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第十八話  照らされし真実

第十八話   照らされし真実



 「……と、いう訳です」 オリガミは神社に戻り、宮下に詳細を伝えていた。


 「そうか……それで鏡を現場で使いたいんじゃな?」


 「はい。 必ずとは言い切れないけど、可能性はあると思います」



 そうして境内に向かい、鏡を手にする。

 「ただ、用心せい……」 宮下はオリガミに声を掛けた。



 そうして、オリガミとテマリが現場に着く。


 (もう佐伯さんは居ないか……)

 オリガミは鏡を取り出し、現場を照らしたが何も起こらなかった。



 「違ったか~」 テマリは残念そうに周辺を見渡していた。



 「そうみたい……けど、何か手がかりが欲しい……」



 オリガミは鏡を持ったまま、現場の中に入っていった。

そして、隅々まで歩いていると


“キイィィン ”


(ここだ……) オリガミは鏡を下の向け、コンクリートで固められた基礎の部分を照らした。


「――テマリ、この鏡を持ってて!」


テマリが急いでオリガミの元に向かい、鏡を受け取る。



そして、オリガミは折り鶴を出した。



『ポン ポン……』 と音が鳴り、式神が現れた。


「オリガミ~♪」


「式神たち、ここに何かが隠されているの! この鏡を使えば分かるよね?」

オリガミの頼みに、式神たちは声を揃える


「わかった~」 式神たちは鏡に額に入って行った。



すると、“キイィィン ” と、音が響いてきた。

その音は、どんどん大きくなっていく“キイィィン ”



(頭が痛い……) 鏡を持っているテマリは耳を塞げない。


そして音が止まった。



「あれ? 何もないじゃない?」 テマリがキョロキョロと見まわす。



すると、鏡から式神が飛び出てきた。


「テマリ、ご苦労……鏡は置いていいぞ……」

そう言ったのは、式神の玄武である。



「―何よ! 子供のクセに~」 テマリは怒ってしまった。


「そんな怒るなって……」 白虎がテマリをなだめる。



「オリガミ~ 起きて~」 朱雀がオリガミの身体をゆすっていた。


「うぅぅ……」 気を失っていたオリガミが目を覚まし、周辺をキョロキョロと見まわし始める。



「気づいたな。 用事は済んだろ? これ……」

青龍がオリガミに声を掛け、オリガミの右手首に指をさす。


そこには、ブレスレットがオリガミの手首に付いていた。


(これだったんだ……) オリガミは、安心したのか再度、気を失うように眠ってしまった。



「ちょっと……オリガミ~」 建設現場で気を失ったオリガミに、周辺から通報されないか心配になっているテマリであった。



そこに 「あ~、なんか、きな臭いと思ったんだよな……」


トウジが現れた。


「トウジさん……オリガミが……」 テマリが泣きそうな声になっていた。



「わかってるって……おや? 手に入れたか……」

トウジは優しい目で、オリガミを見ていた。



「うわ~ 建設現場で気を失ってる女を見て、笑う中年男の図……サスペンスなら、絶対に犯人よね~」


テマリはドン引きした目で、トウジを見ていた。


「なんつー 言い方だよ……」


「ほら、お前たちも帰れ!」

トウジの言葉で、式神たちは折り鶴の中に帰っていった。



「さて、神社に戻るぞ! 送ってやる」

トウジはオリガミを背負い、神社まで帰っていった。



「ただいま」 テマリが声を出すと、社務所から宮下が出てきた。


「おかえり……って、お前さんも居たのか……」


「あぁ……娘が倒れてたもんでな……」 

トウジは社務所に入り、オリガミを横にした。



「それで、オリガミは知ってしまったか?」 宮下がトウジを見る。


「いや……知ったらどうするんだろうね~ この娘は……」

「テマリは知っているんだろ?」

トウジはテマリを見る。



「まぁ……なんとなくは……」 テマリが下を向く。


「なら、お前は……自分の事を知っているのか?」


「それが全然……」 テマリの落ち込んでいる姿を見て、宮下は


「それは追々で良くないか? この娘たちも頑張ってきた所じゃ……」


「それも、そうだな……じゃ、帰るわ」 そう言って、トウジは帰っていった。



「よく頑張ったな……ゆっくり休め……」

宮下はテマリの頭を撫でた。



そして夜になり、護が神社にやってきた。

「こんばんは」


「よう、護君。 オリガミなら疲れて寝ておるぞ……」


「すみません……オリガミ、何かありました?」

護が心配そうにオリガミを見つめる。




そして時間が経ち、オリガミが目覚めた。

「ありがとうございました」 護は宮下に礼を言い、オリガミと一緒にアパートへ帰っていった。


「お風呂するね……」 オリガミが浴室に入ると、悲鳴のような声を出した。


「どうしたの?」 護は浴室に走り、ドアを開けた。


「―うわっ」 裸のオリガミが目の前に立っていた。

「ごめん……」 静かにドアを閉め、ソファーに倒れた。



水シャワーを浴びるオリガミは、記憶にないブレスレットに悩んでいた。

(いつの間に……なんか取れないし……)



