第9話 王都探索!
ぴーぴーぴぴぴ
小鳥の鳴き声がする。
体を起こす。
「うーん」
ふぁぁぁとあくびをしていると目の前にウンディーネがいることに気づいた。
「おはようございます。ヒロト様」
うん。相変わらず可愛い。
「おはようウンディーネ」
うんうん。我ながらちゃんとした挨拶。な気がする。
「今日はユーリ様とデー…王都の探索なので楽しみですね!」
元気いっぱいでだ。
「そうだね。早く準備してユーリを迎えにいこう」
そうと決まればパパッと着替えた。
外に出るとユーリが歩いている。なんで?と思ったが気にしないことにする。
どうやら向こうもこちらを見つけたようだ。
「おはようヒロトくん!」
「おはようユーリ」
元気よく挨拶してくれて嬉しい。
「じゃあ早速だけど王都の探索に行くからどこに行く?」
どこに行きたいか聞いておく。俺の行きたい所に行って相手がつまらなかったらダメだもんな。
うんうんと首を縦に振る。
「えーと…じゃあ出店を回って見ましょう!」
「いいですね。じゃあ行きましょうか」
「はい」
「えーと…なんでしょうか?」
ユーリから手を差し出された。
「手を繋いで行きましょ!」
「うん」
さっと手を取られ、早歩きで出店へ…行かなかった。
「ヒロトくん。所でこの女誰」
今にも怒られそうな低い声で言ってきた。
ブルブルブル
「えっとね。この子は、僕を寵愛してくれている精霊さんだよ」
苦笑いになった気がするがそんなのより目の前のユーリの方が怖い。
「初めてユーリ様。私はヒロト様を寵愛している精霊です」
至って普通に自己紹介をしている。
「なんだ。精霊さんだったのね。じゃあ私達の護衛みたいなものかしら?」
ジロジロウンディーネを見ている…怖い
「はい。そんなものだと思ってください。ちなみに私は水の精霊ウンディーネです」
「わかったわ。ウンディーネさんね!これからよろしくお願いするわ」
うん良かった。ユーリが怒っていない。…さっきはマジでチビりそうになった。ガクガクブルブル
おー!握手してる!仲直りしたからもう大丈夫だね。…ほんとに5歳なのかな?俺が言えたことじゃないけど。
しばらく出店を回っているが、今とても気になっている店がある。
「すみません。この魔道具はどんなものですか?」
「おっあんちゃんそれに興味があるのか。そりゃそうか、だって精霊連れてるもんな。これは火の精霊を封じ込めた魔道具だ。買ってくか?」
ニヤニヤしている。正直キモイと思う。いい歳して…そんなことよりやっぱりウンディーネも気になっていた。だって助けてって精霊の声がするから。
「ウンディーネこれって」
言おうとする前に答えてくれた。
「はい。これは火の精霊が無理矢理封じ込められています」
悲しそうな目をしている。
「じゃあおっちゃん。これ下さい」
とりあえず買おうと思う。助けるにしてもまず俺の物にしなくちゃいけない。
「はいよ。精霊っていう珍しいもん見れたから銅貨2枚だ」
と言っている。
そういえばこの世界のお金の基準が分からない。
とりあえず銅貨と銀貨を父から貰っているからそのまま払う。
「まいどー!」
元気がいいなと思う。
やはりお金のこと聞かなきゃ!まぁ今度でいいか。
とっても大事なのに聞かない俺がバカに見えてきたがもういいやと思う。
しばらく歩いていたら暗くなってきた。
「ユーリ。そろそろ暗くなるから帰ろう」
「そうね。暗くなると色々と危ないからね」
すぐに承諾してくれた。
「じゃあ送るよ」
女の子を暗くなってきた道を1人で歩かせてるなんて出来ないからね。けど何処かに絶対護衛がいると思うけど…
「ありがとう!じゃあお言葉に甘えさせて!」
それからユーリを送り届けてからウンディーネと一緒に帰った。
「はぁ…疲れたね」
「そうですね。ユーリ様…なかなかに凄い人でしたね」
うんうんと首を縦に振る。
「そうだ!昼間買った魔道具見ようよ」
「そうですね。もしかしたら精霊を助けられるかもしれないですし」
うん。俺も同じ考えだ。
まず魔道具を出して見てみる。
「うわぁ…」
結構綺麗に装飾されている。
「ヒロト様!これ精霊を解放させることができますよ!」
マジか!
