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第8話

先の話までは長くなってましたが今回は3話あたりまでと似たような字数で落ちつきました。

輝け、栄光の三つ鱗 第8話


---西暦1543年(天文12年))2月 小田原城 


6歳になりました、北條松千代丸です。


押しかけ傅役の多目元忠殿・根来金石斎殿に昨年から色んなことを教わり始めた。


おかげで年齢に新九郎兄上と遊ぶ時間も減っているし藤菊丸や乙千代丸の様子もほとんど見にいけてない。


不満を主張してみてもこう軍師という人種は自分の興味の向くことになれば人の話なんて聞きやしない。


ん、興味の向くとこだって?


おっさんら2人にとっては如何に俺に軍略を始めいろんなものを教え込むかってことが目下の興味の対象らしいぜ。


2人の色んな問いかけにまじめに答えてたら未来の感覚のある俺の意見は新鮮だったりするらしくめっちゃ目を輝かしてくるんだよな。


古今東西の色んな合戦のあらましを教えてくるかと思えば、日によっては分国法について、ある日は徴税について、ある日は歴史についてと色んなことを教えてくれる。


時々、見解について問われるんだけど正直に思ったことを言ったりしてたのが良かったのか良く無かったのか日に日に教育への熱を感じるようになっちまったよ。


「さて、松千代丸様、今日は当家に関わる二家の情勢について話をさせて頂きたいと思いまする」


ちょびヒゲ親父こと、北條家のエース部隊五色備えの一角の黒である多目元忠殿がヒゲをしごきつつ俺に言ってきた。


多目殿は周防守という官職を名乗っているがこの時代の武家ならではで勿論自称である。


「はい、周防守殿。二家というと上杉と里見でしょうか?」


「ふむ、松千代丸様。確かにそのニ家は北條家にとって最も関わることの多い二家でござる。まぁ、敵としてでござるがな。今回話をするのも昨今ではほとんど敵としての付き合いしかしていない二家でござる。ただ、この二家とは場合によっては一時的に手を組んだり停戦したりということもありえまするな」


ちょびヒゲの隣で金石斎殿がうんうんと頷いている。


「して、その二家とは?」


「武田、今川でござる」


ちょびヒゲがそう答えたがいまいち納得できない。


未来で甲駿相の三国同盟があると知っていてもだ。


それにくらいに現時点では北條と今川、北條と武田の関係というのは悪い状況にある。


「周防守殿、今川家とは河東一乱以来犬猿の仲といっても良い状態ではありませんか?武田の方はまだ世代交代しているのと上杉が共通の敵ということもあり可能性があるというのは分かりますが……」


「おお、松千代丸様はやはり賢しい。良く状況を分かっておいでですな。某の愚息も松千代様ほどに賢しらなら良かったのだが……」


根来金石斎こと大藤栄永殿がおおげさに嘆く。


彼にとっては物足りないのかもしれないが、長男の景長殿も優秀と評判だし末子の与七殿も利発で良い子だと評判だ。


親だからこそ自分の子には厳しい評価になるのかもしれない。


「大藤殿、大藤殿。貴殿の御長男の景長殿は先年も貴殿とともに川越城の防衛で活躍しておられたではないか。末子の与七殿も拙者が見る限り利発そうで期待できそうでござるよ。謙遜も行きすぎると嫌味ですぞ」


「いや、しかし……」


「しかしも何もござりません。それに今は松千代丸様に武田家と今川家について話をする場で御座ろう」


「む……承知致した」


金石斎殿は不承不承ながらも引き下がった。


息子の話をしだすと金石斎殿は長くていけない。


ちょびヒゲ、グッジョブ!


「さて、話を戻しましょうか。そう松千代丸様が仰られたように武田家は新当主である晴信殿が信濃への侵入を最優先にしており相模への侵入は考えにくいです。また山内上杉家も信濃を狙っておりますゆえに場合によっては停戦や手を結ぶことも考えられます。ただ、この場合は武田と組んでいる今川と我々が敵対しておりますゆえ難しい面はございますな」


ちょびヒゲの説明に左様左様と金石斎殿がしきりに頷いている。


「して、その今川家ですが亡き春松院様(氏綱の戒名)が擁立支持した義元殿は家督を継がれてすぐに当家が敵対していた武田家と何の事前連絡も無く勝手に和睦して同盟を結びました。そのことに激怒なされた春松院様は駿河の河東郡に侵攻し攻め取ったわけですがそれ以降当家は今川家と決別し敵対関係を続けております。しかしながら、今川家としてはこだわるところは河東郡のみ。実態としては三河での合戦が一段落すれば河東郡を狙って東征してくるのは必定。昨年、三河の小豆坂にて尾張の織田信秀の軍勢と戦っておりますな。織田は大々的に勝利を喧伝しておりますが実態はやや有利で終わったという程度でしょう。ただ、そうであっても織田家はますます三河での活動が盛んになるでしょうな。そうすると義元殿も東に目を向ける余裕も減ってくるでしょう。ただ、それでも河東郡は諦めないでしょうからこの地を手放す気があれば停戦や手を組むという選択肢もあるということです」


あいかわらずのクセでちょびヒゲをいじりながら語っている。


「しかし、周防守殿! それでは当家の諸将の気持ちが納得しないのではないでしょうか!?」


「わっはっは、当家の諸将以上に松千代丸様が納得いかなさそうですがのう。ただ、仰られることももちろんです。拙者としても何も積極的に今川に領地割譲して手を組めと言っているわけではござらぬ。いざという時にはそういう選択肢もあるということを松千代丸様にご理解頂きたかっただけで御座いまする。松千代丸様、貴方は今後当家で一門衆として御活躍頂かねばならぬ身でございます。外交に関わる機会も必然的に出て参りましょう。その際には感情では無く当家のおかれている状況、他家のおかれている状況をよく考えて頂きその時その時で最善の選択を取るようにして頂きたいのです。それを考える際には感情で選択肢を狭めるということだけは無いようにくれぐれも覚えておいてくだされ」


いつになく真剣なちょびヒゲの指導に俺も神妙に頷く他無かった。


この時は正直に言えばあまり納得しきれていなかった。


しかし、数年後に俺はこの北條家が誇る五色備え・黒の指導がいかに正しかったかということを思い知ることになる。


今回なかなか話考えるの難儀しました……。

クオリティも何回か見直してもいまいちな気がしたりと悩ましい限りです。

勢いで書くと決めたはずが全くそれを守れず執筆速度を上げれてません(汗)


あとそろそろ登場人物リストを作っておかないと自分が間違いそうです(笑)

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