表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
6/20

6 展示会デート後編

 スーさん展のグッズコーナーで、お揃いのボールペンを買った俺たち。時間はあっという間に過ぎて、そろそろ帰る時間になった。


「今日は本当にありがとう。一緒に回れて良かった!」


山本さんが、にこやかに俺に声をかけてくれた。その笑顔は、さっきハンバーガーショップで見た時よりも、もっと輝いて見えた。


「また機会あったら行こうね」


その言葉に、俺の心臓は高鳴った。また、次も会える。そう言ってくれるのが、何よりも嬉しかった。


「おう、俺も。めちゃくちゃ楽しかったな。また、絶対行こうな!」


俺は満面の笑顔でそう答えた。今日一日、山本さんと一緒に過ごせて、本当に最高だった。スーさんのキーホルダーがきっかけで、こんなに素敵な一日を過ごせるなんて、想像もしてなかった。


駅まで一緒に歩いて、改札で別れる。


「じゃあね、佐藤くん。明日からまた学校頑張ろうね!」


山本さんが手を振って、改札の中に入っていく。その背中が見えなくなるまで、俺はずっと見送っていた。


山本さんの姿が見えなくなって、俺は大きく息を吐いた。今日の出来事が、まるで夢みたいだ。お揃いのボールペンを握りしめると、山本さんの温もりが残っているような気がした。


明日から、また学校で会える。そして、また、きっと次も会える。

俺と山本さんの距離が、少しずつ縮まっている。そう信じて、俺は家についた。


日曜日が終わり、待ちに待った月曜日。学校に着くと、俺はそわそわしながらしゅんとタケルを探した。スーさん展での出来事を、早く二人に報告したくてたまらない。


教室に入ると、いつものように自分の席で談笑しているしゅんとタケルを発見。俺は迷わず二人の元へ向かった。


「お前ら、聞いてくれ!」


俺が声をかけると、二人はピタリと話すのをやめ、俺の顔を見上げた。昨日のデートのことで、何か感づいているようなニヤニヤ顔だ。


「おいおい、なんだよ、その顔。なんかあったな?」


タケルが俺の顔を覗き込むように言った。しゅんも腕を組んで、じっと俺を見つめている。


「あったよ! めっちゃあった!」


俺は興奮を抑えきれずに、前のめりになった。


「あのさ、スーさん展、めちゃくちゃ楽しかったんだけど、その後のランチでさ」


俺はハンバーガーを食べていた時に、山本さんが俺の口元のソースを拭いてくれた出来事を、少し照れながら話した。二人は、俺の話を聞きながら、どんどん目を丸くしていく。


「その後、グッズコーナーで、お揃いのボールペン買ったんだぜ! また会いたいって言われたし!」


俺は、お揃いのボールペンを自慢げに見せた。スーさんと鳥のムクさんが仲良く並んだデザインだ。


しゅんとタケルは、しばらく無言でボールペンと俺の顔を見比べていた。


そして、次の瞬間。


「りょう、お前、やるじゃねぇか!!」


タケルが叫びながら、俺の背中を力強く叩いた。


「マジかよ! お前、これもう脈あり確定じゃねーか!!」


しゅんも興奮した声で、俺の肩を掴んで揺さぶった。


「だよな!? 俺もそう思う!」


俺は二人の反応に、顔が真っ赤になるのを感じながらも、嬉しくてたまらなかった。


「これで、次はデートの誘いだな! 頑張れよ、りょう!」


タケルが自分のことのように真剣な顔で言った。


「おう! 任せとけ!」


俺は力強く頷いた。山本さんとの距離が、確実に縮まっている。次のデート、そして、その先の関係に向けて、俺はもう迷わない。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