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ボイスパイ  作者: 星崎椎茸
7/9

泥棒との決着

 でも、それは耳に入らないらしく、泥棒は、まるでよく調教された猛獣のように……というより催眠術にでもかけられたかのように、素直にリアの指示に従い、四つん這いになって悔しそうな声で言った。

「武器はない……! 俺には黙秘権がある……弁護士を呼んでくれ」

 だが、それをリアの厳しい口調が遮った。

「黙りなさい! ここは日本よ! 海外ドラマ見過ぎじゃないのっ? あんたに権利なんかないわ! それともマグナム弾を喰らって警察のいない世界へ行く?」

「わ……わかった。いう通りにする! 撃たないでくれえっ!」

海外ドラマの見過ぎっていうなら『FBI(アメリカ連邦警察)』の女性捜査官がわざわざ日本語で話すんだろう? ドラマの見過ぎはリアさんのほうでは……とカヨは内心に思ったけれど、こういう場面で余計なツッコミは良くないかな? ……そう思い直すと、足音を忍ばせて退出し、スマホで警察に、この一件を通報した。

 十数分後、踏み込んできた本物の警察が室内の明りをつけると、泥棒は狐か狸に騙されたかのような、茫然とした表情のまま、拘束され、パトカーに乗せられて屋敷をあとにした。

 かくして、龍門館の宝石窃盗事件は幕切れとなった。

 当然、リアもカヨも警察に呼ばれて、一通りの事情を聴かれたが、泥棒が怖くて、二人抱き合って震えていたと言う幼稚極まる嘘に担当の刑事さんも可愛そうにと同情し、お菓子やジュースをたくさん買ってくれた。

 余談だが、そのときのリアの泣きマネはお腹を抱えて笑いたくなるほど、リアルであった。

 この技術を悪用したら大変なことになるだろう。


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