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アーマード勇者育成記 最強強化外骨格チートで異世界蹂躙! 男の娘勇者を育てて神をぶっ殺す件  作者: からくり8


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第69話 俺、皆に新装備を与える

 宝物庫を出た俺は装備品を両手に抱えながら螺旋階段を駆け上る。

 ロビーに戻るとアーサー、エル、浴衣を着たエスカが談笑しているのが目に入った。

 俺は両手に抱えた装備を落とさぬよう注意しながら近づく。


「いや~、お待たせ。装備探すのに手間取ちゃってさー」

「お師匠様! お帰りなさい!」

「おう! おっ、エスカ浴衣姿めっちゃ似合ってるよ~」


 今のエスカの姿はザ・浴衣美人と言った感じだ。

 青を基調に白い花が描かれた着物に、いつものサイドテールにした銀色の髪と褐色の肌が上手く調和しとても似合っている。

 そんなエスカは俺の顔を見るなりプイッ!っと顔をそらした。


「酷いです! 私は風呂が苦手だと言ったのに無理やりぶち込むなんて!」

「なぁ、機嫌直してくれよ~。無理やり湯船にぶん投げたのは謝るからさ」

「知りません!」

「本当にごめん。もうしないから! 皆に新しい装備持ってきたんだ。勿論、お前の分もあるぞ!」


 俺がそう言うとカタカタという音がエスカの方から聞こえてくる。

 原因はすぐにわかった。エスカの両手が信じられない速度で痙攣しているのだ。


「ああ、あたらららしいいいいそそ、そうびび? わたわた、わたしににぃもぉ?」

「お、おう。大丈夫か? 震えてるぞ?」

「やったああああああああ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!! 今すぐ着替えてきます! どれですか!? この甲冑ですね!? では!」

「アッ、ハイ。ドウゾ」


 エスカは俺からひったくる様にして甲冑を持つと自室へ入っていった。


「脱衣所あるんだからそっちで着替えればいいのに。まぁ、いいか。喜んでもらえてるみたいだし。次、エルにはこのローブな」


 俺はローブをエルに手渡す。


「ん、ありがと……ってゲイン! これ!」

「しーっ! ちょっと向こうでお話しようか」


 俺はエルを連れて部屋の端へ移動する。


「これ……、今見たら全耐性って書いてあった。いい……の? こんな凄いの貰っちゃって?」

「いいかエル? 全耐性の事をあいつ等に言わないで欲しい。前回のような失態はもう犯したくないんだ。頼む。それとは別に、お前に渡したローブだが、コレについてもお前と俺の秘密にして貰いたい。お前は性能やスキルに振り回されない奴だと――つまりは、”慢心”するような人間だとは思えんと”信用”して話すからな。そのローブのパッシブスキルはな、正直言ってこの世の魔術師にとって激ヤバな代物だ」

「ど、どう……ヤバイ……の?」

「いいか? 心して聞け」

「う……ん」


 俺はエルの喉が動き、ゴクリッという生唾を飲み込む音が聞こえた気がした。


「そのローブ【終焉ヲ導きし者のローブ】のパッシブスキルはな――両足が地に着いている限り、物理攻撃に対して完全に無敵になるという効果だ」

「ほん……とに?」

「ああ、マジだ」



 終焉ヲ導きし者のローブ

 このローブがハガセンで実装された当時、公式の要望掲示板や某大型掲示板などありとあらゆるSNSが荒れに荒れたのをよく覚えている。

 それはそうだろう。このローブを装備しているやつがいれば、PvPだろうがクエストだろうがなんでもクリア出来てしまうのだから。

 ブチ切れたハガセンユーザー達がハガセン内で抗議のデモを行ったり、ハッカー集団による怒りのDDos攻撃、法外な値段のRMT横行など、このローブを巡りトラブルが勃発した。流石にヤバイと思ったのか、光の速さで弱体化され、再リリースと相成った。表向きは。


 実はこのローブの前のデータはサーバー内に残っており、とある中華系のハッカーが専用のパッチを作成した。

 このパッチを弱体化した終焉ヲ導きし者のローブに当てると弱体化前に戻ってしまうのだ。

 真に恐ろしい所は巧妙に偽装されており、インベントリ内ではただのゴミアイテムにしか見えない所だろう。


 このデータは中華系の掲示板で拡散され、裏の掲示板でやり取りされていた。

 因みに、俺がこのパッチを入手した経緯はバザーで偶然手に入れたものであり、非合法な手段で手に入れたわけではない。

 このパッチがリリースして約一ヶ月後、とある中国人ゲーマーが謎の死を遂げ、運営に消されたと少し話題になった。

 終焉ヲ導きし者のローブに関わり過ぎた者は名前の通り、終焉ヲ導く羽目になるとまことしやかに噂されるようになり、いつしかこの話はハガセン内でタブー視されるようになった。

 何故、運営がサーバー内に残った前のデータを消さなかったのか。それは神のみぞ知る。


 閑話休題


「と言うわけで、用法用量を守って正しく使ってくれ」

「うん。まかせて」


 俺は会話を終わらせ、アーサーの元へ行く。

 エルは脱衣所へと向かっていった。


「さっ! 次はお前だ」

「ハイ!」


 俺は銀のガントレットをアーサーへ手渡す。


「ガントレットですか? ありがとうございます!」


 いつものようにニコニコしながら、アーサーは俺から受け取ったガントレットを左手に着装した瞬間、サイズが小さくなり、カシャカシャと音を立てながら腕や肩の辺りまで一気に銀色の防具で包まれた。


