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アーマード勇者育成記 最強強化外骨格チートで異世界蹂躙! 男の娘勇者を育てて神をぶっ殺す件  作者: からくり8


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第162話 俺、もう限界

 アーサーの進化速度は素晴らしいな。いや〜良いものが見れた。


「よし、今度こそ帰るぞ」

『えー、アーサー君を待とうよ』

「だめだ、さっきも行ったが、別のチームで参加した以上仲良しこよしで肩並べる訳には行くまいよ」

『じゃあ、俺アーサー君と帰るから先に戻ってなよ』

「あぁそうさせてもう。そうだ、アーサーに変な事すんなよ」

『大丈夫だよー』


 不安だ。だが、そうするしかないか。


「エスカ、ホテルに戻るぞ。パルチ、また明日な」

「ハイ、お兄様」

「わかったニャ」


 俺はビーディとパルチを残して、彼女と共に変わり果てた古巣を後にした。


 ポータルに手を触れ、オレンジ色の街灯に照らされた都市の喧騒がもはや懐かしい。


「ふあぁ〜」


 無意識にあくびが出てしまった。ちょっと流石に色々やり過ぎたな。


「お兄様でもあくびをする事があるんですね」

「あぁ、それよりごめんな。全然デートっぽくなかったよな。ただ魔法剣のレクチャーしただけだった」

「い、いえ! そんなことありません! 私はその……お兄様と一緒にいれるだけで幸せですから……」

「ん? ごめん。後半聞き取れなかったんだけど――」

「それよりもお兄様! 首のそれどうしたんですか?」

「首のチョーカー、やっぱ目立つよな。いや実はな犬に懐かれちゃってな。で、そいつから貰ったんだ」

「犬ですか? それってあれですか?」

「あれってどれ?」


 エスカの指差す先を上体を少し横にして、顔を覗かせると真っ白な毛並みの犬が俺の顔面に激突した。そして刹那のスピードで外格が独りでにキャストオフされ、猛烈な勢いで俺の顔を舐めだした。


「ワンワンワン!」

「はっ!? えっ!? おっ待、待て待て! わかったわかった! ブレークブレーク!」


 俺に乗っかていた犬が離れた。


 俺の目の前に現れた犬は見覚えがなかった。だが、あの舌先の暖かさから間違いないと確信できた。


「お前ケルベロスか!?」

「ワンワンワン!」


 尻尾が千切れ飛んでいくんじゃないと言う程のスピードで振られている。


「なんと羨ま――い、いやお兄様大丈夫ですか?!」

「あぁ大丈夫だ。件の犬がこいつだ。たぶん……」

「は、はぁ」


 毛の色が全く違う。地獄で見た時の漆黒の毛は雪の様に真っ白な毛色に変わっている。


 かなり大柄な犬だな。しかし、顔が全く違う。地獄で出会ったあいつは中々に勇猛果敢な顔をしていた。今目の前にいるこいつは、すごく愛くるしい顔をしている。しかも首は1つしかない。そもそも犬種はなんだろうか……。明日になったら有識者に聞こう。


「とにかく戻ろう。ケルベロス、せっかく来たんだ。お前も来い」

「ワンワンワン!」

「ところで、アマテラス。何で勝手にキャストオフしたの?」

「えろぉすんまへん。青空を見たくなってつい」


 いや、ずっと曇り空なんですけど。


「あっそっかぁ。青空見たくなったのかぁ」


 そして1匹と1体と2人はホテルの部屋へと舞い戻る。


 扉を開けるとエル、アルジャ・岩本の2人から俺に向かって口を開いてやいのやいのとまくし立てられた。


「かわいいー! ワンちゃんどうしたの? なでなでしていい?」


 エルめっちゃバイブス有頂天じゃん。あの猫の反応から見てこの子動物好きなんかな? 甘味以外に趣味があってお兄さんは嬉しいぞ。


「ゲイン君! やーっと戻ってきたのか! 聞いてくれ! 君の外格の不調の原因がわかったよ! 褒めてくれても良いんだよ!」


 おぉ、流石アルジャ・岩本。こいつが仲間でよかったよ。


「落ち着け。な? 2人とも深呼吸しろ」


 各々が深呼吸したのを見届ける。

 1番楽そうなエルから消化しよう。


「エル」

「うん……」


 あっいつものテンションに戻ってる。


「どうぞ」

「おいで〜! ワンちゃん!」


 エルが両手を広げ、おいでおいでしている。

 大丈夫かな? ケルベロスは俺には懐いてるみたいだけど、他の人間にも懐くのか? もしかしたら喰われたりしないだろうか?


