軍がエルシュタちゃんを奪う為の軍備に追われてて」


徹夜続きの格納庫内の忙しい空気の中、椿姫3番機から外された元の装甲に座り代理が言う。まぁ、実際助かってはいる。


「でも応援は頼めないんですよね?」


椿姫の外部スピーカーで準一は代理に聞く。代理は装甲に座ったまま足をパタパタさせ作業服のポケットからチューハイを取り出す。ピーチ味だ。


代理は取り出したそれをグビグビ飲み干すと顔を真っ赤にさせ「キャハハ!」と笑い始める。


「誰だー。あの馬鹿にアルコール渡したのは」


呆れ気味の城島の問いに、一時間ほど前からフォカロルの整備を開始したカノンが手を上げた。


「私です」


とカノンは答えると、フォカロルの胸部からジャンプして飛び降りる。10m以上あるのだが、強化人間なだけあって平然としている。


そんなカノンに代理は飛び掛かり「おっぱい揉ませろぉッ!」と叫び始め、カノンは苦笑いを浮かべエルボーを代理の顔に叩き込む。


「ふごっ」と一瞬の声の後、代理はその場に倒れ込むかと思いきや、最後っ屁、と言わんばかりにカノンの作業服のズボンを下ろす。すると、カノンの白の可愛らしいパンツが姿を現し「ふうぅぅッ!」と男性整備員は歓喜の声を上げる。


見かねた城島はため息を吐き、事後処理の為準一は椿姫から降りる。するとカノンは涙を浮かべ「ぐしゅ」と鼻を啜りズボンを上げ、後ろを向き「兄さぁぁん!」と泣きながら準一に抱き着く。


胸元で子供の様になきじゃくるカノンの頭を「よーしよーし、馬鹿に酷い事されたねー」と宥める。


「酷い言われ様だ」


準一の言葉を聞き城島は言うが、心当たりがありすぎるので何も言えなかった。




「つまりね、悪鬼の行動目的自体ははっきりしてるのよ・・・うぼぇッ!」


青いバケツを抱えた代理は、準一、カノンを連れ喫煙室に居た。代理やカノンは吸わないが準一はガンガン吸っている。代理はガンガンゲロを吐いている。


「確か、秦・李醜は個人的な欲求を満たす為に悪鬼を持ち帰ってないんですよね。そして目的は兄さんか」

「それとも堕天使奪取に備えて戦力を削るか」


構わずタバコを吸い続ける準一を「むー」とカノンは睨む。


「何れにせよさ・・・うぼぇッ! ぅぇ・・魔法が使えないって弱みを知ってるわけよね」


ゲロを吐きながら死にそうな顔の代理を見かね「大丈夫ですか?」とカノンは背中をさすってあげる。


「ありがとカノンちゃん。お礼におっぱい」

「代理。追加のアルコール。無理やり飲ませますよ?」


恐怖の笑みのカノンの取り出したチューハイを見て代理は素直に謝る。


「さっき千尋から連絡がありました。やっぱり、どこの碧武校も悪鬼の事で追われているみたいですね。自衛隊も、機甲艦隊とかの組織も」


悪鬼が次にどこを攻撃するかが分からない以上、仕方のない事だ。


「その事なんだけど。三日って期限は分かってるから一般生徒の事を考えて下層区画の対核シェルターに居てもらおうかと」

「まさか、三日間も?」


驚いたようにカノンは代理は聞く。


「いや、その方がいいだろう。悪鬼の性能も考えて、どれだけの被害が出るか分からないんだ」

「それを防ぐ事は考えないんですか、兄さん?」

「無茶言うな、悪鬼は自衛隊が持てる技術をフルに投入した機体で、尚且つパイロットも折り紙付きだ」


ですよね。とカノンはため息を吐くと「取りあえず。授業で呼ばれてますしアリーナでフォカロルを動かします」と喫煙室を出る。


「でもさ。核シェルターに入れる場合は九州校全体に非常事態宣言を出さないといけないんだよね」

「では早くした方が良いんじゃないですか?」

「そうね」


と代理は返事をし立ち上がるも再びゲロを吐く。






現在、碧武九州校アリーナ観客席には全生徒数の半分以上が居た。複数クラス合同のベクター兵器による訓練だからだ。内容は各適性クラスが行える射撃による訓練だ。数十名はベクターに乗っているが他はそれを眺めるだけ。


