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東狂  作者: 火村虎太郎
11/23

11・東京最高傑作

遠藤が新宿でヤラれた事の衝撃が六本木を慌ただせる。

新宿は本気だ。遂に新宿の実質トップのダリアと一軍のバニーまでが参戦。


死にはしなかったもののエースの遠藤がしばらく抜ける六本木はかなりの痛手だ。

現在の六本木の不良は3枚看板だ。キャバ嬢のラナ、エースの遠藤そして・・


ラナ「もうフロアに入ろうかと・・」

  「いいから!絶対のお呼びだから!」


黒服「ちょっと困ります!いくらビーチでも!急に同伴は・・」

  「いいからいいから・・これ今日の売り上げあげとくから」

  「今夜一日ラナと同伴、貸し切りって事で」


そう言って黒服に一千万のブロック渡す若者


黒服「まぁ・・では・・」


確かに今夜ラナが売り上げ一千万上げれるか?となると無理だろう


黒服「よろしくお伝えください・・」


八木原さんに・・

八木原さんならラナに強引に何か・・とかはないだろ。


この六本木で最上位の客は同じ世代のエースの遠藤かビーチの八木原だ。


そして連れてこられた虎ノ門にある高層ビルのオシャレで高級そうなバーで・・


ラナ「ラナです・・・」

八木原「・・・・・・・・」


え~・・・・・普通こっち見ない?


後ろ向いたまま軽く手を挙げる座ったままの八木原


「スッ・・」


誰もいない店で八木原の隣に座るラナ


ラナ「貸切ったの?」

八木原「・・・・・・・」


こ・た・え・な・いっ。

う~ん♪全開ぃ~♪八木原ワールドぉ~


でも本当・・・ミラクルお金持ってるんだよなぁ・・

この港区男子グループのビーチ。

本当、六本木をビーチの様に楽しんでて、そして猛烈に不良で・・

まぁ不良というか・・あれだけど・・


八木原「・・・虎ノ門なんてきっと知らないぞ・・」


新宿の奴等は。

麻布台とか虎ノ門とか架空の都市ぐらいに思ってるし、

知らな過ぎて来ても道に迷うぞ。


ラナ「ぷっ!」


笑っちゃた。

確かにこんな高級なオシャレなバーなんて知らないし来れないと思う。


八木原「成瀬ぇ・・・」


今日はここに居ろ・・俺と・・


成瀬・・・ラナじゃなくて・・


何かこの八木原やエースの遠藤は私の名前を使い分ける・・

キャバ嬢としてはラナ・・

不良として用がある時は成瀬・・


ラナ「売り上げありがとう矢後原君」

八木原「ブッ!!」


お前よぅ・・マティーニ吹いただろうが・・何だよヤゴハラって・・

その微妙にチョイ間違えるの・・おもしろいじゃん。


「トッ・・」


八木原「・・・・・」

ラナ「・・・・・」


静かな空間でこの軽く手に手を載せる音さえ聞こたような・・


「失礼しますっ!」


そこに明らかにガラの悪い若い男がスマホ持って現れ・・


若衆「・・オヤジっ・・ギンオウ会からですが・・」

八木原「適当に言っとけ・・」


そう・・


ラナ(どヤクザなんだよなぁ・・・)


新時代だ。港区男子が不良グループで、かつリーダーが本職しかも役職持ち

若衆はまた店の外に出て・・


若衆「だから金で懲役行くのがお前らの仕事だろうが!切るぞ!」

ラナ「・・・すごい内容の会話聞こえたよ」


適当過ぎない?

同じ組織の本部からの電話だよね・・


そのギンオウ会では・・


二階「いつからかなぁ・・」


懲役行けるのがヤクザ・・

いや違う・・そうカッコよく言い聞かせてるだけ。

貧乏ヤクザは懲役に行け・・


そりゃそうだ。合理的だ。

金稼げないヤクザは懲役に行くしかない・・それが仕事だ。


今のヤクザは月々の上納額が一番の評価だ。

他に出世に必要なのは行動力や組員数に本人がどれだけ街の顔か・・

これも完璧だ八木原は。六本木の若手の象徴みたいな男だ。


あんな年下のガキがもう俺より役職が上とはなぁ・・

あの歳で頭補佐だぁ?もうほぼほぼギンオウ会のトップまで確定じゃねぇか・・


若衆「華もありますよね。」

二階「そうだなぁ」


これがヤクザとしてもだ。


若衆「吐いた唾、絶対飲み込まないらしいですね」

二階「それな」


いわば有言実行。最初に決めた信念を曲げない。

今時、ヤクザじゃなくて極道なんだよな・・

まぁこれが八木原が出世していく一番の理由だろう。


二階「八木原ってガキ、本当ヤクザの東京史上最高傑作になるんじゃねぇか・・」


おっと・・八木原の補佐ね。


まだあの頃はつまらねぇ街のチンピラだったけどなぁ・・

八木原、ダリアと・・


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