第六話〜悪霊の真実、博麗の秘密〜
「悪霊」その単語が何を表すのかカズマは理解出来なかった。しかし、霊夢の顔が青くなっているところを見ると、すごくやばい「何か」である事は理解出来る。
「悪...霊?」
高木はきょとんとしてしまった。しかし、紫はカズマと高木にも分かるように説明を始めた。霊夢は相変わらず俯いたまま黙っている。それだけではなく、震えているようにも見えた。
「続きを話すわね。幻想郷には旧地獄跡というものがあって、そこには亡霊が彷徨っているわ。とは言っても彷徨っているだけで、本来危害を加えてくる事は滅多にないの。」
カズマと高木はそれを聞いて軽く頷いた。そして続きを聞こうと、カズマは紫に問いかける。
「それで紫さん、その亡霊というのが悪霊と何か関係があるんですか?」
紫はすぐに答える。
「亡霊には一から十の脅威度と言うものがあって、普通は一から五の範囲で納まるのよ。でもたまに、怨念が強く、人を殺傷、その魂を捕食し、力を蓄え、人のような姿に変身し、私達のように能力、スペルカードを使えるようになる奴がいるのよ。」
その答えはカズマが想像していたより恐ろしい内容だった。本来危害を加えないはずの亡霊が、魂を喰らい、成長し、悪霊へと姿を変える。霊夢が怯えるのも無理は無い。しかし何故だろうか、カズマには霊夢が怯える理由が他にあるように思えた。でも、こんな状態の霊夢に理由を聞くのは申し訳ない....。
「紫さん、今その悪霊ってのは何体確認されているんだい?」
「.....七体。」
紫の口から出た想像よりも多い数にカズマと高木は驚愕した。
「七体ってマジかい。」
「冗談ですよね?」
しかし紫は首を横に振った。最悪だ。これがもしや異変と言うものなのだろうか....。
「名前は脅威度が低い順に死齶、奈落刃、覇津瀬、鶴珠狼、天欺、骸邪、そして....。」
紫が最後の名前を言おうとした瞬間、それまで黙っていた霊夢が突然声を荒げた。
「やめて....!やめろ!!!」
紫もカズマも、そして高木も驚いて固まった。
「霊夢....ごめんなさいね。でもこれは幻想郷の未来が掛かっているの。だから、許して頂戴....。」
やはり何かある。霊夢の反応を見ればそれは確実だった。
「最後のそいつは....博麗霊子。先代博麗の巫女であり、八年前に霊夢の両親を殺した張本人よ!」
大変な事を聞いてしまった。悪霊のトップが元博麗の巫女であり、霊夢の両親を殺した犯人。カズマはこの幻想郷に来てから驚く事ばかりだった。
だが、今回の内容は驚くなんてものじゃない。いつの間にか霊夢は泣き出してしまった。
カズマはこれ以上は高木に迷惑が掛かってしまうと思った為、勘定を済ませ、紫にスキマで博麗神社まで送って貰った。
「すみません、紫さん。ありがとうございます。」
「いいのよ、明日また来るから、今日はゆっくり休みなさい。」
紫はそう言うと、スキマの中に消えていき、あっという間にスキマが閉じた。
「霊夢さん、大丈夫ですか?今日はもう寝ましょうか。」
カズマは霊夢の布団を敷き、部屋から出て行こうとしたその時、
「あの、ごめんなさい....。ありがとう、カズマ。おやすみなさい。」
霊夢は恥ずかしそうにカズマに礼を言った。
「はい。明日、落ち着いてお話しましょう。俺も力になりますから。おやすみなさい。」
そう言ってカズマは退室し、自分の部屋に戻ると、静かに床に着いた。明日の夕方には武器も仕上がる、そうしたらきっと、霊夢の役にも立てる。
カズマの心は、少しずつ霊夢という一人の少女に惹かれていた。