すると、程なくしフォカロルがエレベーターで上がってくる。レーザーライフルと申し訳程度の射撃武装を積んでいる。


正直、カノンにはよく分からなかった。これだけの状況が誕生し、ある程度の情報もあって尚、何故こんな授業を行っているのか。だが、ちゃんと理由はあった。生徒に極力恐怖を与えないようにする為だ。


『ではこれより、射撃訓練を開始する。ダミーを撃ち上げる。フォカロル以外の機はダミーへの狙撃。では』


教師のアナウンス。その最後の開始。が聞こえる前に、アリーナ中央に粒子弾が命中し、爆発に似た砂埃が立ち。アリーナの全員は動きを止めた。咄嗟にフォカロルはライフルを構え、空を見る。


そこには逆光に照らされる中、ガンブレードを構えたままの悪鬼が居た。


「あれが・・・悪鬼」


言ったカノンはフォカロルの指をライフルの引き金に掛け、ロックオンした。






「城島さん! 椿姫の状態は!」


喫煙室から飛び出した準一は城島に聞く。


「まだだ。フレーム換装。アーマーは終わったが、飛行ユニットの為の背部装甲が」


つまりまだ時間は掛る。悪鬼の存在は明白。危険だ。


「準一君。それどころじゃないみたいだよ。各区画の格納庫からのアリーナを含む外へのエレベーターがロックされたわ」


バケツを抱え出てきた代理は言いながら端末を見せる。各エレベーターにLOCKの文字。


「悪鬼からのアクセスでしょうね。簡単にアクセスできるわけないんだけど」

「碧武用のベクターのデータも使用されているんでしょう。あの悪鬼には。その履歴なんかを基にアクセスしたんだと思います」


だとしても、秦・李醜はコンピュータ操作に関してもかなりできる様だ。


「エディ君や揖宿君も出るつもりだったらしいけど・・・」

「カノンに頑張ってもらうしかないようですね」


言った準一だが、1つだけ分かっていた。絶対に長くはもたない。だから、心中で呟くしかできなかった。


絶対に死ぬなと。





「雷は全機下がって下さい」


フォカロルからのカノンに言われるが、エレベーターが起動していない以上不可能だ。聞いてカノンは目を細める。


だが、幸いにもアリーナの観客席のシャッターは降りている。


『聞こえるか、フォカロルのパイロット。知っての通り、俺は反日軍の秦・李醜だ。機械魔導天使、アルぺリス操縦者を探しているのだが』


聞かれ、カノンはSOUNDONLYの画面の下の秘匿回線の文字を見て安心する。他者にアルぺリスの事を知られるわけにはいかないからだ。


「残念ながら、この下に居ます。でも、すぐに来ますよ」


少し強きに言うと、秦は少し笑みを浮かべる。


『そう言えば、お前は見た事がある。映像資料だったがアルぺリスと一緒に居た奴・・・なら、一緒に掛って来られては面倒臭い。先に片付けさせてもらうぞ』


その言葉の後、悪鬼はゆっくりと降下を始める。


「簡単にやられはしませんよ」

『だったら期待させてもらおうか。遠慮はしない』


直後、悪鬼はミサイルをフォカロルへ一斉発射。カノンはフォカロルのライフルをマシンガンへ切り替え、連射し迎撃を始める。ミサイルの殆どは迎撃され、黒煙がアリーナ上空を覆う。


