35 天才ロバと遊んでいます。
おバカが加速
ハイホー!無事に王都街屋敷からの脱出を果たした、アーリエアンナちゃんです!
「姉様?誰と話をしているのですか?」
私のファンとです!いえ、嘘ついてごめんなさい。昨日の夢に出てきた、世界の傍観者であるショセーナロウ様にご挨拶してただけです。あ、一昨日の夢に出てきたアルーポ様にもご挨拶しておいた方が良いですか?ハイホー!
「なんでもないわ。それにしても、レーリスが乗ってるロバさん可愛いわねぇ」
「ヒーホー!」
「ブルル!」
「貴方は、男前よ!」
「ヒーホー!」
誤解しないでください。常々ハイホハイホーと心の中では陽気に叫んでいる私ですが、現実世界では自粛しております。「ヒーホー!」で返事しているのは私ではないので、そこのところよろしくなのです。
「姉様、ロバって、人間の言葉がわかるのですか?返事しているようにみえるのですが?」
「簡単な言葉はわかるのかも?」
「ヒーホー!」
「わ、わかるんだね」
「ヒーホー!」
皆様にご報告です。この国のロバ全部かはわかりませんが、少なくとも、今私と弟が跨っているロバ2頭は、人語を解するロバの様です。普通なの?それとも、この子達が天才なの?
「姉様、ミッドエリアで、本当に冒険者が出来るのですか?」
「そうね、ロマリア様に聞いた話によると、冒険者っぽいことは出来るみたい」
「楽しみです。でも、何故僕たちはロバに乗っているのですか?馬を置いてきてしまいましたが、良いのですか?」
「ヒーホー!」
「ごく普通の平民の少年少女は、馬2頭で旅なんてしないものなのよ。馬イコール金持ちなの、貴族なの。バレちゃうのよ」
「え〜。僕これまで、綺麗な服を着ていなければ、貴族にみえないと思っていました」
「ヒーホー!」
「残念ながら、バレバレでした。レーリスはどこからどう見ても、貴族のお坊っちゃまなのです。髪も肌もツヤッツヤだしね。手は、多少ゴツゴツしてるけど、爪がボロボロなわけでもなく、綺麗でしょ?」
「じゃあ、姉様も?」
「そうね。いつも街では平民の冒険者気分を楽しんでいるけど、貴族の嬢ちゃんか、金持ちの嬢ちゃんか。そんなところでしょうねぇ。でも、私の場合は、貴族言葉が抜けちゃうことがあるから、貴族ではなく、金持ちの嬢ちゃんかも?」
「ヒーホー!」
「うん、何の返事かわからないけど、まあ、ありがとう」
「そうですか。頑張って変装していたつもりだったので、ちょっと悲しいです」
「ヒーホー!」「ヒーホー!」
「慰めてくれてありがとう」
「今日は、後ろから見れば、平民に見えなくもないと思う!前からでも、平民の中で流行ってる髪型にした鬘のおかげで、レーリスだとは気づかれないわよ!」
「ヒーホー!」「ヒーホー!」
「姉様も、姉様に見えません。多分」
「身体付きを変えたのは、良かったかもしれないわ。フォルムが違うと別人みたいに見えるし。背中に重ねた布のせいで何だか暑いけど。あ、レーリス、もう少し背を丸めて!そして、私の後に移動して、列になって歩くの!」
「ハイっ!」
「ヒーホー!」「ヒーホー!」
「ハイっ!」
「やるじゃないか!これが冒険者の基本のドラなんちゃら歩きよ!試験に出ますから、覚えておくように!」
「ハイっ!」
「ヒーホー!」「ヒーホー!」
「次は、さっきの並びで!オーなんちゃら歩きよ!」
「ヒーホー!」「ヒーホー!」
「ね、姉様、ロバが勝手に横並びに!」」
「天才かっ!」
「ヒーホー!」「ヒーホー!」
「天才なのね!」
「ヒーホー!」「ヒーホー!」
ロバと楽しく遊びながら、冒険者ごっこしていたら、ちょっと道を間違えてしまいました。テヘペロ。




