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アーマード勇者育成記 最強強化外骨格チートで異世界蹂躙! 男の娘勇者を育てて神をぶっ殺す件  作者: からくり8


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第193話 俺、アーサーの頭を洗ってやる

「良いかお前ら、まず全員直ちに風呂に入れ。そして飯喰ってとっとと寝ろ。以上解散!」


 皆は各々風呂場に向かった。


 俺が指を鳴らすと幾人かのメイド達が俺の前に姿を現す。


「部屋の掃除は済んでいるか」

「済んでおります」


 俺にそう答えたのは、派手な髪色をしたメイド。


 誰だっけこのメイド……? あ~じゃじゃ馬に付いてきた奴か。そういえば勝手にメイドとして働いていたんだったか。


 ん? ちょっと待てよ。俺達は約1ヶ月の間ここを開けていた筈、こいつはノンプレイヤーキャラではなく、普通の人間の筈。下手したら餓死していてもおかしくない。しかし目の前にいるこいつは普通に血色がいい。


「俺達がいない間どうやって食いつないでいたんだ?」

「はぁ、私はスキル”食い溜め”を習得していますので、パン1斤あれば事足ります」

「食い溜めぇ!?」


 食い溜めとは忍者職の師匠ユニット、不知火に師事を受ける事で手に入るスキルである。通常の1/4で食事が済むので腹にもお財布にも優しい有能スキルとして、プレイヤーに親しまれている。


 閑話休題。


「無駄にサイケな髪色で、ほんのちょっぴり気になっていたが、あんたまさかハガセンプレイヤーだったのか!?」

「そうだったのですか!?」

「何であんたが驚いてんのぉ!?」

「私、教団に拾われる前の記憶が真っさらでして」

「記憶喪失……」


 このサイケヘヤー姉ちゃんもあの神の被害者だったのか。


「そうか、わかった。あんたこのままメイドとしてやっていくのか?」

「はぁ、特にやれる事もございませんし」

「──っていうか、忍者だったのか」

「はぁ、作用で」


 もー喋り辛いなぁ、この人ぉ。


「じゃあ、休んでていいよ。必要な時は呼ぶから。あとお前も風呂入っとけ。その後飯だから」

「よろしいのですか?」

「だって、他のメイドみたいにモブ(NPC)じゃない訳でしょ。さっさと入る」

「わかりました」

「所で話変わるけど、同郷と判明した以上パーティに入れる事も、やぶさかじゃないんだがどうする?」

「お任せしますが、私が戦闘でお役に立てるとは思えません。毒薬作りなら得意ですが」

「うーん」


 すこぶる微妙だな。


「ちょっと頭貸して」


 俺は彼女の頭に手を置く。彼女のステータスが俺に情報として流れ込んでくる。


 一定の情報を得たところで俺は手を彼女の頭から離す。


「え、これマジ? レベル500超えじゃんアゼルバイジャン」

「は? はぁ」


 俺は彼女のステータスを見るため、頭に手を置いた。彼女のステータスを読み取り手を離す。


 いや~でも何だこのスキル編成は……毒物関係に極振りしている。忍者は個人的に一切ノータッチだったから、この編成の意味してる所がさっぱりわからん。体力に関してはレベル相応でないこともないが……。他に関しては数値だけを見ても正直言って全く使い物にならん。


 この人ハガセン時代一体何して過ごしてたんだ? あのゲームは特定の行動起こすだけでも微量ながらステータスの値に影響を与える。つまりこの人殆どソロでひたすら毒物に傾倒していった。このスキル構成とステータスの数値を見るにそうとしか思えん。全く謎の存在だ。


極端なロールプレイをやり込む人種がたまにいるがそのタイプだった人か?


「高いということでしょうか」

「少なくとも初心者ではないねぇ」

「そうなのですか」

「うんメイドとしてやっていったほうが良いかもしれないねぇ。もしくはよっぽど強力な毒物が欲しい時にでも協力してもらうかも。──という訳で」


 俺は会話を切り上げ、女と書かれた赤い暖簾(のれん)の方向に右手を差し催促する。


 メイド忍者は俺に一礼し女風呂に向かっていった。


 俺も風呂に入るか。


 俺も青い暖簾を潜り脱衣所の籠に衣服を突っ込み、中にあるタオルを持って浴場に入る。


「ゲイン君やっと来たのか。何かあったのかい?」

「別に何もねぇよ」


 湯船に入り脱力する。


「躰に沁みるぜ〜」


 いやー1ヶ月風呂なし&マイナス20度の極寒は流石に堪えたか〜。


「ねぇねぇ、ゲイン君。あれ見て」


 そう言いながらアルジャ・岩本が俺の側にやってきた。


 彼の視線に合わせるとアーサーが髪を洗おうと悪戦苦闘(あくせんくとう)しているのがわかった。


「アーサーがどうした」

「髪綺麗だよね。水に濡れたせいで照明光が反射して金色に輝いてる」

「はぁ……うんまぁ」


 彼を見ると石鹸を手に取り髪にこすり当てようとしているのが目に入った。


「アーサーストップ! それ洗髪に使うやつじゃないぞ!」

「えっそうなんですか。僕の家と違ったので」

「髪洗ってやるからちょっと待てよ」


 湯船から出てアーサーの背後に陣取り、シャワーの下にあるボトルを手に取る。


「お前ね、石鹸は頭洗うのに使う物じゃないからな。覚えとけ。シャワー下に2つのボトルがあるが、青がシャンプーで赤がリンス。ついでだから頭洗ってやるよ。毛量凄いから大変だろう」

