6・トー横の実情
「マリファナもあるよ。もしあれならそれ以上のも・・」
「いや、村雨さんっ私今お金ないんで風邪薬でお願いします」
ちっ・・金が足らねぇ・・もっと稼ぎたいのによぅ・・
最近ここの連中金回りが悪いのかキメるのも風邪薬のオーバードーズばかりだ。
最近は俺もなぜかチーム名の村雨で呼ばれるしよぅ・・
まぁ爆撃もバニーの頭もそうだからいいか・・いわばそれが通り名、看板だ。
村雨「なぁリリ・・」
リリ「何ぃ?」
このトー横では割と小奇麗で顔もかわいい少女だ。
悪いけどさ今日からお前も・・
リリ「嫌だ!公園に立つの!」
村雨「嫌だじゃねぇんだよ!」
家無しの家出少女のくせによ!
毎日乞食みてぇに金持ってる他のメンバーから食わせて貰ってよ。
順番だ!順番!そろそろ働く!
リリ「そんなぁ・・ただトー横に居たいだけなのに・・」
村雨「金掛かんだよ!面倒見てやるのも最初だけの約束だ!」
村雨のメンバーに連れられて公園に向かうリリ。
リリ「・・そうよね・・・・みんなもそうだし・・」
「すぐ慣れるから。しょうがないって生きて行くには」
「ほらっ公園にはみんな居るし。泣かない泣かない」
「はいっ効率よく、客待ちの間はアプリでパパ活ね」
これが村雨のシノギだ。薬物の売人と新大久保公園への立ちんぼ派遣。
新大久保の少女の多くはこのトー横からの部隊だ。
そしてトー横では・・
「・・・すいません・・この辺で休んでもいいですか?」
そこにオドオドしてキャリーケース持った少女が現れて
村雨「おいでおいで!」
「ここに居る人間はみんな仲間だからさ。お腹減ってない?」
村雨や、その仲間達がやさしく新規の少女を囲む・・
村雨「よし・・」
これがトー横の強みだ。
スカウトせずとも勝手に各地から男も女もトー横に集まって来やがる。
「村雨ぇ、これ今日の上がり」
村雨「おうっ」
次々に集まる売り上げ金、それなりの大金だが新宿で生きて行くにはもっと必要だ。
それに俺も六本木みたいにいい服着ていい肉食って夜景の見えるバーで飲んでみてぇ。
それと楽園は金が掛かる・・
村雨「ちょっと出てくるわ」
「ほーーい」
歌舞伎町の人込みに紛れて・・
「スッ・・」
ポケットに入れた先ほど回収した売り上げ金を簡単に軽く数える。
1234・・・・18ってとこか・・これなら軽くなら何とか・・
キャバ穣「あらっ来てくれたんだ?いらっしゃい」
村雨「おうっ。忙しいから軽く飲んだら戻るわ」
くぅ~・・もうその辺の女とは次元が違う・・匂いも佇まいも超一流だ。
本当これで同世代かよ・・
爆撃「ああ?村雨居るんかよ?返しは!?」
村雨「ん?おお。この後行くつもりだよ。今メンバー待ちだわ」
くそっ!もう引くこと出来なくなっちまったな・・
まぁこれで、忙しい、早く帰らなきゃ・・の理由付けも出来てるし、
何より俺だって新宿を代表する不良だぞってアピール出来てる。
村雨が喧嘩で六本木突っ込むぞぉ!
爆撃「俺はもう仕事だから帰るぞ。さっきバニーも居たぞ。」
村雨「まぁここはな・・」
特別な場所だ。俺達新宿の不良の楽園みたいなもんだ。
少し飲んで黒服に会計を頼み・・
黒服「16万4000円です。領収書は?」
村雨「ああ、大丈夫要らない。じゃあ123・・これね」
黒服「あっ!お見送りさせます!」
村雨「いいからいいから!」
人気で忙しいしな。俺みたいなのはパっと帰るよ。
そう言って金を置いてそそくさと帰っていく村雨
出された16万は・・
黒服「123・・・12345・・・」
黒服「千円札多いな・・本当村雨はよぅ・・」
マジでダセぇ払い方・・・金持ってねぇってのがモロバレ・・
チームの頭ならプラチナや黒のカードで払えよ・・
とはいっても・・
黒服「爆撃もバニーも現金だけどな」
裏社会で生きる不良はクレジットカードや、銀行口座は持てやしない。
真っ当な表の商売してる六本木の連中以外は・・
村雨はしばらく歩き・・
村雨「クソっどうすっか?」
この使った金の大半は薬の仕入れ元への入金やトー横の少女達の生活費だ。
トー横の少女を囲うのにも、それなりに金が掛かる。
まぁ、丁度いいや・・六本木にこれから返しに行くんだから・・
そのままタタいちまおう
※タタキ=強盗・強奪
村雨「喧嘩出来る奴集まったか!?」
「おうっ」
「5人でいいか?」
十分だろ。狙いは成瀬・・女一人だぞ。
村雨「よっしゃぁ!六本木突っ込むぞ!」
どうせ染まるならよぅ・・
夜の闇に真っ黒に染まってやるよ・・