20 告白
斎藤への誤解も解けた今、俺に残されたのは、ただ一つ。
りんに、俺の本当の気持ちを伝えることだ。
俺は、直接りんに告白するタイミングを伺うことに決めた。最高の瞬間で、最高の言葉を伝えたい。
授業中も、休み時間も、俺はりんの様子をそっと観察した。りんはいつも通り、クラスの友達と楽しそうに話したり、真剣に授業に取り組んだりしている。その笑顔を見るたびに、俺の決意は固まっていく。
放課後。俺はバレー部の練習に向かうふりをして、りんが教室を出るのを待った。りんは友達と別れ、一人で昇降口へと向かっている。
(今だ!)
俺は、大きく深呼吸をして、りんの後を追った。
放課後、俺はりんが教室を出るのを待った。そして、りんが一人で昇降口へと向かうのを見計らい、大きく深呼吸してその後を追った。
昇降口にはまだ数人の生徒が残っていたが、下駄箱の前で自分の靴に履き替えているりんの姿が見えた。
「りん!」
俺は少し声を張って呼び止めた。りんは、靴を履き替える手を止めて、俺の方を振り向いた。その表情は、いつものように優しく、少し驚いた様子だ。
「りょうくん? どうしたの?」
りんは、疑問符を浮かべながらも、俺の元に歩み寄ってきてくれた。そのまっすぐな瞳に、俺の心臓は高鳴る。
周りの目を気にする間もなく、俺は自分の気持ちを伝えることにした。
「りん、あのさ、今日、俺の誕生日って覚えててくれて、本当にありがとう。スーさんの置物、めちゃくちゃ嬉しかった。まさか、りんが俺のためにそんなことしてくれてたなんて、夢にも思ってなかったから」
俺は、一呼吸置いて、りんと出会ってからのことを思い出すように続けた。
「あのさ、俺、りんのスーさんのキーホルダー見た時から、りんのこと、ずっと気になってたんだ。スーさん展に一緒に行けた時も、ハンバーガーのソースを拭いてくれた時も、なんか、りんが俺にとって、どんどん特別な存在になっていって」
俺は、りんの目を真っ直ぐ見つめた。りんは、俺の言葉に、少し驚いたように、でも真剣な表情で耳を傾けてくれている。
「斎藤のことで、俺、変な誤解して、りんを疑っちゃって、本当に最低だった。でも、それでも、りんが俺のためにプレゼントを選んでくれたって知って俺、やっぱり、りんのことがすごく大切なんだなって」
俺は、精一杯の気持ちを込めて、そう伝えた。直接「好きだ」とは言えなかったけど、これまでの思い出を通して、俺の気持ちがりんに伝わってほしい。
俺がりんの目を真っ直ぐ見つめて、自分の気持ちを伝えた。心臓が今にも破裂しそうだ。りんは、俺の言葉に真剣に耳を傾けてくれていた。
そして、俺の言葉が終わると、りんの顔に優しい笑みが広がった。
「ありがとう。めちゃ嬉しい」
りんはそう言って、俺の目を見つめ返した。その言葉だけで、俺の胸は温かいものでいっぱいになる。
「あのね、驚くかもしれないんだけど、私もりょうくんと同じ気持ちだよ?」
りんのその言葉に、俺は息をのんだ。まさか、りんも同じ気持ちだったなんて。俺の頭の中は真っ白になり、何も考えられなくなった。ただ、目の前のりんが、最高の笑顔で俺を見つめている。
りんの言葉に、俺は完全に動揺していた。言葉にならないほど嬉しい。心臓がバクバク鳴り続けている。
「りんっ、信じられないくらい嬉しい!」
俺は、喜びを抑えきれずに、そう叫んだ。周りに誰かいようと、もうどうでもよかった。目の前のりんが、最高の笑顔で俺を見てくれている。
りんは、俺の言葉に、さらに顔を綻ばせた。その笑顔が、俺にとって何よりの宝物だ。
「ふふ、そんなに喜んでくれるなんて、私も嬉しいよ、りょうくん。」
りんの声は、まるで天使の歌声みたいに俺の心に響いた。この瞬間、世界で一番幸せなのは、間違いなく俺だ。
「りん、俺、りんのことが好きだ!俺でよければ付き合ってください」
俺は、りんの目を真っ直ぐ見つめて、精一杯の気持ちを込めて伝え、手を差し出した。
りんの顔に、最高の笑顔が広がる。
「うん! 私も、りょうくんのことが大好きだよ!」
りんはそう言って俺の手をとってくれた。俺は、嬉しさで胸がいっぱいになり、思わず涙がこぼれそうになった。
昇降口の周りには、まだ数人の生徒が残っているけれど、今の俺たちには、そんなことはどうでもよかった。俺とりんの周りだけ、時間が止まったみたいに、キラキラと輝いている。
俺は、りんと出会ってからのことを思い出す。スーさんのキーホルダー、展示会、ハンバーガーショップでの出来事、そして斎藤への勘違い。全てが、この瞬間に繋がっていたんだ。
「本当にありがとう」
俺は、改めて心からの感謝を伝えた。
「ううん、こちらこそありがとう」
りんも、優しく微笑んでくれる。
俺とりんの関係は、今日、ここから始まる。これからの毎日が、きっともっと輝くはずだ。
りょう編 完




