ミミズでからぬけ
『小石のような男』様の『イルミ×ナイト作品を創ろう企画』に参加させていただいた作品です。
企画の詳細は後書きのリンクをご覧ください。
ある所に、イルミ君というニワトリのエボル(喋れる動物)が居りました。
ある日イルミ君は友達のナイト君というフクロウのエボルになぞなぞを出してみることにしました。
「ねえねえ。ナイト。僕いいなぞなぞを思いついたんだ。付き合ってよ」
「いいよイルミ。どんなのだい?」
イルミ君はくすくすと笑いながらクイズを始めました。
「羽根があって、足が2本あって、トサカがあって、『コケコッコー』と鳴くものは?」
ナイト君は呆れたような表情ですぐさま答えました。
「ニワトリ」
「正解……じゃ、じゃあ、次いくよ! ちょっと大きくて、くちばしがあって、空を飛んで、首がいっぱい回るものは?」
ナイト君は呆れたような表情ですぐさま答えました。
「フクロウ」
「正解……」
イルミ君は少しの間、悲しそうにしていましたが、しばらくするとますますやる気が出てきました。
「今度はもっと難しい問題を出すぞ!!」
「やめとこうよ。イルミが悲しくなるだけだよ」
「いいから! いいから!」
「分かったよ……」
「じゃぁ、いくよ! 長いのも短いのもあって、太いのも細いのもあって、つかむとヌルヌルして、潜る、美味しいものは?」
「今明らかに、イルミの主観が入ったよね」
イルミ君は少し汗を掻きながら答えました。
「ハ、ハイッテナイヨ」
ナイト君は少し悩みながらつぶやきました。
「まぁ、いいや。美味しいものと言えば、ひよこだけど……」
イルミ君は今度は冷や汗を掻きながら言いました。
「い、今なんて言った? 僕の眷属の危機を感じたんだけど……」
「キ、キノセイダヨ」
しばらくナイト君は悩むと、ハッと思いつきました。
「そうだ! イルミは僕が『アナゴ』と答えたら『ウナギ』と言って、『ウナギ』と答えたら『アナゴ』と言うんだろ?」
イルミ君は得意げな顔で言いました。
「両方言ってもいいよ」
ナイト君はモヤモヤしながらも答えました。
「アナゴとウナギだ!!」
すると、イルミ君は勝ち誇った顔で笑いながら答えました。
「ハハハ!! 残念!! 『ミミズ』でからぬけだ(=出し抜いてやった)!!」
ナイト君は爆笑しているイルミ君に腹を立てました。
「ミミズなんて美味しくないやい!」
イルミ君は顎を突き出し、得意げに言いました。
「僕が出したなぞなぞなんだから、僕が美味しいと思うものを出して何が悪いんだい?」
「そ、それは……」
反論できないナイト君を見てますますイルミ君は調子に乗りました。
「ハハハ!! は~面白い!! 長いのも短いのもあって……」
ナイト君もますます腹が立って、イルミ君の言葉に割って入りました。
「も~いいよ!! 答えはミミズだろ?」
イルミ君はニヤリと笑いながら答えました。
「ハハハ!! 残念。今度はヘビだ!!」
初めましての方は初めまして! ご存じの方はいつもおおきに! わたくし、緑卯と申します。
この度は『小石のような男』様の『イルミ×ナイト作品を創ろう企画』に参加させていただきました。
この企画の詳細は下のリンクからご覧ください。
そして、『小石のような男』様とわたくし緑卯のTwitterも載せておりますので、ぜひぜひフォローよろしくお願いいたします。
企画詳細→https://t.co/CqaKCdBOSr
『小石のような男』様 Twitter→https://twitter.com/koishiotoko?s=20&t=16qaK3zjeAX2vV8dm0g1mQ
緑卯 Twitter→https://twitter.com/RYOKUsyosetu?s=20&t=0HryKkQDT11wxtpSqdGxfQ
今回は落語の『アナゴのからぬけ』という噺を参考にさせていただきました。私自身も落語が大好きで、いつか2人のキャラクターにやらせてみたいなと思っていました。そこで、今回私は、イルミ君とナイト君という、性格は違うけど、仲良しで、可愛らしいキャラクターを知り、ぴったりだと思って出させていただきました。
この噺の落ちを分からなかった人向けに解説すると、『からぬけ』とは『出し抜いてやった』という意味があるのですが、それに対して、『から』で空振り、『ぬけ』で抜ける、つまりヌルヌルするから持ちにくいという事をかけているということです。
落語は独特の落ちに、言葉遊びなど、日本古来の『笑い』が溢れていますので、「あんまり分からなかったな」という方も、落語という芸を知っていただけたらなと思います。
私自身は普段小説を書いているので、この企画で私の事を知っていただけた方はぜひぜひ、私の他の作品も読んで頂いて、よろしければ、評価と感想もよろしくお願いいたします。
この度は素敵な企画に参加させていただいて本当にありがとうございました。