視界が、とカノンが思った矢先、悪鬼はガンブレードを振りかざしたままフォカロルへ急接近。


「早い・・!」


急な接近よりもその速さに驚くが、カノンはフォカロルを後ろへジャンプさせるとそのまま急上昇。ライフル形態にさせ両手で構え、悪鬼をスコープに捉え発射。


『良い狙いだ』


秦は言うとレーザーをガンブレードへ弾く。弾かれたレーザーは観客席のシャッターに命中する。弾いた。とカノンは呟くと他の射撃武装、腕部と腰のガトリングガンを下の悪鬼に斉射を開始。悪鬼は地面を滑るように左に進み、弾丸を回避。すぐに悪鬼はサイドアーマーの40mmとレールガンを一斉発射。


カノンはフォカロルのユニットを上に向けて一気に燃焼させ、急降下させると悪鬼からの攻撃を回避。すぐにライフルを構え、レーザーを連射する。


『先ほどからの的確な射撃。関節、コクピット、ユニット・・・良い腕だ』


悪鬼を飛翔させ、レーザを回避させながら秦は言う。


『だが』


言葉が聞こえた直後、悪鬼はフォカロルの眼前に迫る。あまりの速さに驚く間もなく悪鬼の回し蹴りを腹部に受け、フォカロルは地面に叩き付けられる。衝撃に少しの声を漏らすとカノンは直ぐに悪鬼を睨む。だが、その場所に悪鬼はおらずいつの間にか倒れたフォカロルの真横に居た。


起き上がらなければ、とカノンは思うが悪鬼の脚に背中を踏まれ、動けなくなる。


『それ故に狙いが搾られ回避が容易になる。狙撃の腕は高い。だが、アルぺリス操縦者には数手遅れるのも確かだ。貴様如きでは俺の足止めなんて叶わないだろう・・・興が冷めた』


の秦の言葉の直後、悪鬼はフォカロルの腹部を足で蹴り、無理やり仰向けにさせ、胸部を思い切り踏みつける。


『嬲り殺してやる』


聞こえた声に一瞬恐怖を感じたカノンは起き上がろうとするが、悪鬼はサイドアーマーのレールガンでフォカロルのユニット、脚部を破壊。


『じわじわとな・・・』と秦は言うとガンブレードを遠くに見える雷に向ける。


「止めて! 関係ないでしょ!」

『そう叫ぶな。殺す気は無い。狙いはアルぺリス操縦者だ』


すぐに悪鬼は粒子弾を発射し、全ての雷の脚部を撃ち抜く。


『さぁ、これで俺達だけだ。安心しろ、さっきの通り嬲り殺してやる。簡単には死なせないさ』


の直後、悪鬼はガンブレードでフォカロル胸部を右から一閃する。だが、カノンは無傷だ。モニターが切られ、直に外の景色が見える様になっただけ。切られた後には小さなフレーム。


『まずは』


秦は小さく声を出すと、悪鬼の脚部で再びフォカロルの胸部を踏みつける。すると小さな破片になったフレームが勢いよくカノンの腹部、肩、腿に突き刺さる。


その瞬間、カノンは小さくは無い痛みによる悲鳴を漏らす。それを見て秦は笑みを浮かべ口を開く。


『今、お前を生かすも殺すも俺次第な訳だ。・・・確か、こんな言葉があったな』


『生殺与奪』


聞いてカノンは歯ぎしりをするもフォカロルは動かない。




その頃、格納庫内では椿姫の出撃準備が進む中、準一は長テーブルに用意されたパソコンを睨んでいた。現在、ロックされたアリーナへのエレベーターを解放しようとしているのだ。


「ここからアリーナへのエレベーターへのアクセス権を取り戻しました。ですが、まだエレベーター通路の隔壁がロックされています」


告げると「じゃ、隔壁を上げないとね」と代理に言われ準一は目を再びモニターに向ける。すると、破片が刺さった時のカノンの悲鳴が格納庫内に響く。


格納庫内には準一の事情を知っている人間しかいない。


聞こえる悲鳴に秦の喋る声。代理は目線を準一の横顔に向ける。心配な筈だ。妹だからだ。だが、準一は顔色一つ変えずキーボードをカタカタと押している。


この準一を見て代理は流石と思った。ここで準一が心配しても騒いでも状況は変わらない。そんな事で、今の段階の最優先事項が疎かになっては本末転倒だ。それを分かっているからこそ準一は何も言わないのだ。


