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東方幻想夏記  作者: やまとく改二
13/17

第十二話〜永遠亭での一日〜

登場人物紹介


鈴仙・優曇華院・イナバ 月から来た兎。月から地上に

            逃れて来るまでは、『玉兎

            軍』と呼ばれる月の軍の軍人

            だった。


八意永淋 月の住人。薬の調合を得意としており、不老

     不死の薬を作ることもできる。


因幡てゐ 迷いの竹林に住む兎。カズマの前に姿を現し

     た。


カズマ 外の世界では高校生だった。悪霊や妖怪にのみ

    有効な銃を所持している。


博麗霊夢 博麗の巫女。八年前に両親を悪霊に殺害され

     ている。博麗家との直接の血の繋がりは無い

     と言う噂もあるが....。


犬走椛 白狼天狗。悪霊『奈落刃』との戦いで重症を負

    った。千里先まで見通す能力がある。


奈落刃との戦いの後、怪我を負った霊夢と椛は、紫のスキマを通り、永遠亭へとたどり着いた。

「霊夢さん、足の怪我は大丈夫ですか?すぐに診察を行いますので、どうぞこちらへ。」

丁寧な口調で廊下を歩いて来たのは鈴仙だった。

「ありがとう鈴仙。椛の具合はどう?」

「怪我は酷いですが、命に別状はありません。少し入院して治療すれば良くなります。」

「そう、良かった。」

「ああ、良かった〜。」

鈴仙はカズマを見ると、しばらく沈黙した。

「あの、貴方は人里の人間ですか?」

少し気になった様な聞き方であったが、それと同時にカズマに怯えている様にも思えた。

「ああ、すみません。俺はカズマです。外の世界から来ました。」

「外の世界....ですか。」

「鈴仙、大丈夫よ。カズマはいい奴だから。」

それを聞いた鈴仙はほっと安心した様だった。

「そうでしたか。私は鈴仙・優曇華院・イナバです。ちょっと人間恐怖症で....。こう見えて月から来た兎です。」

確かに兎の様な耳は生えているが、月の兎というのはみんな人の姿なのだろうか....。

「そうだったんですか。俺は兎を取って食ったり(意味深)はしないので、安心してください。」

「まあ、そんな事したらあんたを退治するけどね。」

「はい、もう大丈夫です。よろしくお願いします。」

笑顔で殺気を放つ霊夢にはかなりの恐怖を感じた。そんな会話をしているうちに、椛の診察が終わった様だ。

「優曇華、椛の治療が終わったから次は霊夢の....あら、そちらの方は?」

奥の部屋から出て来たのは、白髪の女性だった。

「はじめまして、カズマです。外の世界から来た人間です。」

「そうなの、私は八意永淋です。この永遠亭で薬の調合や病人の診察をしています。」

なるほど、人里にも医者は幾つか見掛けたが、この永遠亭は外の世界で言う大学病院的な存在だろうか。

「永淋、久しぶりね。私は別にこのくらいの傷大丈夫なんだけど....。」

霊夢は怪我をした方の足をぶらぶらと揺らしながら呟いた。

「ダメですよ。ただの傷であればまだしも、悪霊が放った針が突き刺さったのですから。しっかり治療しなくてはいけません。」

永淋は少し強めの口調で霊夢にいい聞かせた。

「優曇華、悪いのだけど、奥の部屋の棚にあった薬を持ってきて貰えないかしら。」

「はい、分かりました。」

すると鈴仙は駆け足で奥の部屋まで行き、薬を持って戻ってきた。

「持ってきました。」

「ありがとう、この傷思ったより酷いから、この薬を塗って、後は一日入院して様子を見ましょうか。」

「ええ!?入院って本気で言ってるの?」

「ええ、これ、あと一日放って置いたら足が腐ってましたよ。」

その言葉を聞くまで不服そうな顔をしていた霊夢だったが、足が腐ると言う言葉を聞いた瞬間に黙って大人しくなった。

「それじゃあ薬を塗りますよ。優曇華、ちょっと抑えてて。」

「はい、ちょっと失礼しますね。」

鈴仙はそう言うと、霊夢をがっちりと抑えた。そして永淋が傷に薬を塗った瞬間....。

「いったあああああああっ!!!」

薬が滲みたのだろうか、霊夢は断末魔の様な悲鳴を上げてのけ反った。

「霊夢、大丈夫か?」

カズマはとりあえず声を掛けるが、恐らく霊夢の耳には届いていない。霊夢が放心状態の間に、永淋は処置を済ませた。

