52 どうやら私は非モテキャラだった様です
皆様、ごきげんよう!
半年振りですね!
うふふ、私のことなんてもう忘れちゃったかしら?
「誰だお前?」
え、ほんとに?
嘘でしょ?
記憶にない?
マジですか?私、そんなに薄いキャラでした?
ほらほら、才色兼備だけど、愛嬌があって、愉快で可愛い、ボーボルド侯爵家のアーリエアンナですよ!?
「は?そんなやつ、知らねぇし?」
え?そんな。
ま、まさか、私……ヒロインじゃなく、モブキャラだったの?
非モテキャラなだけじゃなく?
あああ。そうでした。
私から、皆様に大事なお知らせがありました。お知らせしたくないけれど、王家の皆様にまで協力を仰いで、大々的に募集してしまったからには、ご報告しなくては……なりませんから。
本当は……庭に掘った穴に埋まってみたり、お部屋に籠城してみたり、誰も私を知らない土地に行って行方不明になったりしちゃいたいのですけれど。
まあ、仕方がありません。ここは一つ、恥を忍んで、ご報告したいと思います。
「えーーー、私、ボーボルド侯爵家のアーリエアンナが王家を通じて出したお見合い相手大募集の件ですが、なんとなんと、応募者は王弟のリードル様お一人でしたぁ!」
そう、たったの一人。
それも元婚約者の。
申し込んでこられたのは、私が結婚したくない人ナンバーワンなあの方のみでしたの。
他にはだあれも。
だあれも、私と結婚したいという方がいらっしゃらなかったのよ。
誰もいないって、どういうこと!?
シクシクシクシク。
「身長195センチ以上、体重110kg以上、ウエスト90センチ以上、握力100以上、 短髪、顔面強面系、上腕二頭筋が盛り上がっていること。筋肉ムキムキかつ肉付きが良いタイプなら尚よし。細マッチョ不可。笑顔重視、高圧的な性格不可、低会話能力不可、中毒患者不可、清潔感なし不可、食事に興味がない人不可、ワンコ系歓迎、38歳以下」
私の理想を詰め込んだ募集内容は、世の中で「お前レベルの女が何ほざいてんだ」扱いでしたのでしょうか?
ちょっとちょっと!
この世界、アーリエアンナに冷たすぎませんか?
「先ずは貴族内で募集をして、条件に叶う立候補者がいれば即お見合い」
元婚約者とした圧迫面接。もしかして、あれが私のお見合いだったのでしょうか?あれ以来、誰にもお会いしていませんけれど?
「1月以内に貴族男性からの応募がなければ、以後、アーリエアンナ嬢は、全ての貴族家からの婚約・婚姻申し出を拒否することができるものとする」
いいのよ!いいの!貴族にモテなくても!
1月以内に貴族男性からの応募がないならないで、自由になれたのだから!
そう!非モテキャラだったと判明したからと言って
悲しくなんてならないわ!くすん。
モテないならモテないで、平民の素敵な方とのフォーリンラブを夢見ることができる立場さえ手に入れば、それで満足したのに!希望を抱けたのに!
元婚約者のあのお方、いや、あの野郎がとち狂って応募してきちゃったから、貴族との婚姻拒否の権利を捥ぎ取ることができなくなっちゃったじゃない!
平民の素敵な方と電撃婚約という私の夢がぁああああ!!
でも、たった一人の応募者である、リードル様には厳しい内容の応募条件だったから、リードル様と婚約はないと思っていたのよ!
そうなれば、一族の中から、少しでも理想に近い人を探せばと。
一族の男性からも応募はなかったから、嫌がられちゃうけど。シクシク。
そこは本家の令嬢ということで、損得勘定でなんとか納得してもらえば。シクシク。
あああああ。
もう一つ、ご報告があります。
非モテキャラだと判明した私には、今、婚約者がいまぁあああああすぅ!(絶叫)