〜プロローグ〜
とてつもなく暑い夏、高校生カズマは学校に向かって歩いている。最近の日中は四十度はあるのではないか。そんな風に考えてしまうほど暑い。
「こんな日にも登校とか頭おかしいだろ!!」
「仕方ないよ、今日は模試なんだから。」
思わず愚痴が溢れるカズマに友人の晴人はとても落ち着いた口調で言った。
「晴人さんよぉ、模試は別に俺から受けたいとは言ってない。むしろ受けたくない。」
「僕も同じだけど、家でゴロゴロしてるよりはマシかな。自分のためでもあるし。」
カズマはド正論をかまされてしまい、それ以上は何も言えなくなった。しかし、暑いと思っているのは晴人も同じなようで、否、これで暑いと思わなかったらおかしい。そんな状況の中、カズマは晴人に提案をした。
「この辺に、川あるんだけど、まだ時間あるし寄ってかない?」カズマからの提案に、晴人は少し時計を気にする仕草を見せながらも、意外とノリノリで賛成した。
「ああ〜、いいね〜。でも、少しだけだよ?」
晴人が承諾したこともあり、二人は川へと向かうのであった。この時カズマは、まさか自分が神々も恋するあの楽園に誘われてしまうとは、知る由もない。