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東方幻想夏記  作者: やまとく改二
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第一話〜幻想への誘い〜


「ほら、ここだよ。いいとこだろ。」

カズマは晴人に自慢げに言った。すると、晴人も結構気に入ったようで、

「ああ、結構小さい川なのかと思ってたけど、これなら楽しめそうだね。」

そう言って靴を脱ぐと、川の中へと歩いて行った。

川に来て十分くらいは経っただろうか。自分の腕時計を確認した晴人が、カズマに声を掛けた。

「そろそろ上がろう。模試に遅れるのはまずい。」

カズマとしてはもう少しここに居たい気持ちもあったが、渋々それを承諾し、川から上がろうとしたその時、岩の間に人が一人ギリギリ入れるような穴を見つけた。「穴」というべきなのだろうか、どちらかというと、その向こう側は別の空間が広がった「スキマ」のように思えた。好奇心に駆られたカズマは、その空間へと手を伸ばした。その時、

「え!?うわっ!」

その「スキマ」は一気に広がり、カズマは悲鳴と共にその空間へと消えていった。

「あれ、おーい、カズマ?何処行ったの?」

晴人はカズマが居ない事に気付き、大声でカズマを呼んだ。しかし、

「あれ?カズマって、誰だっけ?」

その記憶は、まるで初めから存在自体が幻想だったかの様に、ぱったりと消えてしまった。

「うう、何があったんだ...。」

空間へと吸い込まれたカズマは、気がつくと夜の暗い森の中にいた。さっきまで昼間だったのに、暗くなっていることにカズマは焦る。

「マジかよ、気を失っている間に夜になっちまったのか?なんで、晴人は助けてくれなかったんだ?ていうか俺は川に居たよな。」

色々な事がいっぺんに起こり、状況を整理出来ていない中、後ろから声が聞こえた。

「あれぇ、人間がこんな夜遅くに何してるんだ?」

「わはー、こんな夜に人間が一人で歩いていたら妖怪に襲われちゃうのだー。」

カズマは声の方向を見てますます混乱した。そこには少女が二人居た。しかし、一人は青髪に氷の様な翼。そしてもう一人は金髪で宙に浮いている。

「あー、これはあれか、俗に言う異世界召喚て奴か。まさかあのスキマのせいか?」色々と状況が掴めて来たカズマに、一人の金髪の方の少女が言った。

「もしかしてお兄さん外の世界の人間なのかー?ここは幻想郷、忘れられた者たちの楽園なのだー。」

「幻想郷、って言うのかここは?」

カズマは本で読んだ覚えがあるが、まさか自分が来る事になろうとは想像もしていなかった。

「私は今日はお腹いっぱいだからお兄さんは食べないのだー。」

少女の可愛らしい姿、口調とは裏腹に恐ろしい発言。

「じ、じゃあ腹が減ってたら俺を食ってたのか?」恐怖と戸惑いが隠しきれないカズマに少女は笑顔で答える。「そうかも知れないのだー。あ、私はルーミアなのだー。よろしくなのだー。」

まさかの自己紹介に少し困惑するカズマ。

「あ、ああ、俺はカズマだ。よろしく。」

そして金髪の少女の横にいる青髪の少女は、

「あたいはチルノ!幻想郷で最強の妖精だ!よろしくなー!」

まさかの最強発言。一見最強には見えないが、もしかしたら本当に強いのかも知れない。

「本当に最強なの?チルノって。」

気になったカズマはルーミアに問いかける。しかしルーミアは、

「気にしなくていいのだー」とあっさり最強説を否定。

すると、チルノはそれが気に入らなかったようで、

「もう!最強ったら最強なんだい!!この前だってカエルを二匹凍らせてやったんだからなー!!」

否、カエルを凍らせるのは俺だって冷蔵庫にぶち込めばできる。と突っ込みたくなったカズマだが、

「私だって冷蔵庫を使えばできるのだー。」

ルーミアが先に突っ込んだので、その必要はなくなった。ルーミアは横でむすっとしているチルノは放っておいて、カズマに話しかけた。

「それはそうと、さっきも言った様に夜に外を歩くのは多分外の世界の二百倍は危ないのだー。」

ルーミアに再び危険であることを聞かされたカズマは「元の世界には戻れないの?」と問いかけた。

「私は外の世界への戻り方は知らないけど、博麗神社の場所は知っているから連れて行ってあげるのだー。」

カズマは博麗神社というところがどんな場所なのかは全く知らないが、どうやらルーミアの話を聞く限りその場所は安全らしい。

「じゃあ、その博麗神社なら安全なんだな?」

「そうなのだー。それともしかしたらそこに住んでる博麗の巫女なら元の世界に帰る方法を知ってるかも知れないのだー。」

それを聞いたカズマは、とりあえず安心できた。

「よし!それじゃあその場所まで案内よろしくお願します!」

「分かったのだー。じゃあ一緒に行くのだー。」

「あ!あたいも行くー!!」

カズマはルーミアとチルノの後をついて行き、博麗神社へと向かうのだった。

 

 

 


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