9・皇帝
「うわぁ!にっ!逃げろ!逃げろ!喧嘩になるぞ!」
「女とホコリ(捕まえられる理由)持ってる奴は逃げろ!最悪ポリ来るぞ!」
「村雨呼んでこい!急いで!」
トー横がちょっとしたパニックだ。たった一人の人間が乗り込んで来ただけで。
「エースオブドラゴンだぁ!村雨どこだコラぁ!」遠藤
遠藤が単騎でトー横を襲撃。この新宿じゃあなかなか見慣れない絵ずらだ。
高級品の服に靴とアクセサリー、そして手にはくたびれた金属バット。
ふっ・・
もう謝罪動画も先に撮って来たから後は暴れるだけ。
この度お騒がせしてってな・・
まぁここに来たのは正直村雨が目的じゃねぇ・・
遠藤「爆撃とバニーは居ねぇのか!出て来いこらぁ!」
3軍なんて興味ねぇよ・・乗り込む理由が欲しかっただけだ。
叩けるんなら一気に一軍叩いちまうぞ。
「・・うるさい。耳がちぎれる・・」
ここは新宿よ・・
うおっ!!
なんだなんだ・・・一軍狙って新宿来たら・・
黒服「我々が・・」
「いいの。下がってて・・」
いきなり新宿の大将のお出ましかよ!
通行人「うおっ!新宿の皇帝!!!」
通行人「すげえオーラ・・」
確かに半端ねぇよ・・多分俺もラナも・・
六本木の連中すべてお前に嫉妬してんだわ・・
だからきっと俺は一人でここに居る・・
俺達は誰もが自分が一番だって思ってるし、一番で居たい・・
「バチ・・バチバチ・・」
遠藤「つまんねぇ玩具持ってんなぁ」
「そっちもね・・」
相手の手には強力スタンガン
フルスイングしちまうか・・こんなチャンスめったにねぇ・・
コイツ取れば一気にカタが付く・・
遠藤「ダリアぁああ!!!」
もらった!お付きの黒服共も距離がある。一発で仕留めてやるよ!
躊躇しねぇぞ・・いくらキャバ嬢だからって・・
コイツの武勇の数々はすでに語り継がれてる。躊躇えばこっちがやられる。
「ブンっ!!!!!!」
「スッ!」
うそだろ!逆だろうが!突っ込んできやがった!
普通後ろに避けるだろうが!それが猛烈に突っ込んで来たからバットが空を切る。
すでに俺の胸元にはダリア・・
「スンっ・・」
なんだ?・・いい香りだな・・それに本当華があるな・・・ダリアぁ・・
・・・綺麗だ・・
「バチバチバチ!!!!!!」
遠藤「がはぁああ!!!ぃりぁあ!!・・・ぁ・・」
「ドッ!・・」
泡拭いて倒れる遠藤
「コツッ・・コツッ・・」
ダリアが倒れた遠藤にまた少し近づき・・
「スッ・・」
「ちぎれろ!おらぁ!!!!」
「バチバチバチ!!!!!!」
すでに気絶して意識もない男にさらにスタンガンを押しあて続ける。
黒服「ちょっ!もうダメ!ダリアさん!!」
これ以上やったら本当に死んでしまう!
ダリア「死ねばいいのよ・・」
新宿舐めてる奴等は・・
「ビクッ!!!ビクッ!!!」
通行人「なっ!あの六本木の遠藤が魚かよ!」
通行人「やばいって!気絶して泡拭いてビクビク痙攣してるぞ!」
そしてさらに・・
「スッ・・」 足を後ろに引き、勢いをつけ・・
「ドガァッ!!!!!!!!!!!」
顔面にフル死体蹴り。
勢いあまってそのまま宙に舞う綺麗な色白の細長い足。
宙に舞うルブダンのヒールの靴底の鮮やかな赤と、
飛び散る鮮血の融合がまるで映画のスローモーションの様だ。
通行人「イカれてんのか!でもすげえいい女!」
通行人「おお!!」
そして黒服が通行人達に・・
黒服「はいっ見世物じゃないよ!解散っ解散!何も見てないね!」
黒服「ダリアさんっスタンガン俺に!はいっ俺がやりました!俺が!」
「フワっ・・」 「コッ・・コツッ・・」
ダリア「行くわよ・・」
髪をかき上げ歩き出すダリア。
ヒールの足音だけでも高級さと色気が伝わってくる・・
「おお・・」
「うはぁ・・」
新宿中の男達が振り返るそのオーラと美貌
そして狂気。
これが新宿の皇帝、新宿ダリア・・
東京史上最高傑作の女・・