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アーマード勇者育成記 最強強化外骨格チートで異世界蹂躙! 男の娘勇者を育てて神をぶっ殺す件  作者: からくり8


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第169話 俺、焦って損をする

 戦いが終わり控室に戻ると、周りの獣人達は俺の姿を見るなり蜘蛛の子を散らすかのように逃げていった。


 失礼な奴等だ。人をばい菌扱いしよって。


「あ、兄貴それ大丈夫ニャのか? オレっち達もあんなふうにニャるの?」

「心配するな。こいつはお前等には感染しない。たぶん」

「たったぶんニャ!?」

「大丈夫だって! リアルタイムで特に異常ないだろうが。おどおどするな!」

「お兄様……正直あれはキツ過ぎです。個人的には二度と見たくありません」

「わかったわかった。もうわざとやったりしないから、安心しろ。ただ約束はできん。偶発的に膜が破れる事も勿論あるからな。そうなったら俺でも止める事はもう不可能だ。そこだけ留意しといてくれ」

「承知しました……」


 こいつのスピーシーな見た目も相まって絵面はかなりグロテスクだからな。耐性がないやつが見たら、こうなる事はわかっていた。なるべくコアを破壊した状態を維持するとしよう。

 初めて膜が破れた時の周りの騒乱ぶりに比べたら可愛いもんなんだが。

 あの時はどうやって静めたんだったか? 敵も味方もてんやわんやの中で、ビーディだけが大爆笑してたんだよなぁ。あいつならきっと記録してる筈だ。帰ったら見せてもらおう。


 広場ヘと戻ってきた俺達をコウモリが出迎えた。


「旦那! 序列入りおめでとうございます!  それともう俺の筋力じゃ袋持てないんで持っていって下さい!」


 コウモリが指差す方向に目をやると直径1メートル程のずた袋が置かれていた。


「要らない」

「旦那ぁ! 困りますよぉ!」

「じゃあパルチお前にやる」

「あんなに貰っても置く場所ニャいから困るニャ」

「しょうがねぇなぁ。ちょっと待ってろ」


 俺はずた袋の前に立ち、ノーモーションの抜き手を見舞うと、中にあったコインが雪崩れの様に辺り一面に散らばった。


「早いもん勝ちだぞ〜」


 そう一言言い放ち、俺は皆の元に戻ると周りにいた獣人達がこぞってコインを拾い出し、あっという間にパニックになった。


「ハッハッハ、やれやれ〜どんどん拾えー殴れー」

「むちゃくちゃだこの御仁……」

「よし帰るゾ〜。そうだ、今俺何位なんだ?」

「チームデス・ウィッシュは現在序列5位ですよ旦那。次は序列4位のチーム勇者と戦う事になりやす」

「そうか、次は勇者が相手か。それは楽しみだ。じゃあな、パルチとコウモリ」


 俺とエスカはしっちゃかめっちゃかになった広場を後にし地上へ戻った。


「お兄様本当によろしいのですか? このままですと彼等と殺し合う事になりますが……」

「殺し合いなんてしねぇよ? ちょっと本格的な組手をするだけだ。お前も見ただろ? アーサーのあの成長ぶりを。直に手合わせしたいと思っていた所だ。師匠として弟子の面倒は見てやらねばな」

「そういう事でしたら、不肖ながら私も協力させて頂きます。ところでその、腕を組ませて頂いてもよろしいでしょうか?」

「どうぞ」

「あの、生身のお兄様と繋ぎたいです!」

「アッハイ」

「しゃあないどすなぁ」


 外格が観音開きの要領で展開したので、足に張り付いた触手が躰から離れた。今度は上半身に付いた触手が離れ完全に剥離した。


 俺が腕を差し出すと、嬉しそうに彼女が腕に手を掛けた。


「じゃあ行きますか」

「ハイ!」


 彼女と足先を揃えて歩きだしそのままホテルまで着いた。窓から白い煙が濛々(もうもう)と出ているのが目に入った。


 なんだ!? 火事か!? エルとケルベロスに何かあったのか!?


