第4話 精霊と共に
婚約者が出来たと言われ、そして地獄の素振りが始まったあの日からやっと1年がたった。今年はとても1年を長く感じた年だった。
あの日から変わらず素振りを続けており、婚約者のユーリ令嬢とは、まだ1度も会うことができていない。それもそのはず、こちらは男爵だがそれに比べて相手は伯爵。なので婚約発表も5歳になってからなのだ。正直言うと早く会いたいね。
今日は目的があって書斎に来ている。
どうやらこの世界には魔法があるようだ。何故ここまで気づかなかったのは、父や母などの親達が教えてなかったのもあるが、単純に魔法を使っている所を見なかったからなのである。そして今日の素振り中に父が初めて魔法を使った。
かれこれ3時間前ぐらいに父に聞いた内容だ。
「父上!どうやって魔法を使ったのですか?」
そうすると父はこんなことを言ってきた
「ん?ああ、魔法か、魔法はな、100人に1人が使える特別な力なんだぞ」
と言ってきたので
「父上!僕に魔法の才能はありますか!」
と聞いた!俺も早く魔法があると知っていたらすぐに練習しただろう!すると父が
「えーとな。ヒロト、お前には魔法の才能がなかったんだ。けど仕方ないぞ。だって100人に1人が使えるからな」
と言ってきた…俺はこの時正直絶望した。
魔法がある世界なのに魔法が使えないなんて悲しすぎるからである。まぁ100人に1人だから仕方ないと自分に言い聞かせる。そんなことをやっていると父が
「けど諦めるのはまだ早いぞ!魔法の中には「精霊魔法」というものがあるんだ!これは100万人に1人とかなり確率が低いが才能のない人じゃないと精霊は見ることができない。だからどの国でも精霊魔法を使うものは大事にされているぞ」
と父が言ってきた。
しかしその後に父は「家の書斎に精霊魔法のことが書いてある本があるぞ」と言っていたので、
今書斎にいるのだ。
そして丁度精霊魔法について書かれた本があった。この本にはこんなことが書いてあった。
〜精霊魔法とは精霊に力を借りて、魔法を行使するものである。精霊は基本的に自然豊かなところにいる。精霊と会う事ができたら力を貸して貰えるようにお願いして、「いいよ」と、言われたら精霊に力を借りることができる〜
と書いてあった。
なので明日は近くの森に行こうと思う。
翌日。今日は快晴で気分がいい!屋敷から出てだいたい1キロぐらい進むと森が見えてきた。やっと森につくと少し休憩し、森の中に進む。
森の中は特に動物もいなかったが警戒はとかなかった。なぜなら、この世界には魔物がいることがわかったからである。魔物は野生動物の2倍も3倍も強いようだ。
しばらく進むと泉があった。ここで休憩しようとする時!
なんと泉から…不思議な生き物?がでてきたのである。不思議な生き物からは、変な力も感じる。そして髪の毛の色が青色でとても綺麗である
しばらく惚けていたが。
興味本位で聞いてみる。
「貴方は誰ですか?」
すると、
「私は水の精霊のウンディーネです」
と鮮やかな声で話しかけてきた。
「あなたの名前は?」
かなり動揺しているが名前はと聞かれたので、
「僕の名前はヒロト・ウェリングです」
と答えると、
「ヒロト様ですね。私は貴方のことを生まれた時から寵愛しています。」
と言ってきた。寵愛? よく分からないから聞いてみる。
「寵愛とはどういうことですか?」
すると、
「貴方に無制限で力を貸すことと愛すことです」
と答えてきた。なんで寵愛?してくれているのか分からないけど、
「ありがとう!」
とだけ伝えてみる。
「いえいえ、好きでやっているので」
と言ってくれた。しかし、そろそろ帰るので
「じゃあ僕家に帰りますね」
と言うと精霊が申し訳なさそうに
「私もついてってもよろしいでしょうか?」
と言ってきたので
「いいよ!」
と言って一緒に、家に帰った。
精霊を連れて家に帰ると皆に驚かれたが、歓迎パーティーをして、一緒に暮らすことになった。
ウンディーネはとても嬉しそうなので良かったと思う。あと俺の家族はとても優しくて心が広いなと感じてちょっとうるうるした。
そういえば前世でも寵愛なんて聞かなかったから意味が分からないけどまあいいか。と思う。