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36 ロマリア様とはツーカーです。

 パカパカパカパカ

「ヒーホー!」「ヒーホー!」


 王城を中心にぐるりと回るようにして、ミッドエリアを移動。途中、小規模な上級宿に泊まったりしながら、辿り着いたのは、隣の隣の組エリアにある……ホルトスル家の王都街屋敷である。


「タノモー!」


 と、言いたいところを我慢して、静かに王都街屋敷内にお邪魔するボーボルド姉弟。受付で、ロマリア様への取次を頼む。


「まあ。アーリエリアンナ!本当に来たのね!」

「お久しぶりです、ロマリア様。勿論来るに決まってます。あ、弟も連れて来ちゃいました」

「お久しぶりです、ロマリア様。お会いできて嬉しいです」

「私も貴方に久しぶりに会えて嬉しいわ」


 ホルトスル侯爵家の親族ロマリア様は、私より10歳年上です。本来はお母様相手の時にように、貴族令嬢として振る舞う必要があるのですが、そこは相手次第でして。

 昔から、ロマリア様には、「私相手に、そこまでかしこまらなくても良いわよ」という許可をいただいているので、同席者がいない場合は、フリーダムです。

 ですわ、ですわ、と言わなくて良いのは、楽でいいですね。


 そんなロマリア様に、ここに来るまでに、【カフェ ボルドガボルド】で購入しておいた、特別体験料金代わりの賄賂菓子を手渡す、と。


「お主も悪よのう〜」

「いえいえ、代官様ほどでは御座いません」


 ニヤリと笑いながら、ロマリア様がそう言うならば、ニンマリ笑い、アーリエリアンナはこう返す。


 まあ、2人ともあまり意味はわかっていないが。昔、アーリエリアンナが豆粒程に小さかった頃、「クッキーを渡すときはこう言うの!」と、伝授したらしい。豆粒サイズだったことはないと思うし、伝授の記憶も、セリフに関しての記憶もないのだが、なんとなく、今も2人の間で続けられているやり取りだ。


 この国は王都内であっても広く、貴族同士の交流も簡単ではない。男性同士は仕事でそれなりに会う機会があるけれど、女性や子供同士は、横の交流がしづらい。ただ、女性も回数は少ないが定期的に集まり、情報交換はしている。そしてその集まりは王城で行われる。貴族達の住まいの中心で、全員の移動が一番楽なのが王城なのだ。


 女性も子供も忙しいから、毎回全員参加というわけには行かないが、王城に集まって、成人女性が情報交換のお茶会に参加している間に、連れてこられた子供達は、おしゃべりしたり、遊んだりで、他家の人間と交流する。

 ロマリアは、現ホルトスル侯爵家の分家の親族ということで、王城でのお茶会には呼ばれた時だけ参加するような立場の人だ。ただ、アーリエリアンナが小さい頃は、ロマリアも未成年で、侯爵家の親族に同行する形で気軽に王城に遊びにきていた。同世代との顔繋ぎや交流が目的ではあるが、小さな子供達ともよく遊んでくれていた。うるさい事を言わず、なかなかワイルドな遊びをしてくれるため、子供に大人気なロマリアに、アーリエリアンナはよく懐いていたらしい。そんな訳で、アーリエリアンナがおかしいことは結構バレている。


 ロマリア様だし、ま、いっか。そのことに気づいた時のアーリエリアンナは、それ流して終わった。ま、問題ない。多分と。


 そんな割とツーカーなロマリアとアーリエリアンナは、後ろにレーリスを引き連れて移動する。


 王族ではないホルトスル侯爵家も、ボーボルド同様、女性は家業に励んでいる。衣食住、様々なものを取り扱うのが侯爵家の商売では当たり前だが、ホルトスル侯爵家は、開発した品を国に売ることが多いお家だ。移動用のツールがメインなので、開発には広い敷地を必要とし、街中ではなく、森の近くに王都街屋敷をおいている。


 そんなホルトスル侯爵家が現在開発中なのは……。


 まあ、行ってみないとわかりませんね、と。ホルトスル家の王都街屋敷にロバを預け、3人は森の中に入って行った。



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