「はい、終わりましたよ。それでは病室の方に案内します。」

そして永淋は霊夢とカズマを病室まで案内した。病室に着くと、ベッドで椛が眠っている。

「椛さん....。良かった。」

カズマは椛が無事な姿を見て、思わず声を漏らした。

「カズマさん、貴方も今日は永遠亭に泊まって下さい。椛や霊夢の見張りをお願いします。」

「任せてください。」

二人の監視を任されたカズマは、永淋に返事を返すと、永淋は病室を後にした。

「ああ、しんどいわ....。カズマ、私は寝るから起こさないでよね。」

そう言うと、霊夢はすぐに布団を被り、眠りに着いた。

「ふぅ....。とりあえず悪霊は一体倒したし、少しは休めそうだな。まさか悪霊退治がこんなに大変だとは思わなかったなぁ....。」

カズマは全身の力が一気に抜け、空いているベッドに座り込んだ。その時、後方の窓の外から視線を感じた。カズマはケースの中の銃を取り出し、すぐに構えた。しかし霊夢たちを起こさないように正体がわかるまで威嚇射撃も出来ないと言うのが困ったものだ。

「誰だ!!」

何もいない窓に向かって問いかけるのは側から見たらただのやばい奴だろう。しかし、確かに何かが居る。殺気のようなものは感じられないが、窓の下に隠れているのだろう。

「あちゃー、もしかしてバレちゃったかい?」

そう言って窓の下から姿を現したのはピンク色の服を着た少女で、鈴仙と同じように兎の様な耳が生えている。

「お兄さん凄いね〜。とりあえず今構えているそれ、どんな道具かは知らないけど怖いから下ろしておくれよ。」

「君は、もしかして鈴仙さんと同じ月の兎か?」

カズマが問いかけると、少女は首を横に振った。

「ううん、私はてゐって言う昔からこの竹林に住んでる兎なんだ〜。」

月の兎だけでなく地上の兎まで人の姿をしているとは....。

「それで、何か用ですか?」

「うん、ちょっときて欲しいんだよね〜。見せたいものがあるんだよ。」

見せたいもの、小学生の時によく女子に見せたいものがあるって言ってカエルを見せつける悪戯をしたのは良い思い出だ。

「言っときますが、俺はカエルじゃ驚かないですよ。」

そう言って玄関へ向かおうとしたその時、

「カズマさん、行かない方がいいです。」

カズマは鈴仙に呼び止められた。

「と、言いますと?」

「私、この前それで騙されて落とし穴に落ちましたから。」

「鈴仙、なんで言っちゃうのさ。」

てゐはしょぼんとした。

「そう言う事ですか。じゃあ行きません。」

「ああ〜わかったよ〜。それじゃあこの窓から二人で覗き込んでよ!そうすれば安心でしょ?」

てゐの必死さを見る限り、よほど見せたい何かがあるらしい。カズマと鈴仙は、恐る恐る窓に近づき、下を覗き込んだ。すると次の瞬間、二人の頭に強い衝撃が走った。何が起きたのか分からず、とりあえず二人でうずくまっていると、てゐの喜ぶ声が聞こえてきた。

「やーい引っかかった引っかかった〜!」

「え?は?」

「てゐ〜!あんたねぇ〜!」

カズマは訳もわからず困惑しているが、鈴仙は顔を見る限りでは激怒していた。二人の頭に強い衝撃が走った理由は簡単だ。上に吊るしてあったタライが落ちてきたのだ。

「鈴仙も馬鹿だね〜。私が二度同じ手を使う訳無いじゃんw」

てゐは相変わらず笑っている。しかし、

「....。」

「....。」

「あれ、二人共どうしたの?」

しばらく沈黙が続いたが、その後すぐにカズマが無言で銃を手に取り、薬莢を押し込んだ。そして鈴仙も、指で銃の形を作っててゐに向けた。

「鈴仙さん、今日の晩ご飯は兎鍋ですね。」

「そうですね。残った毛皮は人里にでも売り捌きましょう。」

二人は銃を構えたまま無言でてゐに近寄っていく。

「あ、あの....。許してーっ!!」

全速力で逃げるてゐ、だがそれを簡単に逃す二人では無い。

「問答無用!!」

「狂気・ルナティックレッドアイズ!!」

こうして鬼ごっこが始まったが、その鬼ごっこはいつまでも続くものでは無かった。気付けば日も沈み始め、幻想郷に再び夜が訪れようとしていた。昼間の平和を遮るかのように現れる悪霊の影。その影を根絶やしにするまで、カズマたちの戦いは終わらない....。


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