やはり、着装出来たか


「うわッ! なんか一気にガントレットが伸びて肩の方まで行っちゃいました!」

「そういう防具だからな。それはな、俺のジョブであるフルメタラーの防具だ。そいつには2つのパッシブスキルが付いてる。今から俺の言う通りに声を出してみろ。チェンジ・ウエポン! 弾銃だんがんとチェンジ・ウエポンファランクスだ」

「チェンジ・ウエポン! ダンガン!」


 アーサーが叫ぶと、アーサーの左手にワイヤーフレームが突如出現し、銃を形作っていき、銃身が金色のソードオフ・ショットガンが姿を表した。

 現れた弾銃は持ち主を待つかのように空中で静止しており、アーサーはそれをマジマジと見つめている。


「これは……お師匠様が魔障防壁を破ったのと同じタイプの武器でしょうか?」

「おー、よくわかったな。少し違うが概ね正解と言ったところか。お前には恐らく銃の才能がある」


 アーサーは空中に浮いた弾銃を手に取る。


「これはどういった武器なのですか?」

「引き金を引くと散弾が発射される。まぁ、今は気にするな。次はファランクスだ」

「ハイ! チェンジ・ウエポン! ファランクス!」


 アーサーが再び叫ぶ。すると弾銃が消え去り、代わりに薄い半透明の青色の丸い盾がアーサーを囲むかのようにして幾つも出現した。


「これは魔障防壁ですか!?」

「再び、ご名答。その通りだ。バリア――じゃない、魔障防壁だ。」


 言い辛ぇ……。


「うわぁ~、凄いです! これで色んな人を危険から守れるようになれるんですね!」

「モチよ。しかもそいつの凄い所はな? 何と言っても――」

「何がす……ごいの?」


 気付くと着替え終わったエルが展開されたファランクスの前に(・・)突っ立っていた。

 瞬間、丸い盾の隙間から同じく半透明の槍が出現しエルを貫いた。


「エルさあああああああああん!?」


 アーサーが半狂乱になりながらオタオタし始める。


「ビビった~。良かった。ローブ渡した後で」

「なんでそんな冷静なんですか!? エルさんが槍に突かれて!」

「大丈……夫。なんとない。平気」

「へ? で、でも確かに突かれて……」


 涙目のアーサーをよそにエルは両手を広げ、くるりと一回転し無事であることをアピールした。


「ね? 平気」

「ほ、ほんとだ。傷一つない」


 俺は話題を逸らすため、エルとアーサーの間に入り肩ポンする。


「イヤー、ナントモナクッテヨカッタ! ヨカッタ!」


 俺が迫真の演技を披露していると上の方でバンッ! 音がし、今度は着替え終わったエスカ駆け下りてきた。


「なんだ!? 今の叫び声は!? 何があった!?」

「エスカさん、なんでもって――凄い格好ですね……」

「フフフ……よくぞ聞いてくれた! これぞお兄様から新しく頂いた防具だ!

 手甲てこうと腕当それと鉄靴てっか臑当すねあては以前のままだが他は全て新しいものだ!」


 エスカは相当興奮状態にあるのか、鼻息を荒くしながら喋っている。折角の美人が台無しである。


「あ、あの……聞きたいんですが宜しいでしょうか?」

「勿論! なんでも聞いてくれていいぞ!」

「その……防御する面減って……ますよね?」


 エスカの新しい装備はビキニアーマーの為、上腕と肩と腹の辺りが丸出しの状態だった。


「フッ、そう言ってくると思ったぞ! これを見ろ!」


 エスカは握りこぶしを作ると思いっきり自分のへその辺りをパンチをかます。

 するとへそには届いておらず代わりに波の波紋の様なものが出来上がっている。


「これも……魔障防壁?」

「どうだアーサー! おまけにこいつは体全体を包んでくれているんだ! すごいだろう!」

「ハーイ! 皆衣替え出来た所で注目ー!」


 俺は両手を叩きアピールする。


「さて、色々とあったがそろそろ王都を離れようと思う。目的地は既に決まっているから準備が整い次第出立するぞ」

「次はどこへ行くのですか?」

「王都からずっと北西に難攻不落の超巨大ダンジョンがあるらしい。そこでお前らの経験値稼ぎをする」

「お待ち下さいお兄様」

「なんだエスカ?」


 さっきまで騒いでいたエスカが嘘のように静かになり、真剣な眼差しで俺を見つめていた。


「今すぐというのは急が過ぎます。私は王立騎士団の副隊長です。王都を長く離れる場合ある手続き……いえ、儀を行わなければなりません」

「その儀ってのは?」


 エスカは目を閉じ、一呼吸置いてハキハキと喋りだした。


「私は王立騎士団副隊長の任を降ります。その為、明日になったら城に顔出ししなければなりません。ですから誠に勝手ながら今からお暇を頂きます」


 エスカはそう言い残し俺に一礼すると、自室へと向かっていった。

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