今夜のおかず
彼が仕事を終えて家に帰ってきた。夜がやってきたのだ。
明日の朝で私と彼との関係はおわり。それでもよかった。それを承知の上で、私は昨日彼に買われたのだから。私は今晩、私の全てを彼にあげられる。
「……始めるか」
帰宅後しばらく一人でくつろいでいたであろう彼は呟き、昨日私にあてがった部屋の扉を開けて、私の手を引いた。それから丁寧に、ゆっくりと私の身に纏っているものを脱がす。シャワーを浴びるように仕向けて、その後私をふかふかのベッドに導いた。
彼は器用だった。慣れているみたい。私を弄ぶ手つきが心地いい。
私は大丈夫かしら。満足させてあげられるかしら。今まで彼が同じように食べてきた子たちの中で一番になれるかしら。
やがて彼によって、私の裸体が覆われた。
ああ、私をあげる。
今から私の全てをあげるのね。
緊張が走った。ゆっくりと距離が縮まる。この中に入りさえすれば、きっともう何も考えることもできない。そして私は彼とひとつになるのよ。
ついに、その時がやってきた。
瞬間、私の身体は強張った。