第二話〜博麗の巫女〜
「もうすぐ着くのだー。」
博麗神社に行くまでの道中、どんなやばい奴が出てくるのかとカズマは不安であったが、意外とあっさり辿り着けたことに安心した。
しばらく歩くと、暗くてよく見えないが階段があるのは分かった。
「この先が博麗神社?」カズマが問いかけると、「そうだよ、こんな時間だからもしかしたら機嫌が悪くなるかも知れないけど。」とチルノが答えた。機嫌が悪くなる。確かにこんな夜遅くに見ず知らず人間が来たら誰だってそうなるだろう。しかし、今はこの幻想郷から元の世界へ帰る為にも行かなくてはいけない。
少し心配な事もあったが、三人は階段を登っていった。
階段を登り切って鳥居をくぐると、社があり、なにやら明かりがついているのが見えた。微かだが、声も聞こえてくる。
「あれ、まだ起きてるのかー?」ルーミアはそう呟くと社に向かって浮いたまま進み始めた。その後にチルノ、カズマと続く。段々と近づくにつれ、声がはっきりして来た。どうやら人が二人いる様だ。
「それでさー、最近めんどくさい事ばっかり起きてんのよ、嫌になっちゃうわ。」
「まあ最近異変は起きてないから私は助かってるぜ。」
そんな会話をしている二人に、ルーミアは話しかけた。
「霊夢!この人困ってるのだー。助けて欲しいのだー。」二人の会話は一瞬にして止まった。
「げっ!ルーミアとチルノじゃないか!どうしたんだ?」
巫女服を着た少女の横に座っていたもう一人の金髪の少女が問いかける。すると、その横にいた巫女服の少女が
「ていうか、その横に居る人間外の世界の人間でしょ!?よく人食い妖怪に見つかって無事でいられたわね!」と詰め寄ってきた。
ああ、やっぱりルーミアは人食い妖怪だったんだ。と考えているカズマに巫女服の少女は不機嫌そうな顔をして口を開いた。「あんた、名前はなんて言うの?こんな時間にここまで来れた事は運が良かったけど、大抵は妖怪の餌になって野垂れ死にするんだから!」その問いかけに、カズマは答える。「カズマです。こんな夜分遅くにすみません。外の世界でスキマを見つけて、気付いたらここに飛ばされて困っているところをこの二人が助けてくれたんです。」
「そうなの、あんた本当に運が良かったわね。ルーミアが満腹だった事に感謝しなさい。私は博麗霊夢、聞いてるとは思うけど、博麗の巫女よ。」巫女服の少女に続いて金髪の魔法使いの様な少女も自己紹介をする。
「私は霧雨魔理沙、普通の魔法使いだ!よろしくな!」
カズマは二人が思ったより優しそうな人で安心した。
カズマが安心していると、ルーミアとチルノは「私達はそろそろ行くのだー。」「じゃあな!カズマ!!」と笑顔で言って帰っていった。カズマは二人に礼を言い、二人を見送った。すると、霊夢は本題である戻り方の話を始めた。「さてと、まずは戻り方なんだけど、ごめんなさいね。実は私も分からないの。」カズマはまさかの返答に困惑した。
「博麗の巫女でも分からないということですか?」
カズマが問いかけると霊夢はため息をついて答えた。
「最近外の世界から人が迷い込んでくる事が多いのよ。
本来この幻想郷と外の世界は結界によって隔離されているの。でもどうゆう訳か、結界が緩んできてしまっているんでしょうね。だから私も、加護を与えて貴方がこの幻想郷に住める様にする事はできても、元の世界に返す方法は分からないのよ。」
カズマは肩を落とした。博麗の巫女であれば元の世界に帰る方法を知っていると大きすぎるくらいの期待をしていた事もあり、その気持ちを隠し切る事は出来なかった。そんなカズマの様子を見た霊夢と魔理沙は、流石に気の毒そうな表情を浮かべた。
「まあ、とりあえず加護を与えて貴方を幻想郷に住める様にしてあげるから、そう肩を落とさないの!」
「そ、そうだぜ!きっとここに住んで色々調べてるうちにきっと帰る方法だって見つかるはずだぜ。」
二人が必死にフォローしているのがカズマには分かった。そのフォローはとても不器用なものであったが、カズマには勇気、そして覚悟の様な複雑な感情が芽生えた。そして、カズマは霊夢をまっすぐ見つめ、ゆっくりと口を開く。
「霊夢さん、加護をよろしくお願いします!そして、俺は帰る方法を探します!」さっきとの変わり様に驚き気味の霊夢と魔理沙。しかし、その二人はなんだか笑っている気がした。
「おう!こちらこそよろしくなのぜ!仲間が増えて楽しくなりそうだな!霊夢!」突然言われた霊夢は困惑しているが、しばらくすると喋り出した。
「ええ、その代わり、しっかり私達の役に立つこと!普段は異変解決やら何やらで大忙しなんだから!明日から早速働いてもらうわよ!」そう言う霊夢も少し嬉しそうだった。そしてこれは、カズマの幻想郷生活の始まりであった。