「ワンワン!」


 ケルベロスはエルの元に行くと、ペロペロと顔舐めだした。


「くすぐったい〜」


 どうやら杞憂だったか。仲良くなれるならそれに越したことはない。

 っていうかもしかしてテンションがあげれば元の口調に戻るのでは? 厳しいかな。どっちかというとエルはダウナータイプだもんなぁ。


「エルに関してはこれでよし。ハイ次!」

「ゲイン君! さっきも言ったけど外格やロボットが不調をきたす原因がわかったっぽいよ」

「そいつは重畳(ちょうじょう)。見解を聞こう」

「うん、まず何故ヤルダバオトⅧ式が機能不全に陥ったのにも(かかわ)らず、陽炎は普段どおり機能しているのか」

「おお! そこは俺も知りたいと思っていた所だ」

「うん、そこで時系列順にまとめて見た所、この大陸に降り積もっている雪に原因があると判断したんだ」

「ほう、そうなのか? ん? でも、今現在雪には触れていないが、相変わらずだぞ。試してみるか。チェインジ!」


 俺が叫ぶが、隣にいる陽炎に違いはない。


「やっぱ無理かぁ」

「で、ここからが本題なんだけど、実は1人で外に出て雪自体をデータ化、エミュレーションした後調べてみたんだ。そしたら、雪の結晶の中にある動きをする特別な粒子が観測できた」

「粒子?」

「あぁ、恐らくこの結晶内の粒子の運動により、特定の電磁パルスを発生させる特性があるようでね。機械に過剰反応を起こした結果、君の外格は動かなくなったんだよ。それがずっと続いているんだ。この粒子は雪から溶けても空気中や地表面にくっついてそのまま運動を続けているようなんだ。全て生体パーツで構成されたバイオアーマー陽炎だけが、この粒子のEMPから逃れる事ができたんだ、と僕はそう仮定した」

「な、なるほど……。で、結局ヤルダバオトⅧ式を再び着装するにはどうすれば良いんだ?」

「それ自体は至極単純さ。効果範囲外に出ればまた使える様になるはずだ」

「そんな簡単な事で良いのか!?」

「まぁ、理論上の話だけどね」


 ファストトラベルの杖でどこでもいいから、一度やってみるか。いや、早計だな。暫定的だが、原因を特定できたのなら、特効薬が作れる筈だ。つまりは原因を直接叩く。この方が確実だ。もし、また同じ様なトラブルに見舞われても速攻で対策に移れるしな。


