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2 カピバラのスーさん

 「あのね、今度の土曜カピバラのスーさんの展示会があるんだけど、一緒にどうかな? 周りにスーさん知ってる人がいなくて」


本山さんが、少し恥ずかしそうに、でも期待のこもった目で俺を見て言った。


スーさん展! しかも、一緒に行かないかって!?


俺の心臓は、ドクン、と大きく鳴った。まさか、山本さんから誘ってくれるなんて!


「えっマジで!? 行く! 俺もスーさん展、行ってみたかったんだ! 誘ってくれてありがとう!」


俺は興奮して、思わず前のめりになってしまった。山本さんが、俺の勢いに少しびっくりした顔をしたけど、すぐに嬉しそうに笑ってくれた。


「よかったー! じゃあ、今度の土曜日、何時にどこ集合にする?」


山本さんが、もう次の話をしてくれてる。夢みたいだ。


「えっと、じゃあ駅前で10時とか、どうかな? スヌーピー展って、結構時間かかるかな?」


俺はできるだけ冷静に、でもワクワクしながら提案した。


「そんぐらいで大丈夫だと思うよー! じゃあ当日ね!」


山本さんがにこやかに言ってくれた。もう、心臓がバクバクだ。


「うん、当日な! 楽しみにしてる!」


俺は満面の笑みでそう答えた。山本さんがくるっと背を向けて、自分の席に戻っていく。


その背中を見つめながら、俺は心の中でガッツポーズをした。まさか、山本さんから誘ってくれるなんて、夢にも思わなかった!


授業が終わり、部活のために更衣室へ向かうと、しゅんとタケルがもう着替え始めていた。


「おいりょう、なんか今日、ニヤニヤしてね?」


タケルが俺の顔を見て、ニヤニヤしながら言った。しゅんに至っては、何も言わずにじっと俺の顔を見てる。


「聞いてくれ、お前ら!」


俺は興奮を抑えきれずに、声を上げた。


「俺、今度の土曜、山本さんとスーさん展に行くことになったんだ!」


俺がそう告げると、二人は一瞬、固まった。


「はぁぁあああ!?」


「うそだろ、りょう!?」


タケルとしゅんが同時に叫んだ。二人の驚きようが、なんだか面白くてたまらない。


「マジだよ! 山本さんから誘ってくれたんだぜ! 筆箱のスーさんのキーホルダーが同じで、そこから話が盛り上がってさ!」


俺は得意げに話した。二人は目を丸くして、信じられないものを見るように俺を見てる。


「すげぇな、りょう! お前、やるときはやるじゃねーか!」


タケルが俺の肩をバシッと叩いた。


「おいおい、タケルに続いてりょうまでかよ! 俺だけ置いてけぼりじゃねーか!」


しゅんが悔しそうな顔をして頭を抱えた。その様子が、また笑える。


「これで俺たちも、ついにみんな彼女持ちだな! いや、まだデートだけど!」


俺は興奮してそう言うと、タケルも「おう!」と力強く頷いた。


「いいか、りょう! デートは気合い入れろよ! 楓に相談乗ってもらってもいいからな!」


タケルが自分のことのように真剣な顔で言った。


「おう! 任せとけ!」


俺は力強く答えた。今からもう、土曜日が楽しみで仕方ない!

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