「ありがとうございます。お師匠様」


 青い容器のポンプを押してシャンプーの液体を彼の頭に付けて両手で彼の頭を洗う。

 いい泡立ちになったところでシャワーの蛇口を捻ってお湯で洗い流した。


 なんとなく目線を下に落とすと、広背筋(こうはいきん)僧帽筋(ぞうぼうきん)が気持ち盛り上がってるのがわかった。


「お前中々いい感じに背中出来上がってきてるな」

「そうですか? ありがとうございます」

「前はどんな感じな訳?」

「腹筋とかですか? 一応出てきてるとは思います」

「ふむ、筋肉は不可欠だが、付けすぎると動きが狭まるからな。程々にしとけ。良し終わり」

「──じゃないッスよ! ちゃんとリンス付けて洗わないとアーサーきゅんのキューティクルな髪が傷んじゃうじゃないッスか!」


 声のした方を見るとリンが竹で出来た壁の上から頭を出してこちらを覗いていた。


「てめぇ何男湯覗いてんだ! 普通逆だろうが!」

「今すぐリンス使ってくださいッス!」

「いや、いる? 俺リアルで使った事ないぞ。──ってそうじゃねぇ! だから覗くなって言ってんだよ!」

「もういいッス! 私がやるッス!」


 そう言って彼女がそのままジャンプしてこちらに来ようとしていた為、俺はすかさず手をかざす。


「ウォーターボール!」


 手からはなたれた水球が彼女に直撃しそのまま女湯に戻っていった。


「てめぇ抜け駆けしようとしやがったな!」

「いや違うッスよ! だってあのままだったらあの綺麗な髪がごあごあになっちゃうんスよ!?」

「ぬるいー! もー!」

「個人的には良い感じの温度だ。おいエルどこに行くのだ!」

「向こうで温まるからいい!」


 何やいのやいの騒いでるんだあいつら。


 そう思っていると男湯の引き戸が開き、タオルを巻いたエルが男湯に入ってきた。


「おまッ!? ここ男湯だから!!」

「そんなのどうでもいい! 寒い!」


 そう言うと彼女は湯船にダイブした。


「あ~これこれ……いい……」

「ま、まさかその声は……エルずるいぞ! 私もお兄様の裸がみたい!」

「アーサーきゅんの髪洗ってあげなきゃッス! 先輩には任せられないッス! ぐへへ」

「てめぇアーくんの裸を見ていいのはあたしだけだぁ!」


 女性全員が湯船から上がる音が聞こえこちらに突撃してきた。


「あーもうめちゃくちゃだよ」

「どいてどいて! もう! アーサーきゅん、おねーさんがリンス付けて洗ってあげるッス」

「あのー皆さん。ここ男湯ですけど! 公序良俗(こうぞりょうぞく)を守って欲しいんだけど!」

「あぁ、水に濡れたお兄様! 私には刺激が強すぎます!」

「君ここ最近いつも俺の裸見てるよね? いやあのーだからね?」


 もうこれじゃ家族風呂じゃん。


「先輩どうせ長髪の洗い方知らないでしょ!?」

「んだよ、確かに知らんけど……」

「じゃあ黙ってるッス!」

「アーくん、三つ編み私が結んであげる。あとこの女が変な事しないか見ててあげるね。髪は私に任せて」


 彼女が赤い容器を手に取り、アーサーの髪を洗い始めた。


『何故シャンプーした後にリンスした方が良いのか教えてあげようか?』


 知らんうちに俺の隣に水浸しになったビーディとアルジャ・岩本が突っ立っていた。


『シャンプーは基本アルカリ性で流水で洗い流したとしてもその付着が完全に取れるとは言い難い。そこでリンスを使う事でアルカリ性から弱酸性へ切り替える事が可能なんだ。これによって頭皮及び髪を守る事ができる。もっとケミカルに物事を考えないとね』

「ゲイン君江戸時代じゃ男も女も皆同じ浴槽に入ってたんだよ」

「心底どうでもいいわ!」

『そのうち禿げるよ』

「何か言ったか?」

『別にー?』


 あほくさ。なんかもうどうでもよくなったわ。


 俺は浴場からでて、メイドが持っていた洗濯済みの服を受け取りそのまま着る。柔軟剤のわざとらしくフローラルな香りに若干の嫌気を感じながら俺は温泉から出るのだった。

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