「隔壁、最下層から地表までを解除。代理、椿姫の準備ができ次第でます」


代理はうん、と頷くと視線を準一から離した。






アリーナ客席では多数の生徒に結衣、舞華がフォカロルと悪鬼を見ていた。


「カノン!」


目の前の光景に結衣は声を上げた。カノンが心配でたまらないのだ。そんな結衣に舞華は「落ち着け」と声を掛ける。


「で、でもっ! カノンが!」

「分かっている。だが、ここで騒いでどうする。さっき、あのゴスロリバカなツインテールの娘から連絡が来た。弟の機体、ベクターが出撃準備を進めているらしい」


兄貴の? と言い結衣は少し安心した。兄貴なら。と絶対の信頼があった。だが、何故? 兄貴でなくとも他の機体で支援ができるだろう。と考える。


「現在、ここに通じるベクター用のエレベーターが止まっている。エレベーター通路の隔壁もな」


結衣の疑問を悟った舞華がため息交じりに言う。


「実妹、今は祈れ。弟が早く来るのと義妹が死なないようにな」


死ぬ? どういう事? 聞き返すと舞華はフォカロルの胸部を指さす。


「さっきのブレードの一撃。それは胸部の表面を裂いただけ。攻撃はギリギリコクピットに入っただろうが義妹に攻撃は当たっていない。だが、その後あの悪人面の機体が踏みつけたろう? 多分、斬られた断面の破片が義妹に幾つも突き刺さっている筈だ」


聞いて結衣は手を合わせ祈った。カノンが死なない様に。それを見て舞華は結衣を抱き寄せ小さく言った。


「大丈夫。お前の兄貴は必ずやってくれる」


その直後、悪鬼がカノンのフォカロルを左足で蹴り飛ばした。









「っ・・」


蹴り飛ばされ、揺れたコクピット内で破片が更に深く刺さりカノンは声を上げ、フォカロルを睨む。脚はやられユニットも然り。もう手のライフルかバルカン、それにガトリングガンしかない。


フォカロルはうつ伏せに近い体勢のまま、頭部、腕部を歩いてくる悪鬼に向け斉射。だが、次の瞬間には右腕にガンブレードの粒子弾が命中。左腕にはガンブレード自体が投げられ、両腕が使えなくなる。


ガトリングの火線は途切れたが、バルカンは弾丸の発射を続けている。しかし、悪鬼の装甲の前ではバルカンは虚しく弾かれていた。


「そ、そんな・・・」


カノンが声を上げると悪鬼は目の前まで迫っていた。バルカンは弾切れになりもう何もない。


すると悪鬼はフォカロルの頭をわしづかみにし、持ち上げ胸部を覗き込む。


『大そうな傷だ。長くは無い・・か』


言うと、悪鬼はフォカロルを地面に叩き付ける。更に破片による傷が痛みカノンは叫ぶ。その絶叫を聞き、秦は再び笑みを浮かべると悪鬼でフォカロル胸部を蹴りあげる。フォカロルは仰向けに倒れる。それを再び蹴り、拾い上げ投げ飛ばす。


動けないフォカロルはうつ伏せに倒れる。その上に悪鬼は飛び乗り拾っていたガンブレードを振り下ろす。ガンブレードの衝撃に押され、フレームが押され、シートを抜けカノンの背中に刺さり、長方形のフレームが腹部から突き出る。


痛みに震えながらカノンは腹部のフレームを見る。貫通している。直後、悪鬼はガンブレードを上げ、脚でその場所を踏みつける。立つ続けの激痛にカノンは声を上げそうになるが、それより先に悪鬼は再びフォカロルを蹴り飛ばす。