そして、翌朝。

「おはよう、護……」 早起きのオリガミは、コーヒーとトーストを用意していた。


「なんか、成長してない? 俺、嬉しいな~」 喜ぶ護の顔に、オリガミは幸せそうな顔になっていた。



「いってらっしゃい♪」 オリガミは護を見送り、掃除と洗濯を始めた。


そして、アパートの下にはトウジの姿があった。

「しかし、オリガミが家事ねぇ……」 様子を見にきていた。



家事を終えると、神社に向かう時間となっている。


(そうだ、今日は……♪)



そして神社に着いたオリガミは

「おはようございます」 元気な声で挨拶をした。


「おはよ~」 テマリが寝起きの声で出てきた。


「何? まだ寝てたの?」 

「うん……オリガミの声で起きた……って、どうしたの?」

テマリが驚いていた。


それはオリガミの髪型である。 いつも真っすぐな長い髪を下ろしていたが、少し前に護からリボンをプレゼントされて、この日はポニーテールにしていた。



「可愛いじゃん♪ 赤いリボンなんて可愛い♡」 テマリのテンションも上っていた。


「はい、これ……」 オリガミは、テマリに白いリボンを渡した。


「これ、私に?」

「うん、護からね」


「うおぉぉぉ……」 テマリの絶叫ぜっきょうに、オリガミは “ビクッ ” としていた。


「護、優しいな~ 今度、キスしてやろう……」 テマリはリボンを抱きかかえていた。


「キスはダメです……」 そこはキッパリとしているオリガミであった。



そして、この日は巫女服に着替えた。


グレーヘアに赤いリボンのオリガミ。 濃紺のうこんヘアに白いリボンのテマリ。

本当に双子のようである。



二人は大杉の会社に向かっていく。


(これで解決になるといいな~) そんな期待をしつつ、オリガミは歩いていた。


「こんにちは」 テマリがインターホンを鳴らす。


「はーい」 後藤が玄関まで迎えにきて笑顔を見せた。


「大杉さん、いらっしゃいますか?」

すると、奥から大杉が出てきた。



「解決できそうですか?」

大杉が、応接間でオリガミに話し出した。



「もう大丈夫だと思うんですが……佐伯さんに話して終了になるところです」


「諦めてくれそうですか?」  「どうでしょうか……」


なんとか報告を済ませたオリガミとテマリは、工事現場に足を運んだ。



「こんにちは」 テマリが佐伯を見つけ、声を掛けた。


「あら、今日も来てたのね。 工事は中止になったのかしら?」

佐伯は無表情でテマリを見ていた。



「とりあえず、事故の原因ではないか……という物を回収したので、工事は再会する運びとなりました」


テマリが堂々とした態度で佐伯に向かう。


「えっ?」 佐伯が驚き、工事現場へ目をむける。



「何か取られたら心配なことでも……?」 


「いえ、何も……」


「貴女が取られて困るもの……って、コレでしょうか?」

オリガミは左腕を出し、ブレスレットを佐伯に見せた。



「どうやって……?」 佐伯の目がキツくなっていった。


「それを答えるのは、貴女が全てを白状してからになるわ……」

テマリがニヤッとした。



そして、佐伯は白状した。


昔、斉田の家で家政婦をしていたらしい。


そして、秋草が幼い頃から面倒をみていた。 そこで、秋草が大事にしていたブレスレットを無くし、数年前に発見して 土地ごと守ろうとしていた。



「わかりました……しかし、土地は売却されています。 ブレスレットを回収した今、貴女を縛るものはありません……」



佐伯は帰って行った。



「解決したね……しかし、なんで秋草のヤツが九条と関係してくるのかしら……?」 テマリは秋草との関わりにりていた。



そして、再び大杉の会社へ向かう。


「今回の件は解決しました。 工事を再開させても大丈夫です」

オリガミとテマリは結果報告をし、神社に戻った。


「ただいま戻りました」 オリガミとテマリが社務所の中に入ると、中には秋草が座っていた。



「斉田さん……」 オリガミとテマリは身構える。


「なによ? そんな喧嘩けんかごしで……?」 秋草は呆れたような顔をしている。


「なにか用?」 テマリの顔が凄む。



「請求書よ! お守りやら、お札の」 秋草はスッと請求書をテーブルの上に置き、オリガミとテマリが請求書を見た。



「――高っ!」


「なんで、こんなに高いのよ! パンフレットに出ている金額と違うじゃないのよ!」 激高するオリガミに対し、秋草は



「品物は、この値段……他は、社長の私が運んでやった運送費です♡」

秋草はニヤッとした。


「ふ、ふざけんな~」

こうして事件は解決していった。









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