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19 斎藤の事情

 放課後になると、教室の入り口から斎藤が姿をのぞいていた。すると俺と目が会うと


「おい、佐藤、ちょっと来い」


えっ? 俺を呼んだ? 何のようだ? 疑問を持ちながらも斎藤のもとへ行く。


「何だよ、お前がりんと買い物行ってたのは相談してたんだろ?もう知ってるよ」


そう俺が言ったのを斎藤はもう予感してたらしく首を振った。


「俺がお前を呼んだのはそのことなんだが」


すると斎藤は少し伏せた顔を赤くした。


「え? 急にどうしたんだよ」


「俺、今好きな人がいるんだけどさ。山本さんと仲良い俺のクラスの長谷川みれいって子何だよ」


突然の告白に俺は驚きを隠せない。斎藤は他に好きな人がいたってことか?確か長谷川みれいは俺も去年同じクラスで知っているが。すると斎藤は


「山本さんとみれいは仲いいからさ、協力してもらってたんだよ。今回の買い物だって俺がみれいと2人で出かけるのが恥ずかかったから、山本さんの誕生日プレゼントを買う口実を利用してもらってたんだ」


斎藤からそう言われて思い出した。体育館の廊下で斎藤は俺の用事と言っていたが、それが長崎さんと仲を深めることだったんじゃないか?


そしてりんも、斎藤の片思いを知っているから無理に俺に事情を言えずに誤魔化していたのかもしれない。


「山本さんを利用したのは事実だから本人にも謝った。当の本人は全然気にしてなかったけどな」


斎藤はそう言った。だが、俺の中で一つ疑問が出た。


「じゃあ、なんで俺が質問してた時あんな言い方をしてたんだ? 他にあったと思うが」


斎藤は「ああ」と思い出したように言った。


「あの時、お前は山本さんからプレゼントをもらえるのに、俺は今だにまだ前進してないし、まぁそんなお前に嫉妬してたんだと思う」


そうだったのか。急に斎藤に申し訳なくなってしまった。こちらの勝手な誤解で失礼なことをしてしまった。


「斎藤、ごめん。俺色々勘違いしてて、お前の気持ち考えてなかった。すまない」


斎藤はそんなこと気にするなって顔で


「いやいや、俺だって山本さんにずっと相談とかしてたから変な噂たってしまったし、申し訳ない」


斎藤、いい奴じゃないか。斎藤の片思い、うまく行ってほしい。


「俺にも全然相談していいからな! しゅんとかタケルも事情聞けば賛成してくれるし、同じバレー部じゃないか。応援してるよ」


斎藤は少し驚いたが


「ありがとう、じゃあ相談させてもらうよ。ただ俺の片思いはうまく行くか分からない。むしろ行かないかもな」


「何でだ? 一緒に出かけたんだろ? りんも一緒だったけど」


俺はそういうと、斎藤は難しい顔をした。


「俺の好きな人、他に好きな人がいるんだよ。俺は眼中にないって感じ」


斎藤は苦笑いしながら言った。そうなのか。それだと斎藤の「むしろうまく行かないかもな」と言った理由も納得いく。でも俺は


「いや、諦めるなって、一緒に頑張ろうぜ。何が起こるが分からないだろ?」


「そうだな、ありがとう、お前も頑張れよ」


そう言いながら俺と斎藤は体育館へ向かった。しゅんとタケルは最初こと驚いていたが、話を聞いて全力で応援すると気合を入れてた。

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