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血に酔う街Ⅱ

 ××新聞・三月十七日

 ――――人造人間マンティコア、独立へ――――

『ライオウ』初代女王・アサンドラ・レオニダス・アトラーは独立を宣言し、次の声明を発した。

 ――我々は七年前に貴様達に棄てられた、だから好きなように生きてきた、これからもだ。

 ――別に、ワタシはお前たち人間のように野蛮な報復はしない。だが、このテロメアが限界を迎えるその日まで、

 ――好きに生きさせて貰う。


 極移動ポール・シフト後、内政の崩壊して内戦中だった中東での不特定多数の人造人間マンティコアの武力介入により、去年内戦が終結したばかりのアラオザル王国からの分裂に国連会議では、『復讐への布石』『人造人間マンティコアにだって人権はある』と、独立に対して、意見は真っ二つに割れている。日本は二番目に独立には承認し、レオニダス女王は年内に来訪を予定している。しかし、一昨日、闇社会との臓器売買などの関与が取りざたされたばかり、いずれにしろ、150カ国以上の意見が割れている以上、『ライオウ』の国際社会の参加はまだまだ先の事になるだろう。


 ――――毎年恒例 謎のオタマジャクシ――――

 空から通常以外の「異物」が降ってくる所謂いわゆる(FAIIsFROmTheSKIES)《フォールズ・フロム・ザ・スカイズ》ファフロッキーズ現象。今年も空からオタマジャクシが降ってくる事件が今月15日に相次いで発生した。県内で200年以上続くこの現象は依然原因不明で、七年前の“極移動ポール・シフト”以降現在までに、年四十件を超える。降ってくる種類も多種多様になりつつ、年々増加傾向であり、昨年では、体長20メートルの雄のシロナガスクジラが降ってきて、民家が一軒全壊し、周辺住民が避難する事件があった。管理省では対策本部を設置されたが根本的な解決には至っていない。しかし一部では、同年に行われた月面での反相対性虚質空間ゲート起動実験事故の影響ではないかとの研究者からの意見もあり、現在も黙過調査中の模様。


 印刷は汚く、写真の出来も悪く、読みにくい。紙面の半分がごく特殊な趣味の人間を対象にする店舗の広告で埋まっている。その片隅にそれは掲載されていた。地方紙何だから、何で?こう………もっと……。



 ――――警察労使交渉決裂!遂にスト突入へ――――

 日本警察当局は民営に委託した、複合企業コングロマリット『A《秋葉原》・バベルコーポレーション』に対して各地で大規模な抗議デモ活動が行われた。給料ペイの四十%カット、年金の廃止による労働環境の悪化を訴えている。一昨年の殉職者は二百人を超え、拳銃自殺者も相次いだ。

『年金復活!!』『給料払え!!』日頃の悪循環に鬱積される警官の掲げたプラカードには、怒りを込めたスローガンが書き連ねられ、見守る市民に訴えかけている。しかし、市民には『警官は公務員だろ!』『正義に代価は必要なのか!?』などストライキに反対の意見が根強い。しかし、来週にもストライキを予定し、今後――


 彼女は読むのを止めて、新聞を閉じた。

「今日だ」

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