第19話 王様からのご褒美
「うーん…初めて見る天井だ」
そういえばヒカリと一緒に王都まで来てそこで別れたんだった。
「さーてと」
ベットから立ち上がり月夜を手にとる。王様への謁見は昼の2時からになっている。
「うーん、何しようかな?」
せっかく王都に来たのだから、何かはしたい。ちなみに父は王都にいる友人に会いに行くと言っていた。昼には帰ってくるそうだし、この時間何をしよう?
悩みに悩んだ結果は
「よし!王都をぶらぶらしよう!」
というものだった。
とりあえず、普段着と月夜とお金を持って行くか。
「おっ坊主じゃねえか!お出かけか?」
宿のおっちゃんだ。相手が貴族だとわかってもこういう態度で話してくれるから、とてもありがたい。
「そうだね。おっちゃんこそ何してるの?」
「俺か?俺はなー、いてて!痛いって!」
宿のおばちゃんがおっちゃんの耳をつねっている。
「何やってんだい!早く仕込みをしな!」
…女は強し、どこの世界でも同じなんだなーとしみじみ思う。
「じゃあおっちゃん!おばちゃん!行ってきまーす」
「行ってらっしゃい!気をつけなよー」
「はーい!」
さて、街に出たはいいが、どうすればいいんだろう?
うーん…将来領主になった時の為に色々見てみるか。
出店を見ていると、どのお店も日本でいうところの営業許可証みたいな物を貼っている。
「そこのお前!この店の営業許可証はどこだ!」
何やら衛兵が店の店主らしき人に怒鳴りつけている。
「す、すみません。今月分のお金が払えなかっただけなんです!どうか、どうかお許しを!」
お金を払えなかったようだ。お金が払えないと許可証を没収されてしまうようだ。助けてあげたいけどこの街にはこの街のルールがあるから仕方がない。
「じゃあ街の規定を守っていないのだな。連行だ」
「はっ!」
近くの衛兵に連れられてしまった。…織田信長がやった政策、楽市楽座。うちの領でやってみるのはどうだろう?信長は周りが敵だらけだからすることができたが、俺の場合は周りはほとんど味方だ。だからうちの領だけ儲かると周りから疎まれる。しかも相手によっては強力な軍がいる。それと戦う事になってしまう。それ以外にも自由に取引ができてしまうから危険な薬物などが蔓延してしまうかもしれない。だからこの件は保留!にしておこう。
「ひったくりだ!誰か捕らえてくれ!」
どうやらひったくりが現れたようだ。
よし。捕らえよう。
「せりゃ!」
よし押し倒した。後は手首を掴む。
「衛兵さーん!ひったくりを捕らえました!」
衛兵が駆けつけてきた。
「おー!坊主凄いな!後は任しときな!」
と言って颯爽と犯人を掴んで帰っていった。
その後も2、3回窃盗したり強盗するやつが居た。
…この街治安悪くね?結構な頻度で窃盗する奴とか強盗に遭遇するし…俺は治安のいい街を作りたいな。
「そろそろ宿に戻るか」
宿に入るとおっちゃんが何やら衛兵と話している。
「おっちゃん。何か悪いことでもしたの?」
「ちげーよ坊主!いやさっきな、衛兵さんが言うにはひったくりを捕らえてくれた少年がーー」
「あっさっきの少年じゃないか!実は僕王都の騎士団に所属していてね。たまに衛兵として街を見回るんだけど、さっきの事を騎士団長に言ったら1度見てみたいと言うから…ついてきてくれないかな?」
「えーと…ごめんなさい!実はこの後王様への謁見があるので」
「お、王様への謁見!。そ、それじゃあ仕方ないね。君の名前は?」
「ヒロト・ウェリングです」
「ああ!あの時の!超級を倒した子か!僕、話しか聞いてなかったから驚いたよ!」
「それじゃあ僕は騎士団に帰ります!いきなり押しかけてすみません。それでは!」
…何だか凄い人だったな。
それより自分の用意しないと。急いで部屋に向かう。謁見用の服に着替える。本来は王城で謁見用の服に着替えるのだが、今回は剣を装備するから剣用の服を自分で持ってくる事になった。…まあ剣用の正装もあったんだけどね。値段が高すぎる。
「おーいヒロト〜そろそろ行くぞー」
「分かりました」
父は準備が終わったようだ。普段の謁見は王都の中の貴族や周辺の貴族だけだが、今回は父もいる。謁見は男爵以上だと普通に入れる。騎士爵の者はダメなそうだ。
「よし、来たな。じゃあ行くぞ」
と言って父は馬車に乗る。俺も続いて乗る。
そろそろ王城に入る。王城には一応確認はあるが、馬車でそのまま入る事が出来る。
中に入って馬車から降りる。長時間乗っていた訳じゃないから結構楽だ。
中から執事が出てきた。
「ヒロト・ウェリング様。謁見待合室にお連れ致します」
どうやらついて行くようだ。
「どうぞ中にお入りください。」
と言われたから入る。…めっちゃ豪華だ。これが待合室とは到底思えない。
「時間になりましたらお呼び致します」
時間になったら呼び出してくれるみたいだし、のんびりしていようと思う。
「ヒロト様。謁見のお時間でございます」
「分かりました」
「着きました」
ここが…
「どうぞお入りください」
と言って執事が扉を開く。
中に入って行進する。ここら辺は5歳式と合わせて練習したから出来る。
王様の前で膝をつき、頭を下げる。
「顔をあげよ」
「ヒロト・ウェリングよ。そなたを陞爵し、伯爵とし、現在、王国の直轄地となっているクラッシェルを領地とする。準備金として白金貨30枚を渡す。そして、ヒカリ・スパニッシュをヒロト・ウェリングの婚約者とする」
うぉーい!国王!何してくれてんの!まぁ仕方ないか。
「…はい。承りました。しかし、婚約に関しては本人の意見を尊重してください」
「だ、そうだ。ヒカリはどうなのだ?」
「うぅ。嬉しき限りです!」
「だそうだ。これで文句はないな」
まぁヒカリは優しいし頼りになる。それにあの2人とも上手くやって行けるはずだ。困ったらウンディーネに頼ってもいいだろうし。
「はい。任してください」
「後、これからはヒロト・クラッシェルと言いなさい。あと、領主の証として馬車と短剣を渡す」
「分かりました。ヒロト・クラッシェル。スパニッシュ王国の為、精一杯頑張らせていただきます」
「ヒロトく〜ん!」
「うおっ!どうしたのですかヒカリ・スパニッシュ様」
「ヒロトくん?ヒカリ。でしょ!」
「わ、わかったよ。ヒ、ヒカリ」
「むふふ。これからよろしくね!」
「うん。こちらこそよろしくね」
その後王城から出ると、馬車と執事が待っていた。
「ヒロト・クラッシェル様。こちらが馬車でございます」
「執事さん。わざわざありがとうございます!」
「いえいえ、それよりもこれからが大変ですよ。伯爵として、王女の婚約者として、頑張ってください」
「はい!頑張ります」
この後色んな人に挨拶をしてウェリング領に戻った。…それにしても6歳で領主は色々とダメな気がする。
まあ。領地がどんな場所かは後日王城に呼び出されて教えて貰えるらしい。




