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東狂  作者: 火村虎太郎
19/23

19・最終決戦1・あの時も・・

ロアのてっぺんで待ってる・・・


ダリア「分かった・・・」


ロアのてっぺん・・・

いつかの時代の不良達のアイコンだったロアビル最上階にあった大箱のクラブ

東京から男も女もイケてる奴はみんなとりあえずここに集まった。

あの頃の・・まだ10代のガキの頃の八木原やダリアも・・



ダリア「・・・東郷っ」

東郷「ええ行きます当然」


誰だって連れてきていいぞ・・・これで決着着けよう・・・か。


東郷「兵隊何人くらい連れて行きます?」


もう爆撃やバニーは怪我人だらけだが多少まだ殴り合えるくらいの奴はいる・・


ダリア「要らない」


最終決戦に足手まといなんて要らない。

下手に人数揃えて、じゃあ数人出し合ってのタイマンは?とかじゃこっちが不利。

もう爆撃もバニーの頭も動けないのだから。

それに八木原もそんな事考えてないはず・・


最後は2人で直接・・・


ダリア「今日は一人で飲んで帰るわ・・・」

東郷「はい・・・」


そういってダリアは一人店を出て行く。


高級そうなバーで一人飲むダリア。

色々と思い出す・・あの時の事・・


ダリア「覚えてるわ・・・・」


鮮明に・・あの時代・・あの時・・あの場所で・・


港区男子「よかったら奢らせてもらえませんか?お姉さん」

ダリア「死ねよ!クソウンコ野郎」


なっ!綺麗だからナンパしようと声掛けたのによぅ!


港区男子「新宿かよまるで!下品な女だな!こっちからお断りだよ!」


そう・・新宿の女なの・・・勝つのもね・・・


ダリア「ごちそうさま・・」

黒服「お客様が失礼いたしました。本日はありがとうございました」


ダリアはすぐにタクシーを拾わず、風に揺れる・・


ダリア「懐かしいわね・・」


この辺りも・・昔は背伸びして麻布や虎ノ門の高いバーに遊びに来てた。


ダリア「・・・こっちね・・」


『あれ』があれば帰り道も分かる・・



そして次の日、新宿から東郷と六本木へと向かう。

ロアの前に着いたら・・


奥田「お待ちしておりましたどうぞ中へ・・」

遠藤「よぅダリアぁ」


ここから先はお二人で・・俺達はここで・・


東郷(遠藤に奥田はここでお見送り・・・)


だがすごいな・・・遠藤は戦う前から全身骨折だったはず、

さらに昨日の夜、爆撃と4階から飛んだばかり・・


松葉杖突いた奥田と、車いすに乗った遠藤が入口でまるで門番のように・・

そこへ・・


「ウォン!」 一台の単車が止まり・・


村雨「ダリア!俺も行く!なんで声掛けてくれねぇんだよ!」

ダリア「・・・・・・・」


村雨か・・・最後いい根性見せたみたいね街の噂よ。


村雨「もう何もかも失っても構わねぇ!!」


負けに負けて、負けに負けて・・もう恐い物も何にもねぇぞ!


ダリア「3人よ」

奥田「分かった」


だが・・


東郷「遠藤はいいのか?」


行かなくて?この抗争の重要人物で、主役級の活躍・・


遠藤「ああ・・」


俺はもういい仕事したから、ちょっとだけ休ませてもらうよ・・

てか・・


遠藤(もう指先すら力入らねぇんだわ・・)


もう全身ボロボロで喋るのもしんどいくらいだ。


「ファサ・・」


ダリア「ほら・・返すわ」

遠藤「ああ・・わりぃ・・ありがとう」


ダリアから返されたのはエースオブドラゴンの旗


遠藤「ちっ!」


ありがたいけどよぅ・・

柔軟剤たっぷりでアイロンまで掛けてんじゃねぇよ・・

くっそいい匂いすんじゃねぇか・・そういうの要らねんだよ・・


新宿からは3人そして最上階まで上がれば・・


東郷「懐かしいな・・」


あの頃のまんまか・・俺もここにはよく来てた・・


八木原「・・・座れよ」


椅子に腰かける八木原とその近くで立っているラナ


当然六本木側はここにいるのは八木原とラナ


八木原の前に小さなテーブルを挟んで一つだけ椅子が用意されている。

その椅子にダリアがゆっくりと腰かける。


Do you remember?

覚えてるかあの頃?


ダリア「ふっ・・」

八木原「ふっ・・」


あの時まだガキだった八木原とダリアがここに居た・・


明確にしよう・・・今日ここで決着を・・

これ以上仲間を巻き込めない・・


八木原「勝ったほうが・・・」


引き継ごう・・・もうこれは先代に了承済みだ・・


八木原「プレジェイを」

ダリア「ええ」


これで完全にどちらかが東京最高傑作へと・・

そして細かい決め事。

決着後はまた新宿、六本木は不侵略、相互不干渉継続。

チーム解散等も無し・・・だが・・


八木原「10億でどうだ・・」


勝ち金として・・


ダリア「いいわ」


負けた方は10億を相手側に。


村雨「じゅ・・10億ぅ・・・」


とんでもねぇ額。大した仕事してねぇ村雨にも5千万位はあるだろ分配金・・

爆撃やバニーは2億位か?あとはダリアに5億・・それだけありゃ絶対納得だ。

ウチも5千万あればトー横のみんな公園にも立たずに温かい部屋で眠れる・・


だが何をするんだ?10億の一発勝負って・・


「ゴトっ・・」  八木原が目の前のテーブルに・・


村雨「うぐっ!」

ラナ「ちょっ!」


拳銃!!

