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41 木苺を消した少年 マジックではありません

 爽やかな朝が来ました。洞窟キャンプ、撤収の時です!


「えぇ!姉様、もうここでの冒険はおしまいなのですか?」

「そうよ、冒険者たる者、常に道なき道を探す覚悟で、貪欲に進んでいかないと!優雅に森林洞窟ライフを送っている場合じゃないのよ!兄弟!」


 洞窟生活に飽きたので、もうや〜めた!とは言えないので、それっぽいけれど意味不明な理由を、弟に伝えて誤魔化す、悪い姉。元々野営や籠城趣味のないアーリエアンナだ。今回の洞窟キャンプは、可愛い弟のレーリスが喜ぶかと思って計画しただだけで。洞窟シュチュエーションには予想以上にテンションが上がったが、それはそれ。飽きるのは早かった。


「そ、そうですね!ぼ、僕としたことが、ここでの生活を楽しみ過ぎていました!僕も片付け手伝います!」


 そして、姉の言葉を疑うことを知らぬ、チョロい弟。


「キャンプ道具は、元の場所に戻しておくだけで良いわよ。ロマリア様が回収しておいてくれるから」

「はい!」

「今回は、獲物になる小動物に出会えなかったから、長い旅で食料の手持ちがない冒険者みたいな食事になっちゃったわねぇ」

「メニューが、パンとチーズと木苺食べ放題か、干し肉と山菜のスープと木苺食べ放題だけでしたからね。でも、僕は気に入りました!今も、まだまだ食べられます!」

「……姉様、少し荷物整理したいから、レーリスは、出発まで木苺食べ放題に行ってきなさい」

「まだ、出発しないのですか?じゃ、じゃあ、僕ちょっと行ってきます!」


 洞窟から走って出て行ったレーリスは、アーリエアンナの視線の先で、既に木苺を頬張っている。木苺を詰めてぷっくり膨らんだ頬が面白い。そして、食べるのが早すぎる。

 洞窟付近の木苺を食べ尽くす勢いで、高速で“摘んでは食べ摘んでは食べ”している食べ盛りのレーリス。

 木苺を食べ尽くす前に、ブラックホールを埋め尽くせるのか。


 無理かもしれない。


 今回の洞窟メニューは、レーリスには粗食すぎたのねぇ。

 ロマリア様、「あら?この付近の木苺が、消えた?」って、驚きそう。


ーーロマリア様、ホルトスル侯爵家の皆様、申し訳ございません。ここでの木苺摘みは来年のシーズンまでお待ちください。後日、お詫びに【カフェ ボルドガボルド】のジャムをお届けしますので!


 回収をお願いするキャンプ道具の箱の上に、ロマリア様宛に書いた、詫び状を置けば、出発の準備は整った。



 どれ?少しぐらいは木苺は残っているかな…………


 そう思って、宝石の様に輝く赤や黄色の実を探してみたアーリエアンナだったが、輝き見つからず!


 見渡す限り、緑緑緑緑緑緑。


「姉様ぁ!僕もう少し食べられるんですけど、そこから木苺見えますかぁ〜?僕の周りにはもうないみたいなんですよ〜!」


 木苺敗北!ブラックホール埋め尽くせず!


「ここからも、見えないわ〜!まだお腹が空いているの?」

「もうないのですか。ないと聞いたら、お腹が空いてきてしまいました」


 アーリエアンナ敗北!森の中を移動する冒険者になる前に、どこかの街に寄り、欠食少年レーリスのブラックホールをなんとかしに行かねばならぬようです。


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