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15 悪い知らせ

 「それに、りんが斎藤と話してるところ、見てると、なんかこう、距離が近くないか? なんか隠しているような」


しゅんの言葉に、俺はギュッと拳を握りしめた。まさに、俺が感じていたことだった。


「どうする?」


しゅんが俺に尋ねてきた。


「あいつが何を企んでるのか、ハッキリさせたい。このままじゃ、りんに俺の気持ちをちゃんと伝えることもできない。」


りんと斎藤が教室の外へ出て行った後、どんな会話をしているのか、それが知りたい。


しゅんとタケルは、互いに顔を見合わせ、頷いた。


「よし、今度こそ、あいつの尻尾を掴んでやる。」


タケルが力強く言った。


「俺たちがついてるから安心しろ。りょうは、りんへの気持ちをしっかり持つことだけ考えとけ。」


しゅんも俺の肩をポンと叩いてくれた。二人の頼もしい言葉に、俺は少しだけ心が軽くなった。


斎藤の意図を完全に解明し、りんとの関係を邪魔する要素を排除するために、俺たちは再び斎藤の動きを探ることにした。


俺はしゅんとタケルに斎藤の狙いを探ってもらうよう頼んだ。二人は早速動いてくれた。そして、その日の放課後、俺たちは再び体育館裏に集まった。二人の顔は、またしても険しい。


「りょう、悪い知らせだ」


田中が重い口調で切り出した。俺の胸に、嫌な予感がよぎる。


「前回も同じセリフだったぞ、まさか」


俺はゴクリと唾を飲み込んだ。


「斎藤と親しい奴から聞いたんだけどよ…今度の休みに、斎藤とりん、出かけるらしい。」


タケルの言葉に、俺の頭は真っ白になった。出かける? デートってことか!?


「嘘だろ?」


俺は思わず呟いた。先日、りんは俺とまたデートに行きたいって言ってくれたばかりだ。それなのに、今度は斎藤と?


「あいつ、どういうつもりだ?」


しゅんが悔しそうに拳を握りしめた。タケルも、眉間に深くしわを寄せている。


斎藤が「スーさん好きなんだね」と言ったのは、本当にただの嫌味や挑発だったのか? それとも、俺たちのデートを知った上で、わざとらしくりんに近づいていたのか?


「くそっ、なんでだよ!」


俺の心臓は、激しく脈打つ。りんは、斎藤と出かけることを、俺に何も言っていなかった。たまたま見かけただけ、と言っていたのに、この展開は一体どういうことだ?


斎藤とりんが今度の休日に出かけるという事実を知ってから、俺はいてもたってもいられなかった。このモヤモヤを抱えたままでは、前に進めない。俺は、直接りんに聞くことにした。


次の日、休み時間。俺はりんを廊下で呼び止めた。りんは、いつものようににこやかに俺の方を向いてくれた。


「りん、ちょっと話があるんだけど」


俺は、慎重に言葉を選んだ。りんは、少し首を傾げた。


「どうしたの? りょうくん、なんだか顔が険しいよ?」


りんは心配そうに俺の顔を覗き込んできた。その優しい表情に、俺は一瞬たじろいだが、ここで引くわけにはいかない。


「あのさ、今度の休みのことなんだけど、斎藤と出かけるって聞いてさ、本当?」


俺は、勇気を出して尋ねた。りんは、俺の言葉に、ハッとしたように目を見開いた。そして、ほんの一瞬だけ、視線が泳いだように見えた。

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