第17話 平和な朝
…俺は今現在混乱している。
ユーリとクリス。どちらも俺の腕を掴んでいる。これでは俺は起きる事が出来ない。なぜなら!この可愛い寝顔をまだ見たいのと、わざわざ起こしたくないからだ!
父と母がこっちを扉から見ている。ちょっと顔を起こして助けてと目線で合図する。
向こうも合図を出してきた。
グッ!と親指を立てている。
仕方ないないからゆっくりと腕を避ける。
おっ上手く言った。
そのままベットから下りてクローゼットから服を取り、着替える。
そのまま部屋を出ると両親が
「2人と一緒にまだ寝なくていいのか?」
…確かに幸せな時間かもしれないけど、
「10日も寝てたんです。体が鈍っているので剣や魔法の練習をしてきます」
「そうか、頑張れよ」
「はい!」
と言って庭に行く。
庭の木が枯れてきている。そろそろ秋かな?と思っているとイフリートを見つけた。
「久しぶり!イフリート!」
〘おお!少年。久しぶりだな。なんか超級を倒したんだろ?凄いな〙
と言いながら頭をわしゃわしゃしてくる。
〘それとほらっ〙
イフリートが月夜を投げてくる。あれ?黒になっている。
〘魔剣は凄いな!刃こぼれ1つしてなかったぞ。色々見せてもらった〙
「月夜を見てくれてありがとう!」
〘おう!頑張れよ〙
と言って何処かに行った。わざわざ俺に月夜を渡すためだけに庭に居たのかなと思う。…頼れる兄貴感が俺の中で急上昇した。
剣を取って振ろうとするとウンディーネがこっちに飛んできた。…精霊って飛べんたんだ…びっくりした。そういえばちょくちょく見ていた気がする。
「おーい!ウンディーネ!」
「ヒロト様!お怪我はないですか?」
と体の至る所を触ってくる。
「怪我はもうないよ」
と笑う。
「それにしてもヒロト様!聞きましたよ!超級を倒したんだそうですね!」
「うん。そうだね!」
「ということで!今日は上級魔法を覚えましょう!」
「そうだね。あの時強い魔法を使えたらもっと有利に戦えたと思うから」
うんうん。覚えておいて損は無いな。
「…ちなみに魔法が使える人の殆どは中級魔法までしか覚えられません」
「な…何で?」
軍の人とか上級魔法使えないと困らないの?この間の超級みたいに。
「そもそもの魔力量が足りてないからです」
なるほど…俺は月夜とか元々の魔力量が多いから使えるだけなのか。
「それではまず火と風の上級魔法から覚えましょう」
「スペルはファイアーストームです」
どゆこと?とりあえず魔法を使ってみる。
「ファイアーストーム!」
…強い!火の竜巻みたいだ。
「ヒロト様出来ましたね!上級魔法はほとんど複合魔法でファイアーストームは火と風を合わせた魔法です」
スゲー!魔法を同時に合わせて使うイメージか…それだけでこの火力はえげつない。
そうして一通りの上級魔法は覚えた。
「そういえばウンディーネ。爆発する魔法ってないの?」
「ありますよ?」
「あるんだ!」
「けど諸刃の剣ですよ?1発の魔法でとんでもない量の魔力を使うので」
けどいざと言う時に使いたくなるかもしれないから覚えておきたい。
「ウンディーネ。教えてくれる?」
「この間のような事がまたあるかもしれないから覚えておきましょう!」
「じゃあ森の方に行きましょう」
と言いながら俺を肩に背負う。
そして飛ぶ。怖すぎる。
「さあ着きました」
結構酔った…
「まずスペルはエクスプロージョン」
容赦なく進めるウンディーネさんにびっくりです。
「かなり広範囲を吹っ飛ばすのでなるべく遠くに撃ってください」
よーし!初めての爆発魔法だ!
「エクスプロージョン!」
ドガーン!
…えっ火力高すぎん?山消し飛ばしそうだよ?
「じゃあ1発撃ったくらいで屋敷に帰りましょう」
帰還が速すぎる。そして相変わらず俺を肩に背負う。
「さて、着きましたね。ヒロト様は次、何をするんですか?」
「んーちょっと剣を振ったら体を綺麗にしてご飯を食べようと思う」
「そうですか、頑張ってくださいね」
と言って何処かに行ってしまった。最近の精霊さんは何処かに行くのが人気なのかな?
「さてと、もう俺の愛剣だな。月夜」
なんだろう…1度言ってみたかった言葉を言うと満足感が凄い。
100回ぐらい振ったからささっと体を流してご飯を食べよう。
「んー火魔法で水をあっためて体を流すのは最高だなー」
汗を流して風魔法で体を乾かす。魔法は便利すぎる。正直科学はなくても困らない気がする。けど銃やウイルスなど科学や現代の技術は凄かったんだな。と感心する。なくなって初めて気づいた。
「さてと、ご飯は何かな〜」
廊下を走ってキッチンに着くと、母とユーリとクリスが料理をしている。最近俺も料理の練習していてある程度のものは作れるようになった。もちろんパンケーキも作れるようになった。…焦げてないやつ。俺も手伝おうかな?暇だし
「僕も手伝おうか?」
と聞くと、
「「ヒロトくんは座ってて!」」
と何故か怒られた。皆で作った方が早いのにー。…この暇な時間をどう使おうかな?
そういえば超級と戦った時に月夜が白くなったけどあれがピンチの時に発動する力なのかな?…分からないものを悩んでも仕方ない!今度にしよう。それに黒い状態も十分すぎる…いや白い状態と遜色ないしなー。
と考え込んでいると料理ができたようだ。
「おまたせー!」
母が料理を運んでいるから多分執務室で仕事をしているんだろうなぁー。と考える。
「わぁ!美味しそう」
これは建前じゃなく本当に美味しそうだ。
「今日の朝ごはんは、パンにポタージュ、サラダにリンゴよ」
「いただきます」
「何ですか?その…いただきますとは?」
そっか、いただきますを知らないのか。そりゃそうだ。だって異世界だもんな。
「いただきますはね、こうやって食べ物を与えてくれる人に感謝していただくからいただきますって言うんだよ」
以前両親に言った事と同じ事を2人に言う。
「そうなんだー、私も、いただきます」
ユーリもいただきますを使った。日本だったら当たり前のようにしていたから、懐かしくてちょっと涙が出そうになった。
「わ、私も、い、いただきます」
皆でいただきますを言う所を見ると前世の家族を思い出してしまう。けれど、俺は今この世界で生きているからこの世界で長生きすること。それがこの世界に生きて親に唯一できる親孝行だと俺は考えている。
「ん!美味しい!こんなに美味しいご飯を作れるならお嫁さんに欲しいなぁ」
あっやべ。思わず口に出してしまったが2人は笑っている。
「私達はヒロトの婚約者だよ。だから結婚したらずっと私達がご飯を作ってあげる!」
「私もユーリと一緒にご飯の腕を上げますよ!」
「2人とも…ありがとう」
皆でご飯を食べるのは1人で食べるより美味しい。そう感じた。




