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9 突然の訪問者

 俺が山本さんからのLINEに浮かれていると、教室の入り口から声が聞こえた。


「山本さん居る?」


その声は、聞き覚えのある男子生徒のものだった。俺が顔を上げると、そこに立っていたのは、数ヶ月前タケルが「楓と親しげに話していた」と気にしていた、斎藤だった。


斎藤は教室の中を見回し、山本さんを探している。俺は心の中で「またかよ」と呟いた。せっかく山本さんとLINEでいい感じになってたところなのに。


「あっここに居る」


山本さんが、パッと顔を上げてにこやかに答えた。そして、迷うことなく斎藤のもとへ駆け寄っていく。


「どうしたの?」


山本さんは斎藤の隣に立ち、話している。斎藤が山本さんに何か耳打ちするように話しかけているのが見えた。二人の距離が、なんだかすごく近い。


そして耳打ちされた山本さんはみるみる頬が赤くなっていった。


俺は、またしてもその光景を、ただ見ていることしかできなかった。しゅんとタケルも、俺の隣で困ったような顔をしている。


山本さんと斎藤は、そのまま教室の外へと出て行った。


俺は、手に持ったスマホを握りしめた。山本さんからの「お気に入り」というメッセージが、今の俺には、まるで現実離れした言葉のように感じられた。


俺は、山本さんが出て行った教室の扉を呆然と見つめていた。斎藤と親しげに去っていく山本さんの姿が、頭の中でぐるぐると回る。どうしたらいいのか、まったく分からない。


「おい、りょう。大丈夫か?」


しゅんが心配そうに声をかけてきた。タケルも、腕を組みながらじっと俺を見つめている。


「どうしたらいいか、わかんねぇ」


俺は、絞り出すような声でそう言った。心臓のあたりが、ズキズキと痛む。せっかくLINE交換して、いい雰囲気だったのに。


「あー、やっぱり斎藤か。あいつ、結構しつこいタイプだからな」


しゅんがため息をついた。タケルも険しい顔で頷いている。


「でも、りょう、お前はあんなに順調だっただろ? スーさん展も楽しかったって言ってたし、ボールペンのことだって」


タケルが俺を励ますように言った。しかし、俺の脳裏には、斎藤と並んで笑っていた山本さんの姿が焼き付いて離れない。


「そうなんだけどさ。なんか、俺、また勘違いしてたのかなって」


俺の声は、情けないほど弱々しかった。


「馬鹿言え! 勘違いなわけねぇだろ! 山本さんがあんなに楽しそうにしてたの、俺たちも見てたんだぞ!」


しゅんが俺の肩を強く掴んだ。


「そうだよ、りょう。もしかしたら、また何かの用事があっただけかもしれない。でも、このままモヤモヤしてるのは良くない。」


タケルが冷静に言った。

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