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剣嵐話記  作者: いくやみ
第一章 傭兵少年イフィル
1/2

章ノ零

 それは、天災のような悪魔だった。

 大軍を殲滅せんと向かってくる鬼の形相。

 撃退する試みは無意味だろう。

 それが天災である以上、人の手に余る。


 だが、大軍を屠ろうとする天災は、大軍を守ろうとする閃光に包まれた。

 光が消えるとともに聞こえる華麗な音。


 その実、眼前に舞い降りた音は、鋼鉄の如く。

 華やかさとは正反対の、その身の鎧の蛮骨さに華麗な音など有る筈がない。


 ただ、鋼鉄の響きを変えるだけの可憐さを、その騎士が持っていただけ。


「――生きてるか、少年」


 恐怖を割く声で、彼女は言った。


「軍令に従い参上した。これより我が剣を解放し、()の歪みを打ち払う」


 閃光は再び大地を照らし、戦場は彼女を讃えるよう、震えた。


 世界は止まっていた。

 おそらくは一秒にも満たないほどの光景。


 だが、その姿ならば、脳裏に刻み込まれ、生涯忘れることはないだろう。

 

 振り向く横顔から僅かに見える、どこまでも透き通るような美しい瞳。

 この瞬間だけ時は永遠となり、彼女の髪が風に揺れる。


 ――剣から放たれる閃光。美しい髪が、天衣のように輝いていた。

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