「エスカ悪い!」

「ハイ! お兄様!」


 俺はその場で跳躍し窓から室内に入る。煙を被った瞬間、チョコレートの甘ったるい匂いが脳を直撃した。


「何やってんの! この匂いなに!」

「いい匂い……でしょ?」

「クゥーン……」

「早くこのスモッグを消して!」

「えーせっか……くいい匂いな……のに」

「いいから消して! 前見えないから! 火事かと思ったから!」

「わかった。ウインドブラスト」


 チョコレートの甘ったるい匂いと真っ白な煙に支配された部屋の奥で緑色の光が灯ったかと思うと一迅の風が発生し一気に煙が消えさった。


「あのさぁ……さっきのはなんなの?」

「これにチョコ入れてしばらく放置すると煙になる事がわかった」


 実にスローリーに解説を始めた彼女の話のよると、着けているガスマスクのキャニスターを外し中にチョコを入れてから再びマスクに付けると多量の煙になって噴出するという意味不明なギミックが搭載されているという。


「それ禁止ね」

「えー」

「えーじゃないの!」

「ぐぬぬ……」


 全く焦って損した。あのガスマスクなんの意味もないやん。似合ってるから良いけど。


「ったくもー」


 部屋のベッドに腰掛けるとベッドからチョコ臭がする。


 めっちゃチョコのスメル移ってるやん。


 無駄に疲労感が漂ってきた感覚を受け入れた瞬間、ドアが開かれエスカ達が入ってきた。


「お兄様大丈夫ですか!?」

「あー大丈夫大丈夫。全然無問題(モーマンタイ)

「先程の白煙は一体!?」

「エルのマスクから出たものらしい」

「そうだったのですか。火事かと思って驚きました」

「ねーほらーこうなるんだよー?」

「ごめん」


 反省している様だ。まぁ別に怪我とかなかったしいいけど。スチームパンクはもうこりごりだわ。


 そんな事を思っているとドアからアーサーとビーディが入ってきた。


 あの瞳キラキラ具合い絶対質問攻めにされるー。目ン玉歓楽街絶賛継続中ー。


「お師匠様聞いてください! 僕感動しました!」

「聞きますよー聞く聞く」

 話はアーサーとビーディがホテルに戻る道中での事らしい。


 ★★★★★★★★


「ビーディさんはお師匠とお友達なんですよね?」

「うん、そうだよ。結構長い事一緒にいるよー」

「あの……お師匠様が本気を出したらどの位強いんですか?」

「けんちゃんの本気? それは……全武装を使用してって話? んー5秒かな?」

「5秒?」

「けんちゃんが全武装の制限を解除して使った場合の全世界掌握できるまでの秒数。あ、待って。仮にけんちゃんが色々やる気なくしてどうでも良くなったら、生身(バニラ)の状態で地表思いっきりぶん殴れば1秒でこの星そのものを木っ端微塵にできるからそっちの方が早いね」

「……」

「ごめんねースケールデカすぎて理解できないよねー。けんちゃんにとって外格は強化外骨格よりも拘束具の意味合いの方が強いよ。バニラのけんちゃんはマジでヤバいからね。それ本人もわかってるから基本的に外格着続けてるんじゃないかな」

「かっこいいです……僕もお師匠みたいになれるでしょうか?」

「ん〜なれると思うよ」

「本当ですか!?」

「アーサー君は才能開花してる若者だし、けんちゃんはあれで中々面倒見が良いしね〜。ここだけの話、本人全く気づいてないけどカリスマ性だけは持ってるんだよね。いっつも隣で見てると知らないうちに人が周りに集まってくるんだよな〜不思議だよね〜」


 ★★★★★★★


「――って事があったんです!」


 今の話にここまで目ン玉歓楽街になる要素ある? やべー全然わからねぇ。


「後ですね」


 あっまだあるんだ。こっちがほんへだな。


「妹さんの結婚式の途中で王様に怒って乗り込んでいって変わりにビーディさんを人質にして走ってそのまま結婚式に行って――」

「ごめんごめん! ちょっとその話止まってもらっていい?」

「はい、わかりました!」

「ビーディちょっとこっち来いや」

「何?」


 俺はベッドから起き上がり、思いっきり蹴りを入れてそのまま窓からビーディは外へ飛んでいった。


「オメーはセリヌンティウスかよ! 銀河鉄道の車窓から身投げしろアホ!」

「残念でした〜。機械の躰なら間に合ってまーす」

「そっちじゃねえよ! 全く」

「お師匠様……あの」

「いやーごめんごめん、走ったのは俺じゃないから。後半はあいつの創作だから」

「いえ、そうじゃありません。アルジャさんがいない様ですが……」

「あっ」


 この後俺はアルジャ・岩本を迎えに行ったのだった。

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