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第6話

申し訳ございません、大変お待たせしてしまいました。

先月は体調不良でしばらく倒れてるうちに気力失いしばらく執筆復帰できておりませんでした。

それに輪をかけて仕事も忙しくなってしまったというのもありますが。。。


あまり言い訳ばかりでもしょうがないのでどうにか更新させて頂きました。

相変わらずのノリと勢いで申し訳ないです。


輝け、栄光の三つ鱗 第6話



---西暦1541年(天文10年)6月 小田原城 北條長綱(後の幻庵)


ふむ、家督を氏康殿に譲られてから兄上は寝たきりじゃし新当主の氏康殿も儂が相談乗らずともしっかと当主の務めをこなしておる。


本当に儂の後見は要らんかったのでは無いかの?


西の安芸国では尼子家が大内家に従属しておる毛利家の郡山城を攻めておったが攻めきれずに撤退したと聞く。


その後に大内家が大きく力を伸ばしていると聞いておる。


西国もなかなか落ちつかん情勢のようじゃが、東国は小康状態で見かけでは落ちつているかのように見えるのう。


じゃが、武田信虎・今川義元・両上杉家に国人衆は兄上が倒れられた今この時絶対に何か企んでおるに違いない。


兄上より風魔を預かっておる儂がしっかりと彼奴らの動きを調べておかねばな。


そう思っておったら風魔が来たようじゃ。


「長綱様、小太郎でございます。火急の事態が発生致しましたゆえ、報告にあがりました」


やれやれ、言っていた矢先からこのような状況とはな。


上杉がどこか攻めにでも来たかのう。


兄上が倒れられた今を狙ってくるのは予想通りじゃが、各城守将には気を抜かず守りを固めるようにと伝えておる。


そうそう何も出来ず落城ということもなかろう。


「小太郎、苦労。して、火急の事態とは何が起こったのじゃ?」


「はっ、報告させて頂きます。甲斐武田家において家督継承に問題発生して武田信虎が駿河に追放されました。家督は嫡男の晴信が継承したようです」


「な、なんじゃと!?」


全く予想もしてなかった事態じゃ。


「何故じゃ? 何故、当主である信虎が追放されるような事態になったのじゃ!?」


武田信虎といえば、つい最近も信濃の方の侵略で村上義清と組んで海野家を滅ぼし勢力拡大したばかりと聞いておる。


勢いもある当主が何故追放されるのか、腑に落ちぬ。


「はっ、まず1つ目は信虎が次男である武田信繁を可愛がっており家督を次男に継がそうとするのでは無いかと噂されておりそれに警戒心を持った武田晴信が家督簒奪に走った

という話を聞いております」


ふむ……、家督相続の難しさよな。


北條の家では今までのところ、亡き父宗瑞様から兄の氏綱、兄氏綱から氏康殿への家督相続は順調にいっておる。


武田家の事例を他山の石として今後も家督継承が起こる際には問題が起きぬように留意せねばならぬな。


まぁ、氏康殿に家督相続したばかりじゃから儂が次の家督相続の際に関わることは無かろう。


「ふむ、戦国の世の常じゃのう。して、他にもあるのじゃろう?」


「はっ、武田家の場合は当家と違い完全に一家の大名家として成り立っているわけではござりませぬ。実態としては武田家を盟主とした国人集団の大同盟のような形で運営さ

れておりまする。ゆえに武田家に権力を集中させようとした武田信虎が国人の反発を受けて今回の事態に至ったと思われます」


「ふむ、これもまた戦国の世の常じゃの。関東も国人同士での泥沼のようなもめ事、小競り合いが続いておるし奴らは強い者には簡単になびく割に独立の気風だけは持ってお る。その上、したたかじゃからのう。甲斐とて同じことじゃろうな。そうか、信虎は権力集中を急ぎすぎたのやもしれぬな」


他国でも似たような話は聞くが、当主が追放されるような事は他になかなか無かったことじゃな。


遠く三河では松平家で家臣による当主が暗殺されるというようなことがあったが。


しかし、実の息子が父親を追放とはのう。


世も末よのう。


「小太郎、報告大儀であった。これより儂は殿へこの件の報告と今後の相談をしに参る。兄上が倒れられた以上、今の殿とは今後の対策を打たねばならぬ。その方は、引き続

き武田を調べるのはもちろんじゃが今回の武田家の家督簒奪を受けて今川や両上杉がどう動くかをつぶさに調べて参れ!特に欲の皮の突っ張った上杉は動かんわけがなかろう 。他に、信濃方面の動向も調べておいてくれ。任せたぞ」


「はっ、承知致しました!」


打てる手としてはこれで良い、さて氏康殿と今後の協議じゃの。


さて、当家の三代目はどのような判断を下すかのう。






---西暦1541年(天文10年)7月 小田原城 


ここのところ、長綱大叔父上と父上は頻繁に会談をされている。


時期的に武田晴信が父親の信虎を追放して家督継承したころだし、それに関連してのことだと思う。


武田信虎に追われた海野家が上杉憲政を頼っていくことから上杉憲政がしばらくは信濃侵攻し始めるはずなんだよな。


その流れを受けて北條家はこれから武蔵国(現在の埼玉県・東京都・神奈川県の一部)への侵攻が活発になるはず。


しかし、気になるのは武田信虎だな。


史実なら無人斎道有と名乗って京や奈良で公家や本願寺相手にロビー活動やってたんだよな。


しばらくは駿河で食客やってたはずなんだがいつ頃動くんだろうな。


確か、足利義輝公の相伴衆にまでなっていたはず。


もしかすると、武田信玄が本願寺と友好的な関係だったのは信虎の暗躍もあったのか?