そりゃそうだ八木原はヤクザだぞ!拳銃位持ってる。


東郷「なっ!まさか!」


思い出すあの時の言葉。


抱いたままでも引くぞ引き金・・


「バッ!」


東郷「待ってくれ!」


そういって東郷が土下座して・・


東郷「ダリアは無理だ!」


ダリアを殺す事は出来ない!ダリアが死ねば新宿の夜ごと沈む!



だが八木原の話は進む。


八木原「6発のうち弾は1発だけ入れた」

ラナ「ちょっ!!ダメぇ!!」

村雨「ロシアンルーレットか!!」


これなら話は簡単に付く・・・


ダリア「・・・いいわ。話が早い。」


どちらかが死ねばいい・・か。・・好きよ・・そういうの。


東郷「駄目ぇ!駄目だぁ!」

ラナ「駄目ぇ!絶対!」


だが引かぬ二人、誰の叫びも聞こえぬ二人。


「ガッ!!」


東郷「俺が変わりに引く!」


そういって拳銃を手に取る東郷


村雨(くっ!)


何やってんだ俺は!遅い!遅い!


「ガッ!」


村雨「俺も引くぞ!!」


それを奪おうと東郷の手に掛けるが東郷の意思も強く離さない。

さらに・・


ラナ「私も!!!」


これは六本木対新宿・・・

決着は全員で!せめてこれなら・・


八木原「止めろ・・・」


止めてくれ無理だ・・俺には・・ラナの頭が吹っ飛ぶのを見るなんて・・


ラナ「私も無理ぃ!」


八木原が・・死ぬなんて・・


ダリア「早く引けよ」


うるさいわぁ・・


八木原「ふっ・・」


さすがダリア。

じゃあこれでどうだ?


八木原「弾は一発だ。全員で順番に・・・」


そして出た方の負け・・・


村雨「だがそれじゃあ・・・」


ここに居るのは八木原・ラナ・ダリア・東郷・村雨の5人・・

一発余る・・・てか三発引く新宿の損・・


八木原「俺が二発引く・・・」


これ位いいだろラナ・・


東郷「くっ!」


だがこれならダリアか八木原の2分の1ではなくなる。

これが落としどころか・・でないと二人は二人でやってしまうぞ・・


東郷「・・・・順番は?」

村雨「それ重要だぞ!」


どうせなら一番がいい6分の1だ・・

そこからだんだんと確率はヤバくなってくる・・

次は5分の1・・4分の1・・3分の1・・と


ラナ「・・・八木原は2回連続で引くの?」

八木原「ああ・・」


くっ!じゃあ何番がいいの?引くなら早め?


「カラカラカラ・・・」


八木原が弾倉をランダムにもう一度回し直し、その銃をテーブルに置く。



八木原「回すわ・・」


このテーブルの上でこの拳銃を・・

そして銃口の先が向いた奴が一番。そしてそこから・・


八木原「時計回り・・」

ダリア「いいわ。それで。」


けど・・並びはこれでいいの?特に・・


ダリア「八木原とラナ・・」

ラナ「ここでいい!」


傍に居たいっ!


東郷「くっ・・」


だがこの並びは六本木、新宿共に非情なものになるぞ・・・


八木原「・・・回すぞ・・」


躊躇わない・・


村雨「くっ!」

ラナ「うっ・・」

東郷「くっ!」


「シュルシュルシュル・・・」


テーブルの上で綺麗に滑る拳銃・・


並びは、ラナ・八木原・村雨、東郷、ダリア。


八木原「なぁ覚えてるか?」

ダリア「ふっ・・何を?」


どうしてこの二人はこんなに冷静なんだ?もう回る拳銃の方さえも見て居ない。


八木原「あそこのトイレでヤったよな」

ダリア「あはははは」


営業中のクラブのトイレに二人で隠れて・・


八木原「ダリアぁ・・・」


懐かしいよな・・


八木原「愛してたわ」

ダリア「私も」


なっ!

ちょっ!なんでこんな時に!とんでもない過去を!


「シュル・・シュル・・・シュ・・・・・・」


「カタッ・・」 ゆっくりと拳銃が止まり傾く。


八木原「さぁ始めようか・・」


この時代の決着を付けよう・・・


銃口が指した先は・・・


村雨「トー横の村雨だぁ!」


みんな覚えといてくれよな・・・俺の事・・

あの路上で笑い明かした夜を・・最後の・・村雨の根性見せてやるわ!

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