「じゃあ早く解放させよう!」
「そうですね。それじゃあヒロト様、新しい魔法を覚えましょう」
「えっ?ウンディーネじゃ出来ないの?」
マジか。驚いたが出来ないことはないんだと思う。だって精霊だもの←適当
「できますが、お勉強ということでヒロト様にやってもらいます」
「はい…」
諦めがついたのでokをだす。
「魔法の名前はレリースです」
ほう。なるほど。現世では英語でreleaseって書いて意味は解放だったからこの世界でも同じでレリースって言うのか。
「レリースの使い方は心の中の気持ちを解放させるような感じで魔力を込めて使います」
なるほど!あれか心の中から叫ぶ感じに使うのか。
「よし!やってみる」
心から叫ぶような感じで
うぉぉぉぉぉぉぉ!ユーリ怖いよぉぉぉぉぉ!
「レリース!」
うおっ禍々しいのが解かれていく。
「ヒロト様!成功です!」
ぼわぁぁぁぁという感じで現れていく。
〘我が名はイフリート。火の精霊である。解放してくれたのはそなたか?〙
うおっ可愛い系じゃなく意外とごつい?感じだ。
あと赤い目に赤い髪…炎って感じがする。
「はい!ヒロト・ウェリングと申します」
自己紹介ダイジ。怖ぇぇ。
〘そうか。そなたが解放してくれたか、ありがとう心優しき少年よ〙
うん。近所にいる優しいおじさんに見えてきた。
〘ところでヒロト?まあいい。少年はウンディーネを連れているのだな〙
ウンディーネって分かるということは知り合いかな?
「あら。イフリートじゃない。久しぶり」
うんうんやっぱり知り合いだったね。
〘久しぶりと言っても100年ぶりなだけだな〙
「そうね」
!?100年がだけ!?あっそうか精霊だもんな。うんそういう事にしておこう。
〘ところでウンディーネは何故少年について行っているのだ?〙
イフリートさんにしてはまともな!質問だと思う。(偏見)
「それはね。私がヒロト様を寵愛しているからよ」
〘なるほど…じゃあ尚更何故様付けしているのだ?〙
確かに…寵愛は上の立場の人がするものなのに。ちなみに寵愛の意味は家の書斎で調べた。
「それはね。ヒロト様から特別な力を感じるからよ。あときっとヒロト様が本気をだしたら私より強い…と思うから」
うん?ちょっとまてまて俺がウンディーネより強くなれるわけがない。だって精霊に頼ってようやく魔法が使えるもん。
〘…確かに少年から不思議な力を感じるな。…面白い!乗った!私も少年を寵愛してついて行く!〙
うおっマジか!むさいおっさんを連れているのは恥ずかしいな…いや…やだなぁ
「いいのイフリートさん?僕について行って?」
頼む!今なら間に合う!断ってくれ!
〘ああ。それに少年には助けられたしな!これからよろしく頼む!〙
握手を求められてしまったので握手する。
「こちらこそよろしくお願いします!イフリートさん」
〘ああ…あと俺にさん付けはやめてくれるか?恥ずかしいから…あと極力少年たちの前には出ないようにするな〙
ブフォ
ほんのちょっと吹いてしまった。だって強そうな見た目の精霊が恥ずかしいとは…
「イフリートは見た目によらず恥ずかしがり屋ですからね」
ウンディーネもクスクス笑う。
「じゃあイフリートさんのことなんて呼べば良いでしょうか?」
これからの呼び名は大切だからね。
〘ああ。イフリートとそのまま呼んでくれ〙
「わかりました。イフリートさ…イフリート」
〘敬語も無しな。こっちもしないから〙
それはそれでどうなの?とは思うけど付き合いやすいからいいやと思う。
「わかったよイフリート。これからよろしく!」
〘ああこちらこそよろしくな〙
男仲間が増えた…いいのかな?
喋るところを1行空けることにしました。
今後ともよろしくお願いします。