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37 森の中へ

短いです。

「ほら、あれよ、あれ!」


 森の中を少し歩いただけで、目的地に着いた。そこで、ロマリアが指し示す先にあったのは、大きな木だ。森の中にいる今、3人の周囲は木だらけ、と言うより木しかない状況であるが。立ち止まった場所の周囲だけは、間伐により、空がよく見え、明るい空間となっている。


 ロマリアの指先から、太い木の幹に視線を移す姉弟。


「ふむ。しっかりした木ね」

「大人男性3名が手を繋いだ位でしょうか」


 などと言い合っている姉弟に呆れながら、ロマリアの指先がブンブン揺れる。


「確かに、太さは重要だけど、見るのはもっと上!」


 ロマリアからのツッコミを受けて、アーリエリアンナとレーリスの視線が上を向く。見上げた先にあるのは、幹の上。当たり前だが、葉が茂っている。


「あ、姉様、あそこ、あそこです!」

「あ、見えた!」


 目立たぬように隠しているせいか、見づらいが、周囲にしっかりした枝を幾つも伸ばしている樹冠部分に、滑車と太いロープが取り付けられているのが見えた。その更に上にはハシゴのような物が見え、そのまた上には、極太ロープが離れた場所にある同じ位の太さの木に向かって伸びているのも確認できる。緑色のロープなので、言われないと気づけないが。


「この木の上が、開発中の小荷物と手紙を運ぶ木渡ルートの終着点よ」


 アーリエリアンナの前世で言うところの、木製アスレチックみたいなものらしい。ターザン形式と、縄梯子形式の場所があり、難所も何のそので、直線ルートで移動できるとか。


 ただ、ゲームには、木製アスレチックという名の遊具は登場しないので、地球という国の民の近代的な暮らしのほとんどを覚えていないアーリエリアンナの感覚で言えば、冒険者っぽくて素敵の一言だ。


「木と木の間を、飛ぶようにして進むなんて、格好良い!」

「僕達も、木に登って、飛んでみるのですか?」

「いや、流石にそれは無理だから。練習すれば、少しはできるかもしれないけど、怪我をしたら迷惑をかけるしね」

「残念です。僕、一度でいいから空を飛んでみたかったんですけど」


 肩を落としたレーリスに、ロマリアが苦笑する。


「期待させておいて、ごめんなさいね。まあ、今のところコレは訓練した配達人専用なのよ」

「将来的には、高台の王城付近から、ここまで、人のサイズにした鋼鉄の鳥かごを移動できるようにするのですよね?」

「自然に生えてる木の高さでは足りないし、木製で建築もね。石は丈夫だけど、石で作ると土台のサイズがねぇ。今は、素材を探してところよ。まあ、きっと、数十年以上先の話ね、実現するのは」

「でも、夢の様ですね。僕が生きているうちに出来ると良いのですけど」

「そうね。私も乗ってみたいわ」


「まあ、ここは見るだけということで、次に行きましょうか?」

「え?次があるのですか?冒険者っぽいから、ここが目的地だと思っていました」

「ここは、ホルトスル侯爵家の事業の見学に来ただけよ。目的地はたまたま見つかった場所なの」

「楽しみ!」

「僕も!」

「ふふ。じゃあ、行きますか!少し歩くけれど、準備は良い?」

「ハイホー!」

「ハイホー!」


 木渡ルートの終着点を後にし、森の中を歩くこと、1時間。3人の目に前には、樹木程度の高さの崖。表面を隠すようにして、苔やつる植物に覆われている。


「うわーー!いい!凄く良いわ!」


 まだ目的の場所には着いていないが、アーリエリアンナのテンションは爆上がりした!


イメージはイタリアのグッビオのゴンドラです。立って乗る、鳥籠のようなゴンドラで、1〜2人乗りだそう。楽しそう!

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