第47話 旅立ち
猫を飼いたい(癒しを求めて)
「―――はい。なので王様。僕は強くなりたいのです。この国の人…そして世界中の人間、動物達を守れるくらいに」
「そうか…じゃが国を出てまですることか?国の中でも修行する事は出来る。それに婚約者の3人だっていつお前から気変わりするか分からないんだぞ?女ってのは時に面倒くさくて気持ち分からない生き物だからな」
王様がしみじみと言う。
「はい…ですがその時はその時です。極級から守ることが出来ればそれが3人を守ることに繋がります…」
「未練ないのだな?」
「…正直に言うと少しどころかむしろ未練タラタラです…ですが極級はどこかで倒さないとこのまま一生…いや、これ先ずっと脅威になります。50年前は勇者が居ました。しかし今は勇者、もとい英雄がいません。誰かが英雄にならなければいけません」
「英雄になる覚悟はあるのだな?」
辺りに凍るような空気が流れる。
「正直僕にそんな覚悟はありません。ただこの国…そしてこの世界の住民を守るだけです」
「そうか…じゃあ頑張って来るんだぞ。3人や精霊には挨拶したのか?」
痛いところをついてくる。
「精霊には話そうと思っています。3人には…心配して欲しくないので」
「それもそうだな。…死ぬなよ」
最後の最後に冗談を言ってきた。
「ははは。死ぬ訳ないじゃないですか。それでは行ってきます。何年かかるか分からないですけど」
「あぁ、この国のことは任せろ。この国の王様に、な」
俺がこくりと頷き部屋を出ると、ブレイドが待ち構えていた。
「おいヒロト。どういうことだ?」
…警備ガバガバじゃん。と思ったが、今は復興で忙しい事を思い出した。
「ちょっと修行に行くだけさ」
「3人の事はどうするんだ?置いて行くのか?」
「うん。3人を危ない目に合わせられない。それに危ない目にさせたら王様やみんなに殺されちゃうよ」
と笑う。
「…ヒロト。目が笑ってないぞ」
「嘘つかないでくれよ」
「お前ホントは怖いだろ。修行として自分の心の中の声を隠しているだけだ。そんなになるくらいならやめとけ」
不思議と涙が溢れてくる…不思議な…涙が…
「あれ?どうして泣いているんだろう?僕はみんなを守らなくちゃいけないのに」
「お前は自分に変な圧をかけるな。お前1人で何とかしようとするな。それにそんな不安なら僕が受け持ってやるよ。だって…俺の唯一無二の友人だからな」
「ブレイド…」
この言葉を聞くとまた更に涙が溢れる。
「僕…頑張るよ。胸を張ってブレイドの親友って名乗れるように」
「そこは友人じゃないのか?」
「もう友人だからね。ブレイドからもっと信頼されるような人間になるよ」
こんな何気ない会話に嬉しさを感じる。
「…あぁ。頼んだぞ」
こくりと頷き、俺はウンディーネの居る屋敷に戻る。
「ウンディーネ。ただいま。3人は?」
屋敷の外に居たウンディーネに話しかける。
「おかえりなさい。3人は今屋敷の中にいますよ」
丁度いいタイミングで来たようだ。
「ウンディーネ、僕にとってとっても話があるんだ。」
「それは…なんですか?」
優しい風が吹く。塩辛い風のように感じた。
「僕…修行しに行くよ。いつ戻れるかは分からない。それにもしかしたら死んでしまうかもしれない。それでも僕は強くならなきゃいけないんだ。なんとしても」
「そう…ですか。じゃあお別れ…になるんですね」
「もしかしたらそうなるかもね」
苦笑いしながら返事をする。
「そんなの…そんなの嫌ですよ!ずっと一緒に暮らしましょうよ!みんなで…仲良く…」
ウンディーネは俺の顔を見て察したようだ。
「どうしても行くんですね…それならちゃんと伝えておけば良かったです…」
「何を?」
素っ気なく返事を返す。
チュッ
頬にキスをされた。
「な、何を―――」
「えへへ。これが私の気持ちです。もう行ってしまうことは分かりました。なのでせめて帰ってきて下さいね」
「…分かっているよ。必ず帰ってくるから…その時は」
ウンディーネが俺の口に人差し指を添える。
「それ以上はダメですよ。それより3人には挨拶しないんですか?」
「…しないよ。3人にはなるべく言わないで置いて欲しい。心配して欲しくないからね」
「ヒロトは女心を分かっていませんね。言わなかった方が余計に心配するもんなんですよ。嫌われたんじゃないかって。けどヒロトの気持ちも分かります。なので私から軽く伝えますね」
少し悩んだ末に、
「…分かった。僕もまだまだ修行だなぁ」
「恋の、ですね」
「それじゃあ僕はイフリ…何でここにいるの?」
ウンディーネが瞬速で振り返る。
「な、何でイフリートがこ、ここにいるんですか!?」
ウンディーネが顔を赤く染めながら喋る。
〘ん?いや…楽しそうな会話してたからって痛い痛い!やめろ!やめろよ!おい!〙
そんな会話を見ながら俺は自然と笑っていた。
「ふふふっあははは」
〘な、何で急に笑っているんだよ!〙
そんな会話をしていると、もうすっかり日が暮れてしまっていた。
「どうするですか?今日出発するんですか?」
「うん。なるべく早く行きたいからね」
〘じゃあヒロト。釣竿と沢山の食料、塩を持ったか?〙
イフリートが俺の持ち物について確認をする。
「持ったよ。それじゃあ行ってくるね」
「?何で行くんですか?」
「船だよ。クラッシェル領の、ね」
ナチスに頼んで用意してもらっていたのだ。
「船員は?」
「それが…ナチスと一緒に行くんだ」
〘どういうことだ?〙
そりゃそうか。綺礼さんから何も説明してもらってないもんな。
「まず。目的地の森は海をひとつ越えなくちゃいけないんだ。だからナチスと一緒に途中まで行く。その後に馬と森まで行く予定だよ」
〘そうか…頑張れよ〙
「うん。行ってくる」
「ヒロト…」
「僕が帰ってくるまで待っててね」
「ふふふっ当たり前ですよ」
「それじゃあまたね!」
そう言って僕は船に乗り、魔獣の森を目指した。
今回からヒロインが全く登場しなさそうですね(´;ω;`)
女の子がぁぁぁ:(´◦ω◦`):




