21 宇宙人のことは右から左へ流すべし
短めです！
パカパカ、トボトボ。
死んだ目をした姉弟が、馬を引き引き、力なく歩く。
ちなみに2頭の馬は「いくらなんでも歩くの遅すぎじゃね？」と、不満げに鼻を鳴らしている。
大きな身体で、人間のトボトボに合わせるのは大変だからね。
「ね、姉様……大丈夫ですか？」
はっ！！ああ！
「ごめんなさい、レーリス。姉様、衝撃のあまり、少しぼーっとしちゃったわ！」
「いえ、僕もちょっとぼーっとしてましたから」
折角レーリスを連れて、街に来ていたのに、無駄な時間を過ごしてしまったわ。
反省、反省！
気づいていなかったけれど、最近会っていなかったせいか、宇宙人耐性が落ちていたのね。
耐性つけるために会いたいかと言われたら、マッハで逃げるけど。
（＊マッハは昭和表現で、一瞬でとか、めちゃくちゃ早くという意味で使います。アーリエアンナの世代の言葉ではないのに、転生後に思い出して使えているということは、前世のゲームにでも出てきたのかもしれませんね。）
それにしても、あの店、どうみても、本人以外やる気ないわよね。
店員さんの目、死んでたし。
お客さんの目も死んでたということは、あれも多分身内だわね。
自分の仕事で忙しいだろうに、可哀想。
私達も被害受けまくりだけど、身内じゃないし。
アレが自分の身内にいたら、逃げ出さない自信がないわ。
それか、可愛さ余って、埋めちゃうかも。
あ。他家でよかったわ！危うく犯罪者になるところだった！
宇宙人コワイ、ブルブル。
ああ、もう！こんなこと考えていても仕方がないわ！
明日母様達とお会いするまで、一度忘れましょう！
報告とか対策とか、どうせ後でちゃんとしないといけないんだもの。
今、憂鬱になっても意味はないわ。
「先程の購入品は、報告には使いますけど、お土産にはできそうにないので、他のお店で買いましょう。その前に、デザートです！私達に今必要なのは、デザートしかありませんからね！」
元気のない弟に向かって、きりっと宣言する姉。
兄達同様、割と単純なレーリスは、即座に復活した。
「そうですね、僕、凄くお腹が空きました！」
え？凄く？
貴方の胃袋ブラックホール、リセット早すぎない？
