1節
あれから3日後。
そもそも、なぜこんな事になってしまったのだろうか。山城はそんな事を考えながら駅へ歩いていた。
瑞穂の声が、山城の頭の中で反響する。
・・・あの時、拾わなかった方があの子は幸せだったんじゃないか、そんな事まで考えていた。
「幸せって何なんだろうな・・・」
そう呟いた直後。誰かとぶつかった感触がした。それは。
「・・・また会ってしまったか。山城」
「こっちだって会いたくなかったよ。御崎」
そう、鋭利電機の御崎だ。
「今日は瑞穂は一緒じゃないのかね・・・って、まぁ言われなくても知ってるんだけどね」
「・・・お前が撃ったから怪我したんだろうが知ってて当然だろうよ」
「もちろん。でも」
「・・・でも?」
「君が木原に瑞穂を渡したことを含めて・・・ね?」
「・・・え?」
意識が吹っ飛びかけた。何故、何故だ。あの部屋には何処にも・・・
「・・・カメラは無かったはずだ」
「ああ。だから、木原本人に頼んだんだ」
「なぜそんな事を・・・なんでみんな瑞穂を狙う!いっその事俺撃ち殺しちまってもいいんじゃねえのかよ!?」
「落ち着け山城」
「落ち着いてられるかこの野郎ッ!」
記憶の海に、瑞穂が浮かぶ。激情した山城。
1分、いや30秒前には考えもしなかった行動に出た。
「殺してやる・・・瑞穂の仇だっ!!」
御崎の懐に飛び込んだその瞬間。
倒れていく御崎の表情は緩んでいた。不気味なほどに笑っていた。
そして。
山城は、御崎に白衣のポケットから出てきた銃を突き付けられた。
しかしその瞬間。
「やめて!」
その声の主は・・・?