『分かっているさ。こんな事は三流のする事だってな。でもな、結構楽しいんだなこれが』


言いながら秦はフォカロルの胸部にガンブレードを突き立てる。ガンブレードはカノンの右横腹を掠った。だが深い。溢れ出る血を見てカノンは痛みを覚え、意識が朦朧となる。


「ぃ・・さん」


カノンの小さな声に構わず悪鬼はブレードを勢いよく抜く。そのままフォカロルを持ち上げ観客席に見せつける。その悪趣味な行為に生徒は恐怖し、結衣は激しい怒りを覚えた。


そんな結衣に「押さえろ」と舞華は制止を掛ける。


『さて、すぐに死ぬだろうが・・・目的の彼が来ないのではな』


秦はフォカロルを見てため息を吐くと、悪鬼の左足でフォカロルを地面に押し付ける。


出血の多さで痛みが薄れ、カノンの目からは光彩が消え始めていた。カノンの口は小さくパクパクと動き、声になっていないが、繰り返し兄さんと準一を呼び続ける。カノンは意識が薄れながらも、死が近づくのを分かっていた。その所為か、彼女は思い出していた。


準一と出会った時。教団の実験から救い出してくれた準一を。思い出される走馬灯に似たそれに涙を浮かべ、瞼が重くなるのを感じ、力を振り絞って声を出した。


「兄さん」


その瞬間、悪鬼は何かに弾かれたように吹き飛び、その直後の声にカノンは目を大きく見開いた。


「すまないカノン。遅くなった」


聞き間違いようもない。大好きな人の声。見ると、椿姫が膝を折り、両腕でフォカロルを担ぎ上げた。お姫様抱っこだ。


観客席の生徒たちは、その光景を見て歓喜し、椿姫のショルダーアーマーの猫のデカールを見て安心した。結衣も舞華も同じだ。準一が魔術師である事をしらない生徒たちは対本郷義明、スティラ戦。朝倉結衣、朝倉カノン、篤姫、フォカロル戦を見ている。


そのおかげか、準一の強さを知っている彼らは安堵したのだ。だが、疑問はあった。今回、椿姫はブレードではなく、盾と槍だ。準一のいつもの戦闘スタイルとは大きく違う。だが、理由はあった。ブレードは別の格納庫にあり、槍と盾は簡単に言えば有り合わせだ。


「代理、エレベーターでフォカロルを降ろします。すぐに俺に使用したあれをお願いします」


あれ、とは氷月千早によって引き起こされた改変魔術時、代理が準一に使用した治癒魔法の事だ。代理は理解し「分かったわ。カノンちゃんは任せて。君はあのクソ野郎を」と準一に言う。


カノンのフォカロルをエレベーターに乗せると、誰にも見せた事無い位に怒りに満ちた眼光を悪鬼に向ける。


『随分早かったな。キツめにロックしたはずだが』

「確かに結構キツかったよ」


悪鬼はガンブレードを構え、椿姫は右手の盾を前にだし左手の槍を後ろに構える。


『一度貴様とは本気で戦ってみたかった。・・・高揚する。貴様の様に殺気を隠せない化け物と本気の殺し合いが出来るなんてな』

「気持ち悪い事言ってんじゃねえよ、クソ野郎」


準一の言葉を聞き、秦は笑みを浮かべると、ユニットで悪鬼を一気に最大まで加速させブレードを振りかざす。対し、椿姫はそのブレードを盾で防ぎ、槍を左に振るい、悪鬼のブレードを弾くとそのまま勢いよく回し蹴りを叩き込み悪鬼は簡単に吹き飛ばされる。


その光景に生徒たちは驚いた。あまりに鮮やかで速い攻撃。従来の椿姫では出来ない位速い攻撃。


『成程、椿姫・・・アーマーに新型ユニット。見てくれが変わっただけかと思ったが、そのユニット。これと同じモノか』


答える必要は無い。と言わんばかりに準一の椿姫は悪鬼へ跳躍。悪鬼も起き上がり再びブレードを構え、2機の一騎打ちが始まった。


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