表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
11/166

兄への好感度対決  義妹vs実妹編③



開始の声が響いて5分。ステージ上の2人には何の動きは無い。


ステージ上の2人は、この対決で何をすれば良いのか知らないのだ。


結衣、カノンは最前列の準一に視線を送り助けを求める。


準一は視線に気づくが無視し、代理から渡された台本もといパンフレットに目を向ける。



義妹VS実妹一騎打ち概要。



第一回戦、どれだけお兄ちゃんの事が好きか


第二回戦、かけっこ


第三回戦、ベクター兵器を使用しての近接格闘一騎打ち。



どう考えても2回戦は適当だろ。


準一がそう思っていると「私は兄さんと結婚します」とカノンの声が聞こえ吹き出し咳き込んでしまう。


「兄貴は・・・兄貴はあたしと結婚する!」

続けての結衣。


成程、こういう対決か。準一はやっと趣旨を理解する。他の生徒も同様だ。


「いいわ、いいわよ」

カルメンはシャッターを切る。


準一の後ろの3バカは緑茶を飲みながら「ほうほう」と口を揃えている。


本郷は「2人とも馬鹿だな」と呟く。それを聞きああコイツはまともだな、と準一は思った。


「朝倉と結婚するのは俺なのに」

準一は前言を撤回した。


「私は今日、帰ってから兄さんの部屋に行って添い寝してもらいます」


カノンのそれを聞いた結衣は「なッ」と声を上げる。


だが負けじと「あ、あたしは最近添い寝したし」とカノンに向く。


目が合った二人はにらみ合う。火花が飛んでそうだな。色んな生徒がそう思う。


「俺帰っていい?」

準一が近くの5人に聞くと「却下します」とどこから沸いたかしれない校長代理に言われる。言った後代理は準一の膝の上に座る。


「はぁ」

ため息を吐く。準一的にはこの不毛な決闘よりも明日から日本海への出撃し、大和へ滞在する為装備の確認なんかをしたかった。


「あたしは兄貴とハンバーグ作った!」


「私は兄さんとビーフストロガノフ作った!」


ステージ上では言い合いが続いている。


好きかどうかよりもただの言い合いになっている。


「それに兄さんは私にこう言いました、『お前は良いお嫁さんになるな』って」

勝ち誇った顔でカノンは言った。


「そ、そうなの! 兄貴!」

メイド服の結衣が準一に確認する。


「言ったよ。カノン家事全般こなせるし、料理上手だし」


聞いて結衣はカノンに向き「兄貴は前にあたしと結婚の約束したし」とこれまた勝ち誇った顔で言う。


「そ、そうなの兄さん!?」


「えっと・・・」

準一には記憶が無い。


言ったか? そんなの?


「小学4年生の時の花火大会で言ったでしょ! あたしが結婚してくれる? って聞いたら『いいよ』って!」


「あ・・ああ、あったなそんなの」

準一は思いだす。


花火大会の場所は、朝倉家のある北九州市内、かなり広いグラウンドを持つ公園で行われた。


その公園で花火が上がってる時に結衣が聞いてきたのだ。


「ああ、したな約束」

準一が言うと結衣は「ほらね」とカノンに向いたまま胸を張る。


「で、でもそれは子供の時の口約束で!」

カノンは反論。


「それを言うなら良いお嫁さんになるなって言われただけじゃん!」

結衣も反論。


さっきよりも激しく両者睨み合っている。



「ヒートアップしてきたね」

代理が言う。その顔はとても楽しそうだ。


「やっぱお兄ちゃんの事になると結衣は燃え上がるね」

シャーリーが準一に言う。


準一は「そうだな」と座席に深く腰掛け息を吐く。すると後ろの席からアンナがジュースを渡す。


「飲む?」

聞かれ「ああ」と準一は受け取とる。


「本郷君と代理もどうぞ」

アンナが2人に渡す。


本郷は「ありがとう」と礼を言う。代理は「こら、体育館は飲食禁止よ」と注意しながら一気に飲み干す。


「飲むのかよ」

準一は突っ込まずにはいられなかった。


「あたしからはこのカロリーメイトを」

菜月は言いながら準一、本郷、代理に渡す。


準一と本郷は礼を言うが、代理は同じように「全く、飲食禁止よ」と言いながらカロリーメイトを貪る。


食べるんかい。準一は心の中でつっこんだ。


「あの、校長代理。この戦いですけど・・勝ち負けの基準は?」

本郷が聞くと代理は脚をパタパタさせながら「んー。まぁその時になればわかるよ」と笑顔で返す。



腑に落ちない様子で本郷はステージに向く。



「にしても、これじゃ埒があかないわね」

ふとカルメンが言った。他も同意見だった。


このままやっても2人の言い合いで終始するだろう。


すると代理は無線で連絡を入れる。


『よしフェイズ2へ移行』


相手は恐らくマッスル同好会首領だろう、準一は推測する。


その推測は大当たりでマッスル同好会首領、遠藤の『こほん』と言う整えるための咳ばらいが聞こえた。


『えー、ではステージ上の2人にお聞きします』


結衣とカノンは同時に観客席に向く。


『朝倉準一の好きなタイプは?』


「「料理が出来て家事が得意な人!」」


2人は即答だった。


恥ずかしさに顔を手で覆った準一は言葉を失った。


『えー、では第二問』


いつからクイズ形式になった。準一はいい加減さに呆れる。


観客席の生徒が次の問題を期待していると『えー、制限時間です』と綾乃のアナウンスが入る。


『あ、もう?』

マッスル同好会首領、遠藤は言い残すとマイクのスイッチを切る。


『では、ステージ上の2人の戦いはここまで、審議に入ります』


「どうやって決めるんだ?」

本郷は言う。


すると準一の膝上から代理がヒョイと降り、カルメンの足元にしゃがむ。


直後、スポットライトが準一に当てられる。


『審議は朝倉準一が決めます。さあ準一、どっちの妹に萌えた?』


ああ、この為のパンフレット、もとい台本ね。準一は理解し、引きつった笑いを代理に向ける。


代理はその幼い顔に満面の笑みを浮かべ「言っちゃいなよ」とワクワクしている。


だれもが準一の回答に期待している。しかし準一は、それに反した答えを言う。


「えっと・・引き分けで」


それは台本に書かれてあった。


代理を見ると「おっけー」と合図を出している。


準一がため息を吐き席に着くと『ではこれより第二回戦に移行します』とアナウンスが入り、生徒は移動を開始する。


次は学校エリアのグラウンド、2人のかけっこである。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
このランキングタグは表示できません。
ランキングタグに使用できない文字列が含まれるため、非表示にしています。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