「お前は凄いやつだ。少し舐めてた」

「伊達に理数系大国インドの血を引いてないよ〜。まぁ僕自身はクォーターで生まれも育ちも日本だけど」

「お前インド人じゃなかったのか」

「祖父がね、インド人なんだ」

「はえ~、喜びを現すためにめっちゃキビキビしたダンスとかやる?」

「祖父は結構踊ってたよ」

「はえ~、あっそうだ。アルジャ・岩本、明日お前も俺達と一緒にシークレットベースに来いよ」

「いいよ、どうせ暇だしね。あぁそうだ、ついでだからバイオアーマー陽炎の調整をしたいんだけど、いいかな?」

「あぁ、構わねぇよ」


 アルジャ・岩本と陽炎が俺から捌けた瞬間、扉が勢いよく開かれ、ツインテールの女が目の前に鼻息荒くしながら入ってきた。


「先輩聞いたッスよ! この世の中に悪の首魁がいて色々悪さしてるんスよね! 今こそ正義を執行する時ッス!」


 お前至っては鼻息荒くして一体何の話をしているんだ。


「よし次確実に1番面倒くさいやつ!」

「正義を行うッス! 特撮ヒーローオタクとして見過ごせないッス!」


 正直今のこいつと猛烈にお喋りしたくない。もう何言ってんのかさっぱりだもん。なんだよ正義を行うって。


「あのさぁ……とりあえず落ち着けよなぁ?」

「敵の首魁が現れたんすよねェ!? アルジャ先輩から聞いたッスよ!」

「ちょっと悪い」


 俺はやいのやいのうるさいリンを無視し、アルジャ・岩本に手招きする。


 すると非常にバツが悪そうな顔をしたまま俺の元へと再びやってきた。


「えっと多分だけどあいつの事言ってるんだよね。俺が出会ったニコイチお花野郎」

「う、うん。そうだね……」

「どうやって何を伝えたの?」

「いや伝えたさ! でも何回言っても彼女特撮ヒーローがどうのとか、正義の味方の使命がどうのとしか理解してくれなくて、諦めたんだ……」

「把握した」


 俺は彼女に向き直った。


「確かにこの状況はマスクドブレイバー疾風(はやて)第45話、驚愕の事実! 首魁現る! の状況に似ていると言っていい」

「やっぱそうッスよね!?」

「しかしだ。あれは主人公が最終フォームにパワーアップ済みの状態での話だ。ご覧のとおり今俺は本調子ではない」

「ダーリン、酷いわぁ。わてはいつでも本気どすえ?」

「えぁ、いやいやいやいや、決してアマテラスが弱いとかそういう意味で言ってるんじゃないんですよ。万全を期していかなきゃいけないって事をね? 俺は言いたいんです」

「ふぅん、ダーリンがそう仰るなら仕方ありまへんなぁ」


 どうやら納得してくれたようで助かった。


「と言う訳で、今首魁と相対する訳にはいかんのだ。わかったか?」

「でも、マスクドブレイバーNEXTでは初期フォームのまま首魁に突っ込んで行ったすよね? あとマスクドブレイバーVRでも、主人公の高見(たかみ)が生身でアクギャクエンペラーに生身で闘い挑んでたッスよ」

「お前さ、何でさっきから第17期と第25期なんだよ。初代はどうした。初代は! 初代や2期にも似たような展開あっただろうが」

「初代って苦手なんすよね。なんつーんすか、流石に古臭いっていうか」

「特撮ヒーローを愛している。正義を執行する時、大層な事言っておきながら初代が苦手だぁあ!? 古き良き特撮を愛し! 有史以来新しい時代と共に脈々と受け継がれてきたニューホープをも愛するのが真の特撮オタクのあるべき姿だろうが! やれ古臭いだ、やれ新しいシリーズが思っていたのと違うだのと! 御託を並べる奴に特撮を語る資格はない! 何が初代って苦手なんすよねだ! 片腹痛いわ! 特撮であるならヒーローだろうが怪獣だろうが、B級ホラー映画だろうが別け隔てなく全てを真摯に受け止めるのが、俺達だろうが!!」


 俺がそう言うとリンは膝から崩れ落ちるかのようにして床に突っ伏した。


「あたしが間違ってたッスぅぅぅぅう!!」


 あれ? 何の話してたんだっけ?

 何で嗚咽漏らしてんのこいつ?

 まぁいいか。つーか、マジで疲れたわ。もうとっとと寝たい。


 そんな事思っていると、目をキラキラ輝かせながらアーサーが入っていた。

 目の中に歓楽街あるのかって位輝いてるじゃん。


「お師匠様! ビーディさんから話を聞きいて僕感動しました!」


 あいつ一体にアーサーに何を言ったんだよぉ。勘弁して。もう眠らせて。


「ごめん! 明日絶対話を聞く! 俺もう限界なの! あっでもタバコ吸いてぇあとアーサーの技の話も――もういいや! 全部明日! 皆お休みなさい!」


 俺はヘッドに腰を降ろし、手のひらを自分に向ける。


「スリープ!」


 アーサーが俺に駆け寄る所を最後に強烈な眠気を迎え、俺の意識はそこで途絶した。

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