6 展示会デート後編
スーさん展のグッズコーナーで、お揃いのボールペンを買った俺たち。時間はあっという間に過ぎて、そろそろ帰る時間になった。
「今日は本当にありがとう。一緒に回れて良かった!」
山本さんが、にこやかに俺に声をかけてくれた。その笑顔は、さっきハンバーガーショップで見た時よりも、もっと輝いて見えた。
「また機会あったら行こうね」
その言葉に、俺の心臓は高鳴った。また、次も会える。そう言ってくれるのが、何よりも嬉しかった。
「おう、俺も。めちゃくちゃ楽しかったな。また、絶対行こうな!」
俺は満面の笑顔でそう答えた。今日一日、山本さんと一緒に過ごせて、本当に最高だった。スーさんのキーホルダーがきっかけで、こんなに素敵な一日を過ごせるなんて、想像もしてなかった。
駅まで一緒に歩いて、改札で別れる。
「じゃあね、佐藤くん。明日からまた学校頑張ろうね!」
山本さんが手を振って、改札の中に入っていく。その背中が見えなくなるまで、俺はずっと見送っていた。
山本さんの姿が見えなくなって、俺は大きく息を吐いた。今日の出来事が、まるで夢みたいだ。お揃いのボールペンを握りしめると、山本さんの温もりが残っているような気がした。
明日から、また学校で会える。そして、また、きっと次も会える。
俺と山本さんの距離が、少しずつ縮まっている。そう信じて、俺は家についた。
日曜日が終わり、待ちに待った月曜日。学校に着くと、俺はそわそわしながらしゅんとタケルを探した。スーさん展での出来事を、早く二人に報告したくてたまらない。
教室に入ると、いつものように自分の席で談笑しているしゅんとタケルを発見。俺は迷わず二人の元へ向かった。
「お前ら、聞いてくれ!」
俺が声をかけると、二人はピタリと話すのをやめ、俺の顔を見上げた。昨日のデートのことで、何か感づいているようなニヤニヤ顔だ。
「おいおい、なんだよ、その顔。なんかあったな?」
タケルが俺の顔を覗き込むように言った。しゅんも腕を組んで、じっと俺を見つめている。
「あったよ! めっちゃあった!」
俺は興奮を抑えきれずに、前のめりになった。
「あのさ、スーさん展、めちゃくちゃ楽しかったんだけど、その後のランチでさ」
俺はハンバーガーを食べていた時に、山本さんが俺の口元のソースを拭いてくれた出来事を、少し照れながら話した。二人は、俺の話を聞きながら、どんどん目を丸くしていく。
「その後、グッズコーナーで、お揃いのボールペン買ったんだぜ! また会いたいって言われたし!」
俺は、お揃いのボールペンを自慢げに見せた。スーさんと鳥のムクさんが仲良く並んだデザインだ。
しゅんとタケルは、しばらく無言でボールペンと俺の顔を見比べていた。
そして、次の瞬間。
「りょう、お前、やるじゃねぇか!!」
タケルが叫びながら、俺の背中を力強く叩いた。
「マジかよ! お前、これもう脈あり確定じゃねーか!!」
しゅんも興奮した声で、俺の肩を掴んで揺さぶった。
「だよな!? 俺もそう思う!」
俺は二人の反応に、顔が真っ赤になるのを感じながらも、嬉しくてたまらなかった。
「これで、次はデートの誘いだな! 頑張れよ、りょう!」
タケルが自分のことのように真剣な顔で言った。
「おう! 任せとけ!」
俺は力強く頷いた。山本さんとの距離が、確実に縮まっている。次のデート、そして、その先の関係に向けて、俺はもう迷わない。