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君はモブ顔なんかじゃない、だって‥ 


 家を出て光に囲まれた時は訳が分からなかった。


「おお、聖女召喚に成功したぞ」


 突然知らない場所にいたら誰でも混乱するだろう。

 私、山村里奈は異世界に召喚されていた。




「聖女様、どうか僕たちと一緒にこの国を救っていただきたい」


 キラキラした王子様みたいな人が私に歩み寄り手を差し伸べている。

 この顔には見覚えがあった。


 スマホで読んでいた聖女召喚マンガのヒーロー。

 え、あのマンガのヒロインになっちゃったの? 私。ごくごく普通の女子高生なのに?



「間違いじゃないんですか? 私ただの高校生ですよ」

「あなたがただの学生? まさか、可愛らしい方ですね」

 


 信じられない理由は魔法や召喚がじゃなくて、マンガのヒロインが美少女だったから。



 正直に告白する。私は不細工ではないが美少女って訳でもないのだ。

 いわゆるモブ顔。



 もしかしたら顔が変わっているのかなって、ポケットからスマホを取り出すも、映るのはいつもの私。うん、普通。


 初対面の人にかわいいとほめられるなんて、初めてだ。

 もしかしたら騙されているのかも?



「うそうそ。私なんてただのモブじゃないですか」


「そんなことあるものか!」


 王子は私の両手を取って、疑いと謙遜を全否定する。




「君がモブ顔であるはずない。向こうの人間をよく見てごらん」


 王子にうながされて、私は部屋の端っこにいる人を見てみた。



「え?」



 その人には顔のパーツがほとんどない。

 鼻筋の線だけで目も口もなかった。

 周りの人も同じ。


 私の身近にいる人はそんなことなかったけど、ちょっと離れるだけで顔はうすくなり目鼻が見えなくなる。



「モブ顔と言うのはあれだろう? 君は遠くから見たって目・鼻・口・眉毛・耳、顔のパーツが全てそろっている! それこそ特別な聖女の証だ!」




 ‥‥‥‥‥‼




 私はやっと分かった。


(ここ少女漫画の世界だから、背景にいる人は顔を省略されてるんじゃん!)



 

 現実の世界から来た人間は顔が省略されない、だから特別らしい。



「あーはい、それなら私が聖女‥了解です。何しましょうか」




 そして物語の通り、私は王子やお供と旅に出た。


 新しい街に到着するたび、広場とかでキョロキョロ人を探す。

 だって私たち一行に力を貸してくれる重要人物は必ず目立つ外見だから。


 髪や服がカラフルで派手目の奴に声をかければ間違いない。




 敵との戦闘にも役立った。

 とりあえず遠目に確認して目立つのが強敵だから、レベルが上がるまで近づかない。


 側に寄らないと見えないくらいのは弱くて私でも倒せる。

 こちらも目立ちまくる聖女一行だ。敵情視察は従者A君に全振り。

 



 そして私はやたらとモテた。


「あなたはどこにいても目を惹きつけられる」


 ま、王子が推しキャラだったからそれ以外は断ったけど。

 魔王軍四天王の1人はちょっと惜しかったかな。



 そして原作の怒涛の展開に比べたらすごい安全運転で進んだから、無事に魔王を倒せたよ。



 戦闘より準備段階が大変でさ。

 最終奥義魔法の習得条件が、好きな人とのキスだったの! あれは恥ずかしかった!



 だって普通のカップルなら10mも離れれば何しているか分からないのに、私だとバッチリ見えちゃうからね!


 王子を物陰に引きずりこんで一瞬で終わらせたった。



 そして役目を終え、光に包まれる私。


「ありがとうリナ。君のことは絶対に忘れない」


 ああ、王子の顔から描きこみが消えていく‥





 現実に帰った私。

 物語を終えて成長したと思う。


 街行く人々には、みんなそれぞれの顔があった。

 今なら分かるの。この世界にただのモブなど1人もいないんだって。


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