そういう風に考えると武田信虎、相当優秀なんじゃ無いかと思えてくるぞ。


味方に出来れば、京都始め畿内でのロビー活動が楽になりそうなんだがなあ……。


まぁ、北條は伊勢家の伝手もあるしそこまで先を考えなくてもいいかな。


でも、一応覚えておこう。


武田信虎は確か80歳くらいまで長生きするはずだから、いつ関わってくるかわかったもんじゃないよな。


とつらつらと先のことを考えていたら部屋の襖がサーっと音を立てて開いた。


「松千代丸! 邪魔をするぞ」


さいど、いや新九郎兄上の訪問だ。


相変わらず、鞠をもっている。


「あにうえ、いかが致しましたか?」


兄上は良い笑顔で鞠を掲げて俺に見せる。


実に可愛い。


ショタ好きのお姉さんとかならイチコロですね、あにうえ!


この時代だから男の方に狙われる率のほうが高いのでお気を付けくだされ!!


声に出して言えないけど、心から思います、ほんと。


「うむ、松千代丸とこれで遊ぼうと思うてな」


もちろん、兄上はいまだ蹴鞠を蹴ってリフティングをする本来の遊びはまだ出来ない。


俺より年上の兄上がそうなんだから、4歳の俺はもちろんできる見込みは無い。


だから、考えちゃいました。


我々、ちびっこが遊べそうな遊びを。


「転球だ!!」


そう、転球と名付けた遊びはこの鞠を蹴るのではなく転がして遊ぶことにした。


この時代には球を転がして遊ぶような遊びは無い。


ただ、俺の前世(前世なのに未来だけど、前世で良いのかねえ?)垪和太郎の時代にはあった。


木彫りのコケシのようなものを10体並べてそれに向かって鞠を転がしてあてる。


それでコケシの倒れた数を競う競技だ。


そう、ボウリングだ。


実はボウリングはその歴史は古く、さかのぼれば古代エジプトにたどり着くらしい。


なんでも、エジプトでは木で出来たボールとピンのようなものが発掘されているらしい。


近代のピンを10本使う協議はアメリカで作られたルールでそれまで欧州では9本での競技だったらしい。


というか、現代でも9本でのボウリングは欧州では現存しているようだ。


21世紀の日本でのボウリングしか経験してない俺が思いつくのはやっぱりなじみ深い10本のピンを三角の形に並べたスタイルだ。


三角だから三つ鱗が家紋な当家にもぴったり!なんてね。


なお、コケシの製造は城内の警備の兵にお願いした。


まだこの時代はコケシが存在しないので、俺が絵を描いて作ってもらった。


警備兵の兄ちゃんが木彫り作業やっているところをサボっていると思われて多目殿に叱られてしまったので、慌てて仲裁に入ったよ。


警備兵の兄ちゃんには悪いことをした。


その後、多目殿が興味を示されて一通り遊び方を聞いたかと思うと、おもむろに小刀を取り出してコケシに彫り物をしていった。


「こういう遊びでしたらせっかくですので、これくらいはしても良いのでは無いでしょうかな」


10本のコケシに小刀で何かを彫り終えると今度は墨を取ってきて掘った部分のポイント選んで何やら塗り始めた。


出来上がったものは……竹に二羽飛び雀紋。


山内上杉家家紋だよ。


ってか、多目殿なんであんたこんなに木彫りうめえんだよ!!


もうちょっとで声に出るとこだったよ……。


「新九郎若君も松千代丸様も我ら北條にとっての天敵上杉を早いうちから倒して頂きませぬとな。ははは、では拙者はこれにて」


ちょびヒゲをなでながらドヤ顔で俺たちにそう言うと上機嫌で多目殿は去っていった。


と、そんないきさつを経て完成したボウリングセット。


見たまんまで転球と名付けました。


だって、ボウリングじゃ分かんないしね。


「よし、松千代丸!兄が先に転がすぞ。今日はよう当たる気がする!満点に違いあるまい!」


なお、ストライクやスペアの計算がこの時代の人には難しいと考えて特殊計算なしで1人1回ずつの投球で数字だけを競う形にしてみました。


ちなみに、今日の兄上は自信満々だがいつも似たようなことを言っております。


コロロッ……


軽い音を立てて兄上の転がした鞠が転がっていく。


おっ、5本倒したぞ!


いつもは3~4本なのに、上手くなってる?


「くーっ、惜しいな。どうだ、松千代丸!兄は5本だぞ、満点はまだ無理であったが半分も倒した。まだ数えで4つのそなたには難しかろう?」


兄上、めちゃ嬉しそうです。


「ふふっ、あにうえ甘いですな。この転球を考えたのは私ですよ?かんがえた者が負けるわけ無いでしょう」


ノリで俺も自信満々な風で兄上に応える。


「わたしこそが転球を一番うまくこなせるということを今日こそみせつけてあげましょう」


ノリノリである。


その勢いのまま投球!


コロッ……




兄上のそれよりも、より一層の軽い音を立てて鞠が転がっていく。


結果……


「わーっはっはっは、何が一番うまくこなせるだ。まっ、松千代丸よ。たった、1本では無いか!! うわっはっは」


考えれることと出来ることは違うみたいでした。




お遊びではありますが、主人公がようやく現代知識の活用を始めました。

しかしながら、この段階では嫡男でも無い数え4歳の松千代丸君では思うことはあってもなかなか実行に移せません。とりあえず、身近なところとして兄上との遊びから始まりました。


歴史系ながら随所にこういう脱線要素が入ってくるかと思いますが、お嫌いな方はそういう点はスルー頂ければ幸いです。

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